そんな君、こんな僕   作: 龍也/星河琉

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みなさんこんにちは!龍也です!
今回は光瑠くんが抱えている
気持ちについてのお話です。


第2話 羨望

 

 

 

 

浅い眠りについた僕は、夢を見た。

幼い頃の自分と、自分と一緒にいる

2人の女の子との思い出が視界に入る。

 

近くの公園で、僕を含めた3人の子が、追いかけっこをしている。

 

「あはははっ! 」

 

「ちーちゃん、まってよー! 」

 

「ああっ、ちーちゃん、ひかちゃん!

おいていかないでー! 」

 

幼い頃の無邪気に笑う僕と、その横で楽しそうに笑う女の子と、泣きそうになりながら2人を追いかけるもう1人の女の子。

これを見ると、この頃の僕は本当に純粋だったのだと再認識する。

まだ人の闇を知らないとき。

 

純真無垢だった自分を、今では呪いたいとまで思う。

 

今となっては忌々しい思い出だ。

できれば思い出したくはない。

だが、夢は自分で選んで見ることは絶対にできない。僕の望みを無視し、思い出したくないと願っている幼い日の出来事が夢に出てくる。

それが嫌で嫌で仕方がない。

 

しばらくすると徐々に周囲が黒くなっていき、気がついた時、僕は目を覚ましていた。

 

僕の目から一筋の涙が伝った。

 

「……またか」

 

僕は低くそう呟き、腕で涙を拭ってベッドから出る。

 

幼い頃の夢を見ると、自分の意思とは関係なく目から涙が頰を伝う。

 

何故涙が出るのか。

 

自分ではわからない。だが、ひとつだけ思い当たる理由としては、あの頃のようには戻れないという悲しみや後悔。それらが原因であると、僕はそう思っている。

 

あの2人が今どうしているかなんてわからないし、多分、僕が知ったところでなんの意味もないだろう。

もう、二度と関わることなんてないんだから。

 

 

 

いつも通りマスクを着けて着替えを済ませ、部屋にこもって勉強する。

ひたすら問題集を解いて疲れた為、ペンを置いた。

軽く伸びをした瞬間、部屋のドアがノックされた。

 

母親が静かにドアを開け、中に入ってきた。

 

「光瑠。おつかい、頼んでもいいかな?」

 

母親が僕にエコバッグとメモ、千円札3枚を僕に差し出した。

 

「どうしたの?」

 

「今、手が離せなくて。残ったお釣りでプリン買ってきてもいいから、行ってきてくれない?」

 

「…わかった。行くよ」

 

母には迷惑をかけてばかりなので、自分が母にできる限りのことをすると決めている。

そうでもしなければ、親への罪悪感でおかしくなりそうになる。

 

差し出されているエコバッグ等を受け取ると、母はたちまち笑顔になり、ありがとうとお礼を言い、部屋を出て行った。

 

 

「……さて、行こう」

 

黒い上着を羽織り、僕は家を出た。

 

 

時刻は16時。

 

今はもう5月の下旬。

暖かくはなったが、この時間帯は少し寒い。上着を羽織って正解だった。

 

家の近所にあるスーパーへ行き、メモ用紙に書いてある食材を買い物かごに入れ、レジへと向かう。すると、50代くらいのおばさんがレジを担当してくれた。

 

商品のバーコードを読み取りながら、おばさんが僕に話しかける。

 

 

「お兄さん、なんでマスクしてるの?風邪かい?」

 

「え、……まあ、そうですね」

 

「気を付けなよー? 誰かに移したら大変だからねぇ。」

 

「・・・そうですね」

 

別に風邪をひいている訳ではないのだけれど。

変に理由を言って詮索されるのが面倒なので、理由を聞かれたら大抵は風邪か、花粉症だと偽り、誤魔化している。

 

「お会計、2280円です」

 

「あ、これで」

 

千円札3枚で会計し、エコバッグに買ったものを入れた後、僕はスーパーを出た。

 

 

帰り道を歩いている途中、制服を着た生徒と何人もすれ違った。多分、学校帰りなのだろう。

 

 

「それで、B組の◯◯がさ〜」

 

「えー、まじで!?あははっ! 」

 

他愛のない話をする2人の男子生徒とすれ違う。

 

僕は一瞬顔をしかめたが、不審に思われないようにすぐに真顔になる。

 

こういうことが起きるから、この時間に外に出るのはあまり好きではない。

 

極力同年代の人の顔は見たくない。

ずっとそう思っている。

 

だが、笑いながら話をする男子生徒の姿を見て、僕は不覚にも、それを少し羨ましいと思ってしまった。

 

きっと彼等は充実した学校生活を送っていて、なにひとつ不自由なことなんてないのだろう。

僕みたいに、常に罪悪感に苛まれることなんて、

ないのだろうと。

 

全ては自分の我儘でこうなっている。

学校へは行かず、同年代の人間を見ると嫉妬をする。

つくづく、そんな自分を愚かで醜いと思う。

 

歩きながら僕は考え事をした。

 

本当に、このままでいいのだろうかと。

今の生活は自分にとってストレスはないが、それと同時に、なんの成長もないんじゃないか。

このままあと1年間、親に迷惑をかけっぱなしで、本当にそれでいいのかと。

 

本来なら学校に行かなければならないのを、親の情けで不登校だということを認めてもらっている。

母はそれを言ったら違うと言うだろうけど。

僕はそう勝手に捉えている。

 

 

自分のことを考え直すと、いかに自分が悪い人間だということを思い知らされる。

どんなに取り繕っても、身内に迷惑をかけてばかりの不届き者。

その事実が変わることは決してない。

 

そんなことを思いながら自宅に到着し、玄関に入った。

 

「あ、おかえり光瑠。早かったね。ちゃんと買ってきてくれた? 」

 

「うん。買ったよ。はい」

 

母にエコバッグを渡し、買い忘れがないか確認してもらったところ、母が笑顔でサムズアップをした為、買い忘れはないことがわかった。

 

 

「光瑠、浮かない顔してるわね。なにかあった?」

 

僕の顔を覗き込みながら、母はそう聞いてきた。

 

「マスクしてるんだから、浮かない顔かどうかなんてわからないでしょ」

 

「わかるわよ。何年あなたの顔を見てると思ってるの。

目を見るだけでわかる。なにか悩み事とか、あるんじゃないの?」

 

 

「……」

 

 

母親は妙なところで勘が鋭い。

僕の考えてることは全部、お見通しってことか。

…あんまり詮索してほしくないんだけどな。

 

 

 

「別に。お母さんが気にすることじゃない。ごめん。部屋に戻る」

 

「あっ、光瑠!ちょっと! 」

 

僕は母に構わず二階へ上がり、自室に入った瞬間にベッドにうつぶせになった。

 

 

苛立ちでも悔しさでもない、なんとも言えない感情が、僕の頭の中でいっぱいだった。

 

「……僕は…」

 

 

 

なんとも言えない謎の感情を抱きながら、僕は現実から逃げるように、静かに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか。
光瑠くんはずっと罪悪感を
抱えて生活しているのです。
そんな彼は、この生活をどうするのでしょうか。
次回もお楽しみに!
感想、評価をもらえるととても嬉しいです!
ぜひ、お願いします!
それではまた次回!
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