バカがバカやる物語   作:柳龍

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第2話 ボーボボ最高

 

「何かさー、トリオン体だから出来る遊びしねー?」

 

ソファーに寝転びながら、今週のジャンプを読んでいたトッシーが唐突に語りかけてきた。

 

「んだよ、いきなり。つーか、まだジャンプ途中だろお前」

 

そう言って、オレはトッシーに目線を向ける事なくスマホをイジり続けながら、今の自分のメイントリガーが何だったかを思い出そうとする。

 

ジャンプを読んでいる最中に別の娯楽を求める者には死しか無い。

 

「いやー、もう3周目に入っちまったからよー。あ、今週のオススメはアクタージュな。やっぱ、景ちゃんの雰囲気好きだわー」

 

オレはトリガーの起動を取り止めた。

 

「なら良いか。あと、それ以上言うなよ?ネタバレしたらマジで殺るからな?」

 

オレはスマホを仕舞ってトッシーの方に顔を向ける。

ちなみに、今のメイントリガーはスコーピオンだった。最近のオレの推しはアクタージュなのだ。

 

「んで?急にどうしたんだよ?」

 

「いやさー、ハンターハンター見てて思ったんだけど、トリオン体だったらヤバイシーンも再現出来んじゃね?って思ってよー」

 

そう言いながら、トッシーはジャンプを閉じてオレの方を向いて座り直した。

 

「あー、第4王子?のシーンか?まー出来るっちゃあ出来るな」

 

ややこしかったよなー、アレ。いや、ソコが見所なんだけどさ。

 

「アレじゃなくてもさ、色々やってみたくねーか?」

 

コイツは、この前こっ酷く叱られたのを忘れたのか???

 

この間の、何の合図もなく3人同時に決めた華麗なるトリプル土下座だったが、残念なことにお怒りの虎を宥めることは叶わず、猛説教を受けた挙句三ヶ月間給料9割カットの罰を受けた。

ハァー、仕方ない。ここらでビシッと注意してやるか。まあ、偶にはな、部下を嗜めるのは上司の仕事だしな。

 

ぶっちゃけ上層部からのオレの評価がマジで怖いし。

 

よっし、んじゃあビシッと言ってやるぜ。

 

 

 

「メッチャやりたい。何やる?」

 

ちゃうんや、工藤。だってオモロそうなんやもん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り敢えず何か思い付くか?」

 

諸悪の根源が尋ねてきたので、巻き込まれたオレは案を出そうとする。

 

「んー、カッコいい系もいいけど、やっぱりギャグがいいな〜。ボーボボとかどうよ?」

 

「おお!いいな!ボーボボ!生身じゃキツすぎるもんなアレ」

 

ジャンプ史上有数の流血漫画だ。ギャグ漫画なのに。

いや、ギャグ漫画だからこそ出来たとも言えるのか?

 

「そんで、どのシーンやってみるよ?」

 

「そうだなー」

 

何かないかと思い出そうとするが、あっという間に出てきた。

 

「ロシアンルーレット」

「アレか」

 

そう、アレだ。何だろう、自分でも驚くくらい急に出てきた。

 

「んじゃー、リボルバーがいるな。アステロイドベースに寺島さんに頼んでみるか」

 

「ああ、頼む。この前漫画貸した借りです、って言っといてくれ」

 

そう言って、オレは自分のトリガーを渡した。

 

「あいあい」

 

トッシーは駆け足で開発室に向かって行った。

 

「さて、と。他の準備はどうするかなー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボーダー基地内 宗馬隊作戦室

 

「さてっ、小道具も出来たが次はどうする?」

 

寺島さんからアステロイドの調整をして来てもらったトッシーが、笑顔を浮かべながら聞いてくる。

 

「あー、それなんだけどよ。5発も頭に食らったら、途中でベイルアウトしちまうよな」

 

最初から気付けよという話しだが、2発目までなら早撃ちでいけるかもしれないが、5発は流石に無理だ。

 

仮想戦闘室でなら出来るかもしれないが、こんな理由で使用許可は降りないだろうし、スマホで動画に撮ることも出来ない。

 

「そこは大丈夫だぜ。威力とサイズを低めに設定して貰ったから、撃ち終わった後に一言くらい言えるようになってるはずだ」

 

「マジかッ、グッジョブ!んじゃあ、どっちがどの役やる?」

 

「オレはどっちでもいいぜ。でもまー、キャラ的にオレが金天ボで、お前が首領パッチじゃね?」

 

「はぁ?って言いたいけどオレもそう思うわ。「宗馬はアレだな。ヤラレ役が染み付いて来てるな」って、この前東さんに言われちまったしな」

 

「かはは、東さんにそこまで言わすなんてよっぽどだな!」

 

「うっせー、誰のせいだ。いいからもうやろうぜ。あ、あと動画撮ろうぜ。やり直し出来ないしな」

 

「おう、いいぜ。じゃあオレのスマホで撮るな」

 

「ああ。じゃあオレのスマホで三つ目の奴のセリフ入れて流すから」

 

「ああ、そうか。それも必要だったな」

 

「だろ?あと、場面の切り替えけどよーーー」

 

 

 

 

うし、じゃあ準備も出来たことだしヤルか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボーダー基地内 宗馬隊作戦室

 

カチカチカチカチカチ

「1、2、3、4、5・・・・・・オレの勝ちだな」

 

コ、、、コイツ

イカレてやがる

 

ドンドンドンドンドン

「1、2、3、4、5・・・・・・チョロイね」

 

コイツもイカれてやがる

 

ドンッ!(ベイルアウト音)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ぎゃははは!!!」」

 

マジで出来ちまったよ!

ヤベー、何度も見返してるのに笑いが止まらねー。

 

「こ、これ。皆んなに送ろうぜ。テロるはマジで」

 

息も絶え絶えになりながらトッシーが提案してくる。

 

「だな。ぶっちゃけ城戸司令とかに直ぐバレるけど遅かれ速かれだしな。ププッ、だ、誰から送る?」

 

「ま、待て待て、見た時の反応も見たいから、片方が話してる間にもう片方が送ろうぜ」

 

「ナイス!トッシー!冴えてる!!んじゃ早く行こーぜ!先ずは公平からだな、アイツなら言いふらさないだろうし、ボーボボも知ってるかもだしな」

 

「おっし!かはは、楽しくなって来たぜ!」

 

 

 

そうして、オレ達はあちこちに出向いた挙句、ボーダー内の知り合いに動画を送りまくった結果、速攻で城戸司令達にバレてしまい、またこっ酷く叱られた上に給料の9割カットの刑を半年に延長させられた。


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