東方闇時空   作:よひつじ

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説明ばっかりですみません


提案

「世界を救った英雄……ねぇ」

 

 紫は思案する。彼女が切羽詰まる程にはポケモンは常識破りな存在だった。

 早苗の説明はこうだ。

 あの二匹が倒した『やみのディアルガ』は、時を司る神にも等しいポケモンであり、色々あって闇に呑まれる。そして各地の時が止まり始め、星の停止という現象が起きた。これを止めるには、『ときのはぐるま』という各地の時間の守護をしている歯車を次元の塔の最上階に嵌め込まなければならない。

 それを察知してジュプトルとセレビィ、そして一人の人間が行動を始めた。星の停止を阻止するために。

 しかし、事故が発生してその人間は記憶を失い、さらにポケモンになってしまったと言う。それが、今まさに目の前にいる……リオル。(中略)

 彼はイーブイと出会って探険隊となり、共に友情と努力、勇気を発揮して成長していく。その最中で、リオルはある能力に目覚める……『じくうのさけび』というものに。

 発動がランダムだが、対象の過去や未来を読み取る能力、一匹の獣が持つには不相応というか些か強すぎる。そして元々持っていた能力らしいが順序はどうでもいい。(中略)

 探検隊として二匹が腕を磨く中、ジュプトルが『ときのはぐるま』を盗む犯罪者として名を馳せる。そして、それを捕まえようとするヨノワールという探検家……実際は『やみのディアルガ』の手先なのだが。(中略)

 結局ジュプトルは捕まり、未来世界に連れて行かれるのだが……リオルの正体が人間と気づいたヨノワールは、二匹をも未来世界へ引き摺り込む。そこで真実を知った二匹は葛藤しながらもジュプトルとセレビィに協力し、ヨノワールの猛攻を退け、見事帰還する。(中略)

『ときのはぐるま』を全て集め、時空の塔へ向かう。そこに行く為に、ラプラスの力を借り、時空の塔に向かう道中の幻の大地に到着した。

 しかしもう一度ヨノワールが襲いかかり、ジュプトルが犠牲になってしまう(未来に帰る)

 涙を流しながらも二匹は時空の塔に向かい、最上階にて、闇に染まりかけたディアルガと戦闘になるが、見事勝利を収め、見事『ときのはぐるま』を時空の塔に嵌め込んだ。

 しかし、未来を変えてしまうと元々未来に存在したポケモン達は全て消えてしまう。そのせいで悲劇的な別れをするのだが、ディアルガの情け(世界の上位者含め)により未来のポケモン達は蘇り物語は終焉を迎える__いや、まだまだ続くのだが区切りとして丁度いいので早苗は説明を終えた。

 

「ちょっとそれは……規格外というか……」

 

 言葉を濁す魔理沙。世界を救う程の強さを持つポケモンと数日間同棲していたのに少し萎縮してしまっている。

 それを見たイーブイはえっへん、とばかりに胸を張り、どこかリオルもリアクションこそしていないが口元の笑みを隠しきれていない。それを見て早苗が悶えた。

 

「いや、けど、主人公よ? 多少補正がかかったからっていう理由もあるんじゃない?」

 

 霊夢の意見は尤もであった。普通に考えると時を司る神にも等しいポケモンを、リオルとイーブイが倒せるとは到底思えない。事実、ゲームバランスの事情等の関係により、ディアルガはかなり能力を制限されている。御都合主義という奴だ。

 今度は二匹が少ししんなりした。また早苗が悶える。

 

「けど……、あの子達がした事、実績は変わりませんよね?」

 

 そして早苗の考えもまた正しい。(同情心というか、若干擁護が含まれていたが)二匹が偉業を成し遂げ英雄となったのは『ポケモン不思議のダンジョン』での結末であり、正史なのだ。

 

「これはまた、扱いに困りますわね……」

 

 紫は悩まし気にそう言った。

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「この異変の解決策が……現状ありません、一つも」

 

 そう口頭を切る紫。そしてその発言に驚く面々。とは言っても、驚きの意味が違うのだが。

 霊夢や魔理沙、早苗達幻想郷の住民は、妖怪の賢者がお手上げ宣言を自分達の前で堂々と行った事。リオルとイーブイは自分達はもう戻れないのかという悲壮感に襲われたからである。

 驚きからいち早く覚めた早苗は絶望感漂うリオルとイーブイのアフターケアを始めた。役得役得、と呟いたのは気のせいである、きっと。

 

「でも現状って事は……将来的というか、現時点ではなくて、その先に策を用意してある……のか?」

 

「まぁ、そんな感じだと考えて頂いて構いませんわ」

 

 魔理沙の質問に対する答えに、皆は安堵する。二匹も先程の溢れ漂う悲壮感は霧が晴れた様に霧散し、希望というか、一筋の光明が見えた事に歓喜している。

 

「で? その策っていうのはどういうものなの?」

 

 霊夢が紫の心の奥底にある秘策がどういったものか、そこを問う。

 

「そんなに慌てないの、二匹が怯えちゃうわよぉ?」

 

 だがそう言って茶化す紫。イーブイは少し赤面しながらぷんすこした。リオルの紫に向ける視線も若干怒りを孕んでいる。ベイビィポケモンなだけあって全然怖くないのだが。案の定、早苗が悶える。

 

 そして、さっさと言えという思考を滲ませる主人公組。その視線に根負けしたのか紫は話し始める。

 

「まぁ簡単に言ってしまうとですね……、リオルとイーブイは幻想郷の各地を巡ってもらいたいのよ……」

 

 




れいむはブーメランをなげた!
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