東方闇時空   作:よひつじ

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筆取りが軽いので、連続投稿です。


稗田

 リオルはイーブイの発言に驚いた。それも当然の事かもしれない。まだリオルは人の事を信用しきれて無かった。

 もちろん魔理沙の様に好感を抱いている人間もいるが、いきなり自分達が住んでいた場所とは違う所に来て、半ばパニックになっているのもあり、リオルにはまだ身を預ける事が出来ずにいた。

 

『ん〜そういう考え方もあるかもしれないけど……。皆良い人だし、信用してもいいんじゃない?』

 

『それはそうだけど……』

 

 悩むリオル。何処か頑なで、意固地になっている所もあるのだろう。理解していても、認められない。

 

『どうしちゃったの? リオルらしく無いよ?』

 

 何故かは分からない。けれど、直感的な、所謂勘ではあるが、リオルはこの人里に、いや、この幻想郷という場所全てに『ナニカ』が渦巻いているような気がするのだ。

 

『言われてみれば……そうなのかな? う〜ん、これは、未来世界の時みたいな……』

 

 そう言われてリオルはハッとする。確かにあの時に似ている、と。このピリピリとした視線の様な気配、常に監視されている様な不気味な雰囲気、未来世界程では無いが……似ている。

 

『確かにこれはあの時に似ているね。いや……あそこまではいかないかな? 似て非なるもの……みたいな』

 

『そうだね……。ワタシ達はどうするべきかな?』

 

 そう言われてリオルは考え込む。これから自分達がどう動くかについて。この嫌な気配はどういったものなのか、その疑問を自分に向かって問い反芻する。

 

 しかし、その答えは出ずに、時間だけが過ぎていった。

 

 ________________________________________________________

 

「ねぇ、貴女達。進化っていう現象を知っているかしら?」

 

「そりゃあ多少は知ってるけど……それがどうしたって言うのよ?」

 

 そう言って質問に質問で返す霊夢。首を傾げながら訊いたその疑問に対する答えが阿求の口から放たれる。

 

「今、考え込んでるあの二匹。あの二匹の不可解さを説明する為の事前準備と思ってもらえばいいわ。……でさっきの質問だけど、進化という現象、これを詳しく説明できるかしら?」

 

 そう言われると閉口せざるを得ない霊夢。全く学が無い訳では無いのだが、こういう事に関しては専門外であった。

 そうして回答に困っていると、魔理沙が口を開いた。

 

「私は分かるぜ。大まかに言えば、生き物が環境に適応する為に変質していく……大体、こんな感じだろう?」

 

 ご名答、そう返す阿求。外の世界なら義務教育レベルだが、ここならそれなりに教養があると見なされる知識量なのだろう。しかし二人には今の質問とあの二匹との関係が掴めず、そして噛み合わずにいた。

 

「それに関してはね……。あの二匹の進化の過程、それについて考えてみて下さい、二人共」

 

 そう言われて、魔理沙はハッとして、一拍遅れて霊夢も同じ反応をする。

 

「気付いた様ですね……。そう、私が感じた二匹の異常性。それは、二匹の進化の軌跡、ルーツが全く、糸を通す針穴程も読めない事……いや、それは少し言い過ぎですかね。まぁ、訳が分からない事は変わらないのだけど」

 

 そういう事だ。進化というものは、先程魔理沙が述べた通り環境に合わせて変質していくというもの。そして、その変質。進化は必ずといっていい程に『過程』というものがある。魚類から両生類の過程として、シーラカンス。爬虫類と鳥類の間に、始祖鳥。後は、カモノハシ等が挙げられるだろう。

 

 しかし、リオルとイーブイ。あの二匹、特にリオルの方が特異な生物となる。

 まず、身体の骨格。霊長類に近い二足歩行だ。

 しかし、その顔。犬や狐等のイヌ科に近い。その上、肉球もある。

 次点にイーブイ。兎の様な長い耳に、ポメラニアンの様な首元の毛、狐の様な尻尾etc……。様々な生き物を合体させたかの様な、不思議な身体をしていて、リオル程では無いが、この幻想郷でも明らかに異質だった。

 

「で、でもさ。妖怪だって変な奴は多いだろ? だからさ、別にそこまで変な生き物ってわけでも……」

「貴女ねぇ……。あの二匹は霊力を持つ、そこを観点にすると他の動物と同じ。けれど、人並みの知性があって人と似通った生活、そしてさっき言った通り他の生物とは大きくかけ離れている。これを聞いても貴女は変な生き物じゃない、なんて馬鹿げた事が言える?」

 

 食い下がる魔理沙に若干苛立った様子で言い放つ阿求。そう言われると、魔理沙はぐぅの音も出ず、黙り込むしか無かった。

 

 それを見て溜飲を下げた阿求が先程の怒りの気を霧散させて一言。

 

「と、言う訳で……。申し訳ございません、霊夢さん魔理沙さん。私では力添えは難しそうですね……」

 

「む〜八方塞がりというわけか……」

 

「そうなるわね……」

 

『やっぱりか……』

 

『え〜……』

 

 皆、似通った反応をして、落胆する。魔理沙が呟いた言葉通り、八方塞がりであった。稗田の知識でさえ通用しない領域の生き物、常識外れの幻想郷でも、非常識と値される事であった。

 

 これ以上此処に居ても無駄と考えた一行は、稗田家を去るのであった。

 

 ________________________________________________________

 

「あ〜、こうなると、厳しいなぁ……」

 

 そう草臥れた様に呟きながら屋敷から出て行く魔理沙。後ろにその他の一人と二匹も続く。

 

 先程の活気を持っていた人里とは一転、静寂が訪れ……とまではいかないが、もうすっかりあの熱は冷めている。今の一行と似通ってるな、と魔理沙は感じる。

 

 そうしていると、何者かが近づいて来た。その姿を見た霊夢は、うへぇ、と露骨に嫌そうな声を出す。理不尽なまでに不当な扱いを受けたその少女は、霊夢と同じ様な服装の、エメラルドグリーンの髪、そしてその髪に付けてある蛙と蛇の髪飾りが特徴的で、先程の人里の様に活気に溢れていた。

 

 そして、近寄ってきたその少女は霊夢のついた悪態など気にする様子も無く、二匹を抱き上げた。それに驚いた二匹が抵抗するが、それは少女の事を配慮して軽めのものであった。

 それもあるかもしれないが、特に気にした様子も無く、叫ぶ。

 

「やったあぁぁぁあ!! イーブイとリオル! もうすっごい可愛い! モフモフ! やっぱ凄い幻想郷! ゲーマーとして! もう! これは! 嬉しすぎますよおぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」

 

 どうやら滅茶苦茶はっちゃけているようだ。




心理描写がいつになってもできる気がしない

後、当初の予定を変更して、早苗さんにははっちゃけて頂きます(当初はエリカみたいな感じだった)
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