個性『ハジケ』   作:鴉星

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 ちょっとした事情で投稿することになりました。ギャグがド下手なのでお目汚しではあると思いますが、よろしければどうぞ。


クイズ! オールマイトでドカン! 全問正解でところてん一年分をプレゼント!!

「さー始まりました! 始まってしまいました!! クイズ、オールマイトでドカン!! 全問正解でところてん一年分をプレゼントのコーナーです!」

 

 1人の若者がマイクを片手にハイテンションでカメラを前に笑顔を振りまく。

 

 しかし、その若者の顔には歯を見せながら笑う仮面が取り付けられており、素顔をみることはかなわない。

 

「さて、本日の回答者はオール・フォー・ワン率いるヴィランの方々でーす」

 

「てめぇ!! なんなんだここは!! いつの間に俺たちを連れ出したぁ!!」

 

「おーと、死柄木選手やる気満々のようです。意気込みをどうぞ!」

 

「殺す!!」

 

「フン!!」

 

「ゴハッ!?」

 

 若者は死柄木と呼んだ男の頭をつかんで回答席にたたきつける。

 

「司会者に対して失礼だろ。死柄木選手のポイントはマイナス100点だな」

 

 回答席に備わっている液晶画面の数字が0から-100に切り替えられた。

 

「しっかりしてください死柄木弔!!」

 

「はい、黒霧さんも他の回答者に触れたから-50ね」

 

「え!?」

 

 隣にいたヴィラン黒霧も-50が表示された。

 

「さて、色々とうるさいことが起きましたが、本日のスペシャルゲストをご紹介しましょう! 平和の象徴オールマイトです!!!」

 

「ど、どうも(なんでいきなりこんなところに、というかあれはどう見てもオール・フォー・ワン!! 生きていたのか!!)」

 

 今すぐにでも取り押さえたいところであるが、何故か体を動かすことができない。オールマイトはすぐさま仮面の若者――スマイリーを見つめる。

 

(彼の仕業なのか……)

 

 ここ最近巷を騒がせるヴィジランテチームがいることはオールマイトも知っていた。

 

 何せ、倒したヴィランや犯罪者を動画として投稿するのだ。内容としては、夜多くのヒーローが活動を終えていく中での女性を襲う性犯罪者などを叩きのめし、近くにあるヒーロー事務所の名前を挙げ、サイドキックなどと連携して夜間警備をしていれば捕らえることができたことや、屋内での違法行為をしているヴィランたちのアジトに突入して、すべての証拠と関係者たちのリストを公開するなどやりたい放題で、最後に必ず「この程度のことも解決できないならヒーローやめちまえ!」という少々過激ではあるが、ネット上では人気が高く、感謝のコメントも多い。

 

 他にもスタンダール、ジェントルという仲間がおり、大物ヴィランなどの時は三人での動画が投稿されることがある。

 

「……スマイリー、一ついいだろうか」

 

「なんですオールマイト。いくら俺があなたのファンでも得点は加算しませんよ」

 

「いや、そうじゃないよ。ただ聞いておきたくてね。ここはどこだい?」

 

 先ほどまで自分は後継者と認めたとある少年の修業を見ていたはずだ。

 

「奴らのアジトです」

 

「…………テレビスタジオが?」

 

「ちげぇよ!! 俺たちだっていきなりここに「シャラップ!!」ぐはっ」

 

 目を覚ました死柄木だったが再び黙ることになった。

 

「まったく油断も隙も無い」

 

「オールマイト……」

 

「っ! オール・フォー・ワン!!」

 

「……彼は一体なんだ?」

 

「…………なにが言いたい」

 

「先ほどからここを出る算段を考えていた。僕の力があれば、とね」

 

「…………」

 

 オールマイトは警戒しながら話を聞く。なぜならリクライニングチェアから立ち上がることができないからである。

 

「個性が使えないんだよっ! こんなことがあり得るのか!?」

 

「っ!」

 

 オール・フォー・ワンが怒りと戸惑いの声を上げている。そのことにオールマイトは混乱している。あのオール・フォー・ワンが……。そんな感想が頭を支配する。

 

「さてさて、時間も押してるんでささっと行きますよ! 第一問!!」

 

 スマイリーは何事もないかのように進めていく。そして手にもっていた紙を読み上げる。

 

「オールマイトの傷口はわたくしことスマイリーが治しましたが、果たして完治しているでしょうか? はい、早押しです! 正解したらところてんポイントを1つ贈呈しますよ!!」

 

 ところてん!

 

「なにその音!?」

 

 オールマイトはあまりにも力が抜ける音に声を出してしまった。

 

「はい、オール・フォー・ワン!」

 

「完治している」

 

 ブー

 

「何!?」

 

「残念! 実は完治していません。というより治していません」

 

「そ、そんなハズはない!」

 

 今度はリクライニングチェアから立てるようになったオールマイトは反論する。

 

「わ、私の身体は間違いなく治っている!! 君が治してくれたじゃないか!! ハジケフラッシュと言った後、間違いなく全盛期と同じ力を取り戻せているし、手術で摘出した臓器も治っている!!」

 

「えい」

 

「ゴフッ」

 

 スマイリーがオールマイトの額を叩くと、ガリガリのオールマイトが現れた。

 

「ほら、治ってないでしょ。まっ、正確には完璧に直さないほうが、スマイリーの活動を邪魔された時に脅せるかなって。てへっ」

 

(酷い……)

 

 黒霧は素直にそう思った。

 

「て、わけでオール・フォー・ワンは不正解」

 

「うっ、ぐあああああああああっ!!」

 

「っ先生!!」

 

 気を失っていた死柄木がオール・フォー・ワンの叫び声で目を覚ます。

 

「何をしやがった!」

 

「個性をはく奪しちゃった♡」

 

「何!?」

 

「といってもーいろいろな個性を持っているから全部とるのは時間がかかっちゃうの」

 

 本来は一発で個性をはく奪できるが、盛り上がらないためやらないだけである。

 

 ついでにスマイリーは唐突の女性のしゃべりになったりするが、性別は男である。

 

「さて、続いて第二問!!」

 

 苦しみ悶えるオール・フォー・ワン。口から血を少量流しているオールマイトを放置して、クイズを続投する。

 

「こちらの映像をご覧ください」

 

 用意されていた巨大液晶画面に映像が流れる。

 

『劇場版 オールマイトVSところてん』

 

「んだそりゃ!?」

 

 内容としては、大物ヴィランところてんとオールマイトの戦いを描く十分程度の短編アニメとなっている。ただ、作中のところてんは幾度となくオールマイトを追い詰めており、一般人たちの応援がなければオールマイトは敗北していたほどである。

 

 そして映像が終わる。

 

「さて、劇中で出てきた一般人の総数は?」

 

『解るか!!!!』

 

 その場にいたヴィランたちの怒号が響く。

 

「やれやれ、3万3917人だよ。数えてないと」

 

「できる分けねぇだろうが!! てめぇ殺すぞ!!」

 

「はい。ドーン!!」

 

「ぐほっ!??」

 

 再び攻撃を受ける死柄木。

 

「さて、全員不正解なので個性を没収ー」

 

『ぎゃああああああああ!!!!』

 

 ヴィラン達の苦しむ声が響き渡る。

 

「うーん。悪党を退治している感じ伝わるねー」

 

「ゴホッ……ス、スマイリー」

 

「あ、オールマイト。すんません今治しますね。ハジケフラッシュ!!」

 

「お、おおおっ!?」

 

 スマイリーから発せられる光を浴びたオールマイトの身体が急速に膨れ上がり、無いに等しい筋肉が急速に膨れていく。

 

「戻っている! ふん!!」

 

 全盛期と全く同じ力を体から感じている。

 

「スマイリー君の個性は一体……」

 

「オールマイト、それ以上聞くならもう一度……」

 

「い、いや、済まない! 聞かない。もう聞かないよ!!」

 

「さて、なんかクイズも飽きたし、そろそろこいつら捕まえようかな。来いハジケ監獄日本部署!!」

 

 テレビスタジオのセットが消え、現れたのは巨大なオールマイトの顔をしたトラックだった。ピカリと目が光りだすと、オールマイトの口がパカリと開いて中からスマイリーと同じ仮面をした男たちが盆踊りをしながらわらわらと現れた。

 

(怖え……)

 

 あまりの不気味さにドン引きしているオールマイト。そのままヴィランたちを口の中に放り投げていった。

 

「ええっと、麺の世界でいいか」

 

「なにをしているんだいスマイリー」

 

「奴らを幽閉する世界を決めてるんです」

 

「世界? あのトラックの中にかい?」

 

「トラックじゃなく監獄です。中を覗いてみます?」

 

「(怖いけど)お、お願いしようかな」

 

 精一杯笑顔を見せるオールマイトだったが、冷や汗でダラダラだった。

 

「んじゃ一名様ご案内でーす」

 

 一瞬にしてバスガイドの格好に変わったスマイリーのあとについていく。

 

「はい、こちら以前収容した死穢八斎會のいるパンの世界でございます」

 

 覗いてみると、

 

「くらえ、俺のメロンパン!!」

 

「甘いわ。あんぱーんっ!!!」

 

「ぐあああああっ!!」

 

 若頭であった治崎廻のメロンパンは返り討ちにあい、あんぱんの波が彼を襲う。

 

「…………なにこれ」

 

「このパンの世界は一流のパン職人にならなければ外に出ることができない仕様でございます。とはいえそのころにはパンを作ることに情熱を注ぎすぎて、悪事なんて考えられなくなるでしょうが」

 

「……オール・フォー・ワンも?」

 

「立派な麺職人になって帰ってくるでしょうねぇ」

 

 なぜか仮面から涙があふれてそれをハンカチで拭いているが、オールマイトは気にしないことにした。

 

「し、しかし、警察に渡さないとまずいのでは?」

 

「あ、警察にはちょっと交渉してOKもらってます」

 

「……ちなみにここから出たやつは?」

 

 オールマイトはそろそろ疲れてきていた。

 

「今では有名なシェフやってます」

 

 スマイリーが見せてきた本には三ツ星シェフとして有名な人物の写真があった。

 

「マジ!? 私、君が前に治してくれた後ここ行ったよ?!」

 

「おいしかったでしょ?」

 

「ああ、うん。じゃなくて!」

 

 ツッコミを入れたいが入れたところで無駄なのだろうと思い始めたオールマイトは頭痛がするのか頭を押さえる。

 

「ま、世の中ハジケが必要というわけですよ」

 

「ハジケ?」

 

「そ、ハジケていない奴は絶対に俺には勝てないんですよ」

 

「そ、そうかい……」

 

 ハジケがなんなのか聞きたかったが、聞いたらいけない気がした。

 

「んじゃ、そろそろ帰りまーす」

 

「あ、ちょっと!」

 

「次の動画をお楽しみにー」

 

 スマイリーはそのまま姿を消した。

 

「………………あ、オール・フォー・ワンが捕まったなら私後継者探し急ぐ必要ない?」

 

 アジトに一人取り残されたオールマイトはぽつりとつぶやいた。

 

 なおこの後、スマイリーの新しい動画として今回の物が投稿されたが、内容が何一つかみ合っていないスマイリーとオールマイトの共闘でとてつもない凶悪ヴィランを倒したという内容になっており、いろんな意味でオールマイトはスマイリーに恐怖を覚えたとか。

 

 余談だが、動画内ではオールマイトは窮地に陥っており、そこへスマイリーが手をかしたことになっていた。そして動画の最後に『オールマイトばかりに頼っていたら、いつの日かこの国は終わるぞ』というメッセージが流れ、それができないならヒーロー辞めろ。とスマイリーの言葉で締められた。

 

 

 

 

 

 

 

「さぁーて、ハジケてない奴らはどこかなー」

 

 

 スマイリーは今日もどこかでハジケている。

 

 

 

 

 

 

 




個性 ハジケ

 いわゆる「ふざけた行動」のすべてが現実になる。
 また、ハジケていない敵の攻撃はすべて無効化される。
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