バンドリ作品はこれで2作目となります!
常にマスクをしている男の子、本田 光瑠くんのお話です!
もしも、学校でいじめられていなかったら。もし自分が、誤解されやすい人間じゃなかったら。
彼はずっとそう思っていた。だが、その本音は誰にも伝わることはなかった。
生きる希望を失いつつある少年は、一筋の光に縋ることになる。
これは、恵まれない少年が人と関わることで変化し、そして、成長するお話。
・・・・・・・
いつも通りの朝。いつも通りの生活。僕くらいの歳の人なら、今の時間帯は学校に行っているだろう。
現在時刻は9時30分。幾度となく聞いた目覚まし時計の音で、僕は目が覚めた。
長めの黒髪をかき乱しながら、僕はゆっくりベッドから出る。紙箱からマスクを取り出し、それを口元に着ける。私服に着替えてから部屋を出て、キッチンにあるカップラーメンを取りに行く。
普段から何も変わらない、いつもの生活。
別にこの生活で不自由なことはない。好きな時間に起き、好きな時間に食べ、好きな時間に勉強し、好きな時間に寝る。
これほど楽な生活はあるだろうか。だが、欠点を言うならば、同年代と関わる機会が皆無なことと、外出しない為、運動不足が更に悪化することくらい。
……そんな生活でも全然構わないと、僕はそう思ってる。
友達を作りたいなんて欲望は、中学の時点で消え失せた。友達を作ったところでまた誤解され、勝手に離れていくからだ。
僕は小学校の頃から周りから誤解を受けやすく、自分がやっていないことを自分のせいにされたりした。
僕は面倒なことになるのが嫌だった為、全て自分がやったと言っていた。しばらくは陰口悪口が飛び交うが、いつかほとぼりが冷め、誰も気にしなくなる。
それと、誰かが悪く言われることが嫌いだった為、いっそのこと僕が代わりに悪口を言われれば、誰も傷つかずに済むと思ったから。
僕はそれを善意でやっていたが、その善意につけ込んだ連中からいじめが始まった。
最初はただ罵倒されるだけだったが、徐々に物を隠されたり、暴力を振るわれたりした。日に日にそれがエスカレートし、僕の身体は傷だらけになった。
誰も傷ついてほしくなかったから、良かれと思って自分が責任を背負っていたら、いつのまにか僕の居場所は無くなっていた。
中学校に進級した後も同じ。
小学校の時のトラウマで笑うことができなくなり、顔が怖いという理由でいじめられるようになった。
だから僕はマスクで顔を隠しながら生活することにした。そんな生活が3年間続き、耐えられなくなった僕は、中3の後半に不登校になった。
高校へ行かないことを決め、しばらくの間自室に引きこもった。中学の卒業式にも出席せず、校長室で卒業式を行った。
卒業した後も高校に入学せず、独学で勉強をした。そんな生活が1年以上続き、いじめられたこともあってか、人に恐怖を抱くようになり、人とどう接すればいいかわからなくなった。
だから僕は学校へは行きたくない。行っても無駄。そう思っている。
だから僕は自分で勉強する。毎日問題集を解きまくる毎日。勉強ばかりで退屈だと思うことはあるが、それでいい。学校に行くよりはマシだから。
いつものように問題集を解いていると、微かに玄関のドアが開く音が聞こえた。
多分、帰ってきたのは母親だろう。そう思いながら問題を解いていると、階段を登ってくる音が聞こえ、しばらくすると部屋をノックする音がした。
部屋のドアを開け、母が自室に入ってきた。
「ただいま光瑠。お勉強中かな? 」
長い茶髪を後ろで結び、ぱっちりした目。明るくて誰とでも分け隔てなく接する為、町内で人気があるらしい。なんでそんなに人と接するのか、よくわからないけど。
「おかえり。お母さん」
「いい加減、そのマスク外したら?今はマスクする季節じゃないでしょ?」
「マスクしてる方が落ち着くんだよ」
「そう。光瑠がいいならいいけど、あ、それより光瑠。そろそろさ、……学校、行ってみない? 」
「えっ? 」
いきなり何を言いだすかと思えば。学校に行きたくない理由は、お母さんが1番知っているはずでしょうが。何故に?
「……嫌だよ。僕が学校嫌いなの、お母さん知ってるでしょ? 」
「それはわかってるけど、学校はそんなに悪いものじゃないわよ。きっと、光瑠の良さをわかってくれる友達ができる。そう思うの」
高校。昔は憧れていたけど、もう憧れとか、そんな感情は持てない。小・中学校であれだったんだから、高校もきっとそんな感じだろう。そんなふうにしか思えなくなった。
「今の生活で充分だよ。ちゃんと勉強してるし。ごめん。学校には、行きたくないよ」
「……そっか。光瑠の意見を尊重するから、無理に学校に行けとは言わない。でも、もし行きたくなったら言ってね。いい高校、知ってるから」
「……うん。わかった」
僕がそう言うと、母は少し笑い、部屋から出て行った。
「いい高校……か」
いい高校なんてあるのかどうか。まあ、考えるだけ無駄だろう。どうせ期待を裏切ってくれるんだから。
お母さんが学校に行くのを勧めてくれているのに、行かないのは正直申し訳ないと思ってる。
でも、傷付くのが怖いから。次はどんなことをされるかわからないから。愚かなわがままだということはわかってる。けど、しばらくはこの生活をさせてほしい。
「あと2ページ終わらせよ」
そう呟き、問題集を解くのを再開した。現実から目を背けるように、問題を解くのに集中した。普段やることと言ったらこれしかないからだ。 一種のストレス発散だとも最近思い始めてきた。
学校には行かず、自由な生活。やることはただ問題集を解くか寝るだけ。そんな色のない生活が、まさかあんな風になるなんて、今の僕にはまだ知る由もなかった。
いかがだったでしょうか。
不幸な学校生活をおくっていた光瑠くん。
彼はどんな生活をおくるようになるでしょう。
次回もお楽しみに!
感想、評価をもらえるとモチベが上がります!
ぜひ、お願いします!
それではまた次回のお話でお会いしましょう!