個性『ハジケ』   作:鴉星

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今回はギャグ要素薄めで真面目に書きました。





超級戦闘区域・ハジケ横丁 序

「おめでとう。緑谷」

 

「ありがとうございますスマイリー」

 

「これでお前は後継者として相応しい肉体を得た。これからも精進するがいい」

 

「はい!!」

 

「あのーそろそろいいかな?」

 

「ん? ああオールマイト。事件はもういいんですか?」

 

「いや、まぁね……というか」

 

「というか?」

 

「緑谷少年がえらい筋骨隆々なんだけど!?」

 

 オールマイトは謎の三文芝居を横で眺めていたが、スマイリーの正面に立つ自分より大きな男が自身が後継者だと認めた少年だとは最初は気がつかなかった。というよりスマイリーが名前を呼ばなければ気がつかないほどだ。

 

 たった一日仕事で来れなかっただけでここまで変わるのかと戦慄してしまう。

 

「ああ、これか。ほい」

 

「ああ!?」

 

 スマイリー針を出久に刺すとプシューと音と共に筋肉が萎む。

 

「何だ。見せ掛けだったのか」

 

 どこかほっとしてしまうオールマイト。もともとの身長に戻ったところを見てみるが、それでも出会ったころより筋肉がしっかりとつけられている。

 

(しっかりと出来上がっているな…………まぁ、あんな遊園地に放り込まれたら嫌でも鍛えられるか)

 

 二日前のダイナソーワールドでの出来事を思い出し身震いする。

 

「ああ、残念。もう少しオールマイトより高い景色が見ていたかったです」

 

「まぁ、また今度な」

 

「はい! 約束ですよ?」

 

(なんか私よりスマイリーと親しい仲になっているような……)

 

「それでオールマイト。緑谷に力の継承は?」

 

「ああ、合格。文句の言いようのない仕上がりだよ」

 

「よし!!」

 

 緑谷はその言葉を聞きたかったのか、笑顔を見せる。

 

「そういえば、彼はヘドロの時に人質になっていた子かい?」

 

 オールマイトの視線の先には、クソがあああああああ!! と叫びながらジェットコースターのコース上を走る一人の少年の姿があった。爆豪勝己である。

 

 近頃の緑谷の様子を距離を置いて見ていた爆豪は、死んでしまうのではないかという状態で学校に登校してきた緑谷になにかがあったのだと考え、後をつけた。そしてヴィジランテとして有名なスマイリーと共にいつの間にか出来上がっていた遊園地に入っていくのを目撃し、爆豪はなにか危険なことが起きていると勘違いを起こし、助ける義理などなかったのだが、ヘドロの一件が頭をよぎり、派手に助けて、雄英を受けるな! とでも言ってやろうと考え、中に入ってしまった。

 

 その後は流れるように迫力満点のアトラクションを体験させられ、ようやく開放された後に、緑谷本人から真実を語られた。

 

 最初こそオールマイトに認められたことに怒りで個性を使ってしまいそうになったが、体が動かせないほどであったため、聞くことに専念。その後はお互い言いたいことを本音で語り合い、スマイリーが無駄なおせっかいで爆豪の体力を回復させ、個性なしのガチのケンカをさせた。

 

 始めこそ遊園地で鍛えた緑谷が優勢だったが、爆豪の才能はそれを上回り、最終的には爆豪が勝利を収めた。

 

 スマイリーは爆豪を気に入り一緒に修行をしようじゃないか! と勧誘。一度は断ったが、翌日の放課後に緑谷と共に拉致され、今に至るのであった。

 

「まぁ、一人じゃ効率が悪くなってくるし、競争相手がいるほうが面白いでしょ」

 

「そうかもしれないが……うーん。大丈夫なのかい?」

 

「何が?}

 

「いや、今にも食べられそうになっているけど、本当に草食かい? 二日前に見たジェットコースターとなんだか姿が違うような」

 

「ああ、今走っているのは前に見たやつの姉だ」

 

「性別あるの!?」

 

「ちなみに肉食」

 

「マズイじゃないか!!?」

 

「平気だろ。今必死になってるし。あ、助けに行こうとしたらまた怪我人にさせるからそのつもりで」

 

「うぐっ……」

 

 ハラハラしながら見守った後、スマイリーは言った。

 

「さて、レベル1のトレーニングはここまででいいか」

 

「え……これ、レベル1なのかい?」

 

「ああ、ここは足腰などの基礎を鍛えるための場所だからな。次のレベル2は対人を想定している」

 

(足腰って言うけど、あのジェットコースター高低さ1キロとかあるし、どう考えても腕を使うしかないところもあるし……彼の設定はどうなっているんだ)

 

「さあ次に行くぞ! お次はこれ、ハジケ横丁!!」

 

 どこに隠し持っていたのかフリップを取り出した。

 

「ハジケ横丁? 聞いたことないが……まさか」

 

「ああ、うん。さっきできた」

 

「ああ、そうかい……」

 

 もはやツッコミを入れることすらオールマイト疲れていた。

 

「とりあえず概要だけここで説明すると、全長10キロほどの横丁だ。そこにはたくさんの店舗があるんだが、一件ごとにスタンプが置いてある。それを押してきてくれ。順番とか関係ないすべて押してきてくれ」

 

「それ横町ですか?」

 

「ちげぇだろ」

 

「違うね」

 

 緑谷の疑問は疲れきっている爆豪とオールマイトにばっさりといわれるが、スマイリーは特に気にした様子もなく。

 

「さて、これにはオールマイトにも参加してもらうからね?」

 

「そう来ると思っていたよ」

 

 三人はスマイリーからスタンプカードを受け取ると、突如として現れたUFOに連れて行かれ。

 

「頑張れよー」

 

 スマイリーは笑顔で見送った。

 

 

 

『ハジケ横丁。それは現代日本随一の激戦区。そこで生きる者たちは並の者たちではない』

 

「さっきできたばっかじゃねのかよ!」

 

 UFO内で流れるハジケ横丁紹介動画のナレーション(スマイリー)にツッコミを入れる爆豪。

 

「かっちゃん、落ち着いて、スマイリーさんのやることにいちいち突っ込んでいたら疲れるだけだよ」

 

「もう疲れてるわ! 散々走ったわ!!」

 

 手のひらから個性が出まくりな彼をなんとか落ち着かせようとする緑谷だったが、それは叶いそうにもない。

 

『なお、この横丁内では個性を使わないと死にます。気をつけましょう』

 

「ええっ!? ど、どうしましょうオールマイト! 僕まだ」

 

「落ち着け緑谷少年! さ、これを食べるんだ」

 

「へぁ!?」

 

 渡されたのは一本の髪の毛だった。

 

「これを食べれば継承は可能だ。さあ! 早く!!」

 

(思っていたのと違う……)

 

 そう思っていた緑谷だったが、新たなる試練はそこまで迫っている。文句は言えなかった。

 

『ご利用ありがとうございます。ハジケ横丁。ハジケ横丁でございます』

 

「電車かよ!」

 

「かっちゃん……」

 

「二人とも、本来なら個性を使うのは禁止だ。けど、スマイリーの用意した物なら話は別だ。私が許可しよう」

 

「上等だ!」

 

 獰猛な笑みを浮かべる爆豪と少しばかり不安そうな緑谷。そして笑顔を見せるオールマイトの戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

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