「う〜さむい。……経費削減とはいえ深夜の見回りが院長の私だけってのも…貧乏ここに極まれり!って感じよね…」
「ICUに入院中は山城さんと瑞鶴さん、翔鶴さん、大和さんね…………うん、4人とも機材含めて異常なし…早く退院できるといいわね」
「…やっぱり夜の病院は気味がわるいわよね…さっさと当直室戻ってカップ麺でも食べよ」
「………ご馳走さまでした……あれ、一般病室からナースコール………誰も居ないのに…でも確かめないと、ね」
「…あの〜だれかナースコール鳴らしました?…………」
「…そう、よね!早く帰ろ…っ!!……」
「いやーーーー!!!」
「ひやあああああ!!」
「凛!驚かさないでよ!」
「それからそれから!!」
「窓閉め忘れてて、揺れるカーテンがね…おばけに見えたの…」
「な…何よそのオチ…」
「ぷ…暁も、響も島風ちゃんも怖がり屋さんね!あなた達が怪談大会したいって来たのに…だらしないわね!」
「本物の病院ですると雰囲気でると思ったんだ」
「失礼ね!第一にここではまだ一人も死人は出してませんからね!」
「んーでもさあ、じゃあなんでナースコールが鳴ったの?」
「なんでかしらね、時々あるのよどこの病院でも」
「へー凛ちゃん先生はどこの病院に行ってたの」
「それよりほら、もうこんな時間よ?明日も早いんだしもう解散にしましょ」
「そうだね、じゃあありがとう凛」
「また明日もここで怪談大会よ!」
「暁も好きね〜」
「…さて、今日も当直か…お店で何か作ってこよ」
「…こんばんは!」
「…あら!赤城先生、どうしたんですか?」
「小腹が空いてしまいまして、食堂に向かっていたんですがここの明かりが見えたので来ちゃいました!」
「あ…赤城さん、ごめんなさい今日は営業していないんです」
「あら…そう、だったんですね…でも!この美味しそうな香りは何ですか!」
「あ…夜食にと思って…当直なので」
「凛ちゃん、私は今まで苦労してあなたに勉強を教えて来ました!」
「わ、わかりました!赤城さんの分も作りますから!」
「ありがとうございます!やっぱり凛ちゃんは私の自慢の生徒です!」
「……何人前作ればいいですか」
「夜食なので…とりあえず10人前を!」
「そこまで材料ありません!!」
「…ん〜!!深夜に食べる炒飯はなんでこんなに美味しいのでしょう!」
「餃子もどうぞ」
「ん〜!ありがとうございます!」
「いえいえ…というか、すみません病院の当直室まで来てもらって、ICUに患者さんがいるので長くは空けられないんです」
「…私達、凛ちゃんがそうしてくれるから、いざというとき危険な作戦でも行けるんです。だって、絶対に救ってくれるでしょ?」
「…そうありたいと、思っています」
「それくらい私達はあなたを信じています、大丈夫ですよ」
「…すごく嬉しいんですけど……ほっぺにご飯粒ついてます」
「あら!やだ!…」
「すみません、お仕事中にご飯ご馳走になって」
「いえ!いつも当直は一人ですから」
「なら!私が毎日来ます!凛ちゃんの話相手になりますよ」
「……ご飯たべにくるんですよね?」
「凛ちゃんが夜食を作るなら一緒に!!」
「もう来ないでください」
「…待って!」
「どうしたんですか?」
「何か聞こえます」
「え…でも今ICUからナースコールはないですし」
「人がいるのはこことその部屋だけですか?」
「…行ってみましょう、もしかしたら急変しているかもしれない」
「ええ!」
「ここです…」
「…とくに聞こえませんね、さっきは人の泣き声の様なものが聞こえたんですが」
「脅かさないでください!」
「本当なんですよ!」
「じゃあ…はいりますよ…」
「ええ!不審者はこの赤城が!」
「……特に異常はないですね…山城さん、大和さん、翔鶴さん、瑞鶴さんちゃんと4人いますしバイタルも安定」
「んーみなさんもう回復はしてるんですか?」
「はい、大和さんなんて病院の健康食を何だと思ってるのか…お代わりを要求して看護師さん達を困らせてたんですよ」
「…おかしいですね、みなさん寝ていますし…ではさっきの声は」
「もう!きっと赤城さんの空耳ですよ!だいたいさっきも暁達に言っておいたんですけど、うちの病院ではまだ死者は出ていないんですからね!」
「あら、暁達がいたんですか」
「ええ、怪談大会をしていたんです」
「本物の病院で怪談とは…面白そうですね!今度私も入れてください!」
「え!赤城さんもですか?…」
「ダメ…ですか?」
「いえ!赤城さんはそうゆうのは信じない方かと…」
「信じてなくても面白そうだからです!」
「…じゃあ、ありがとうござました。帰りお気をつけて」
「それじゃあおやすみなさい、凛ちゃん」
「…っ!何!この音」
「当直室からナースコールみたいです!」
「え…でも今人がいるのはICUだけだって…」
「…そうなんです、前にもこんな事があって」
「前にもって…そうゆうことは早く言ってください!」
「多分、機械の故障ですよね!朝になったら見てもらいます」
「っん!凛ちゃん!!うるさいです」
「そんな…ナースコールが全室で」
「ど、どうなってるんですか!!」
「わかりません…機械の故障?」
「とにかく止めてください!」
「…すみません、うるさかったですね…いまICU以外の電源を切りました、これで鳴ることはないです」
「ふぅ…あの4人が抜け出してイタズラしてるのでは?」
「ありません、夜間のICUはこのカードキーがないと出入り出来ませんから」
「じゃあ…一体」
「…あ…ああ…あ、ああ…あ…ああ」
「ひぃぃ!」
「凛ちゃん!隠れて!」
「…な、なんで隠れるんですか…」
「…凛ちゃんも聞いたでしょ、あの声間違いなくこっちに近ずいてきました…」
「…だからってなんでこんな狭いロッカーに…」
「ハッ!…私としたことが、ホラー映画ではロッカーに隠れた人から死んでいくんです…」
「…さっき幽霊は信じないって…」
「…でも、こうして現れたら仕方ありません!朝まで生き残りますよ…」
「あ…ああ、あ…」
「…まずいです!ロッカーの前にいますよ!…」
「扉を抑えてください!」
「そんな!内側からなんて無理ですよ!…いやーー!引っ張ってきた!!」
「絶対に開けちゃダメです!!凛ちゃん頑張って!」
「そんな!赤城さんも手伝ってください!」
「私は…無理な体勢で詰まってしまったので…」
「てゆうか!赤城さん戦ってくださいよ!」
「おばけ相手には無理です!!一航戦でも無理です!」
「いやーー!なんかすごい引っ張ってきました!開けられちゃいます!」
「…ああ、呪われて死ぬ前にお寿司と焼き肉食べ放題に行きたかったです」
「縁起でもないことを…わあああ!!」
「いたた……あれ?」
「目を開けてはダメ、目を開けてはダメ」
「電ちゃん!?」
「んぐ…うえええええんん!!」
「ど、どうしたの電ちゃん」
「ダメよ、赤城。目を開けてはダメ」
「…赤城さん、目を開けても大丈夫です」
「そんなこと言って、凛ちゃんもすでに亡霊さんの仲間で私を連れて行こうとしてるんですね!」
「…そんなんじゃないです」
「…え、電じゃない」
「…っぐ…凛ちゃん!赤城さん!ひどいのです!電から逃げてロッカーに閉じこもるなんて!」
「ご、ごめんね…でもどうして電ちゃん病院に?」
「怪談大会のとき、凛ちゃんの話でびっくりして、気づいたらみんな居なくなってたのです。それからみんなを探しに行ったけど誰もいなくて、玄関には鍵がかかってて…それで病室のナースコールを鳴らしたのです。そしたらここから明かりが漏れてたのです」
「あ!そうだ、帰るとき電ちゃんいなかった…ごめんね、夜食を作るのにお店に行ってたから、気づかなかった」
「何はともあれ!よかったですね!」
「…凛!!いるー」
「あ、暁と響だ…待って鍵開けるから」
「暁!響!」
「もう!電!どこにもいないから心配したよ!」
「見つかってよかった」
「でも電ちゃん、いくら心細くても病院中のナースコールを鳴らすのはやめてね!びっくりするから!」
「え?凛ちゃん何言ってるのです?電が鳴らしたのは一回だけなのです」
「え…」
「じゃあ、またなのです!」
「ええ」
「…凛ちゃん、今の聞きましたか」
「確かに全室で鳴りましたよね」
「わ、私もう知りません!」
「あ!赤城先生!待ってください!」
「……凛……」
「……お母、さん?」
後日、ナースコールの配線を調べてもらったけど異常はなかった
不意に聞こえたと思ったお母さんみたいな声
懐かしくて、優しくて…空耳だとしても、もう一度聞きたいな
「…失礼しますよ、提督さん」
「ああ先生どうぞ」
「で、どうしたんですか?」
「うん、実は第二次反攻作戦が始まった、貴官には部隊と一緒に現場に赴き、負傷した者の救護をしてもらいたい…たのむ、またあの惨劇を繰り返さないために君の腕が必要なんだ」
「…そのためにここに来ました。いつ出発ですか?」
「一週間後、赴任地はここから6000km離れた二湖島。現地に診療所を建てたからそこを拠点によろしく頼む」
「はい、私の留守中病院の看護師のみなさんと研修医の先生のこと、よろしくお願いします」
「ああ、任せてくれ」
「…お母さん、私みんなを救いに行ってくるね…見守っていて、蒼龍さんも、雷も…じゃあ、いつ帰ってくるかわからないけど、戻ったらまたくるね」
この記録は母の日記と一緒に私の机に入れておく
たとえ私がもどらなくても、誰かに私とお母さんのことを知ってもらいたいから
「でも、凛も私達と来ちゃうとはねー」
「暁、私と一緒はいや?」
「んん!臨むとこよ!凛がいると心強いしね!」
「あなた達、もうすぐ着くわよ」
「はい加賀先生」
「 なぜかしらね、あなたを見ていると鳳翔さんを思い出すわ」
「え、それはどういう意味ですか」
「誤解しないで、変な意味じゃないの…ただあなたの雰囲気があの頃の母に似ていると思ったのよ」
「加賀先生…」
「やっぱりあなた達は親子だったのね」
「ふふ、では加賀先生と私は姉妹ですね!」
「凛…先生はやめなさい、もうあなたに教えることはないわ私の妹を名乗るならその名に恥じぬ生き方をしなさい」
「…加賀、姉さん」
「凛として、生きなさい」
「お姉さん、どんな事があっても私は姉さん達を救います…だから必ず戻って来てください、必ず」
「ええ、あなたも必ず鎮守府に帰るのよ…私達の家に」
「みんな一緒に」