そんな君、こんな僕   作: 龍也/星河琉

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みなさんこんにちは!龍也です!
今回から光瑠くんが羽丘学園に通います!そこにはある意外な人物が……?


第5話 初日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりにかけた目覚まし時計の音で僕は目が覚めた。起きてすぐに目に入ったのは、まだ1度も着たことがない新品の制服だった。その制服を今日、着ることになる。

 

あれから約1週間後、全ての入学手続きが終わり、羽丘学園の2年生として入学することが決まった。注文した制服が届いたので、今日から僕はれっきとした高校生になる。高校生になるまでかなり時間が空いてしまったことが悔やまれるところだが、過去のことを振り返ってもしょうがないし、現にこうして高校生になれたのだから、今は前だけを見据えて生活すると決めている。過去を振り返っても、幼馴染と会えないのも重々承知しているので、一種の戒めとしての意味もある。

 

パジャマを脱ぎ捨てて制服のズボンとワイシャツを着て、ネクタイを締めた。こうして制服を着るのは久しぶりで、中学校の頃の毎日繰り返していた日課が戻ってきたように思い、懐かしさと同時に不安がこみ上げる。

 

高校には知ってる人が誰もいないと思うので、前のように酷い事をされることはないと信じてはいるが、可能性は0ではない。極力目立たないように生活していれば何かされることはないだろう。友達なんて作らなくても勉強さえできればそれでいい。そう割り切ることにしている。

 

 

1階へ降りてリビングに行き、朝食と昼食兼用の菓子パンを冷蔵庫から取り出すと、母もリビングへと入ってきた。

 

「おはよう光瑠。制服、似合ってるわよ! 」

 

「おはよ。ありがと」

 

「今日から学校だけど、緊張してる?」

 

「別に。緊張もしてないし期待もしてない」

 

「またすぐそういうこと言う!せっかく高校行くんだから、ちゃんと友達作らなきゃダメよ!高校生活なんてあっという間なんだから! 」

 

「できたら奇跡だね。まぁ、おとなしく過ごすよ。目立ちたくないし。じゃ、準備してくるから」

 

 

準備の為、僕は歯磨きを済ませて階段を登った。妙に母がニヤニヤしていたが、大体予想がつくので頭の隅においやった。妙なところで勘が鋭いので、僕が考えていることもすぐに見透かされそうだ。母のそういうところは、少し苦手だ。

 

 

リュックに勉強道具を入れ、灰色のブレザーを羽織り、口元にマスクをつけた。これで学校に行く準備ができた。僕はリュックを背負い、玄関へ向かう。

 

 

玄関で靴を履き、ドアを開けようとすると、母から引き止められたので振り返ると、紺色の包みを渡された。

 

「光瑠ー、お弁当忘れちゃダメでしょ! 」

 

「え、パン持ってくからいいよ」

 

「パン1個じゃ絶対お腹空くわよ。せっかく作ったんだから食べなさい!光瑠の好きなものたくさんいれておいたから! 」

 

正直、日頃からそんなにお腹は空かないのだが、せっかく作ってくれたのに食べないのはもったいないので、しぶしぶ弁当箱を受け取った。

 

「ありがとう。それじゃ行ってきます」

 

「気をつけてね! いってらっしゃい! 」

 

 

僕は家を出て、羽丘学園に向けて出発した。歩きながら、僕はあの日自分と目が合った男子生徒のことを思い出した。もし彼と同じクラスになったら、何か言われるのだろうか。いや、別に何も言われないだろう。見た目で人を判断したくはないが、彼の見た目からして、僕と関わるような人間ではないだろう。彼は今の人生に満足している感じの人間に見えた。関わるのはやめておいた方が良さそうだ。

 

 

色々と考え事をしているうちに羽丘学園に着いた。家から10分程歩けば着くので通いやすい。登校している生徒がたくさんおり、あまりの人の多さに少し頭痛がしたが、すぐに治った。

 

 

職員玄関から入るようにあらかじめ指示されているので、静かに職員玄関で上靴に履き替え、担任に会うために職員室へと足を運んだ。

 

職員室で他の先生に担任を呼ぶようにお願いすると、すぐに呼んでくれた。名前からして女性の先生と予想したら、案の定女性だった。

 

「今日からお世話になります、本田 光瑠です。よろしくお願いします」

 

「おはよう本田君。2年B組担任の山口です。これからよろしくね! 」

 

「はい」

 

人が良さそうな担任で良かった。そう思い、僕はほっと肩を撫で下ろした。

僕の所属するクラスは2年B組らしい。担任曰く、そのクラスは女子がクラスの大半を占め、男子が2人しかいないらしい。ほとんどが女子生徒なら特に関わる機会もないし安心である。よし、気楽に行こう。

 

 

B組の教室に案内され、少し廊下で待っていてと言われたので、廊下の隅で待つことにした。既に教室が騒がしい。いつもこのくらい騒がしいのか、それとも新しく僕がクラスに入るから騒がしいのか。どっちなのだろうか。教室ではSHRが始まり、担任が僕の方を見ながら手招きをした為、僕はゆっくりと教室に入った。

 

教室が急に静かになり、生徒の視線が一気に僕に集中する。小学校の時の自分を見る周りの視線と同じ感じがした。視線が全て自分に集まっている状況の中で、僕は自己紹介をした。

 

「……本田 光瑠(ひかる)です。これからよろしくお願いします」

 

自己紹介を終えた瞬間、ザワザワと教室が騒がしくなった。さっきまでの沈黙は一体なんだったのだ。

 

「はい静かに! みんな、本田君と仲良くするように!あ、本田君の席は窓側の1番後ろね! 」

 

「あ、はい」

 

僕は1番後ろの席の方へ行き、静かに椅子に座った。何人かからの視線を感じるが、気にせずに先生の話を聞くことにした。さっきから隣の席の人からの視線が凄い。僕を見ても何も出やしないのに。やめてほしい。

 

先生の話が終わり、礼をして座ってすぐに、僕に視線を向ける左隣の席の人を確認したら、 あっ。と思わず小さな声で驚いてしまった。

 

 

……あの時目が合った、男子生徒だった。

 

僕は急いで彼から目を逸らし、1時間目の授業の準備をした。横目で彼をちらりと見ると、退屈そうに頬杖をつきながら窓の外を見ていた。僕は少し安堵し、教科書に軽く目を通した。

 

マスクを着けているおかげか、誰も僕に話しかけてこない。うん。それでいい。そっちの方がこちらも助かる。女子達が小声で何か話しているが、教科書を読むことに集中した。小声で話している女子に気付いたと同時に、紫色の髪の女子からの視線にも気付いた。少し怖いのでそれもスルーすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

彼が入ってきた瞬間、すぐにわかった。マスクで顔を隠しているが、昔と全く変わらない、綺麗な目をしていたから。

 

「新しい男の子、なんでマスクしてるのかなー? ってあれ、薫、どうしたの?さっきからあの人のことばっかり見て」

 

「あ、いや、なんでもないよリサ。気にしないでくれたまえ」

 

「んー? わかったよー」

 

「すまないね」

 

リサが首を傾げていたが、私にはそんなことよりも、今教室に入ってきた男子生徒のことで頭がいっぱいだった。

 

 

「……光瑠……」

 

儚く、綺麗な瞳で教科書を読んでいる彼の名前を、私は小さな声で口に出した。

 

 

 

 

 

(誰かから呼ばれたような気がするけど、……気のせいだよね)

 

 

心の中でそう思い、僕は優しく教科書を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか。
思わぬところでの再会。光瑠くんはまだ彼女のことに気付いてはいないみたいです。光瑠くんの隣の席の「彼」の真意とは……?
次回もお楽しみに!
感想、評価、どれもとても嬉しいです!ぜひ、お願いします!
それではまた次回のお話でお会いしましょう!
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