霧の湖
「リオル君、イーブイちゃん。この湖は霧の湖というんですよー」
はにかみながら二匹に話し掛ける早苗。体全体から‘‘私幸せですよ’’オーラを発している。
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こうなった事を説明する為に、時間軸を昨日まで巻き戻そう__
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「巡るぅ?」
「えぇ、そうよ。なんなら旅行気分でも構わないわ」
紫を除き、困惑する面々。巡るという言葉だけならまだしも、後半の旅行気分という言葉が拍車をかけている。
「でもさ、なんで何だ? はっきり言って、いや、全員そうだと思うが……、訳が分からんぞ私は」
『そうだよ。訳が分からないってば、紫さん』
問い掛ける魔理沙、イーブイ。霊夢達も、そうだそうだと言わんばかりに首を縦に振っている。
「まぁ……、それについては後々分かる……と、言っておくわ」
「はぁ? どういうこっ……」
意味深に告げる紫。それに魔理沙が問い詰めようとしたが、霊夢が魔理沙の服の裾を掴んで止める。何をするんだと睨む魔理沙だが、霊夢の真剣な表情を見て、渋々元々自分の座っていた座布団に胡座をかいて座り込んだ。
「深くは聞かないでおくわ。紫、何を企んでいるかは知らないけど、貴方の事だから問題は無いんでしょう?」
「分かってくれて嬉しいわ、霊夢」
そう言い終えると、二人は少し笑みを浮かべる。
珍しい……いや、こんなシチュエーション、魔理沙は初めて見た。えっ、と声が漏れる。それどころか、どこか頭の螺子が数本吹っ飛んだのでは無いかと頭の片隅に失礼な事を考え出し、それを察した霊夢が魔理沙に絡み始めた。紫はいつも通りの胡散臭い笑みを浮かべ、口元を扇子で隠している。
しばらくして、落ち着いた霊夢が、
「まぁ、問題無いわ、魔理沙。紫の策が今まで不利益になった事は無いし……私の勘が、そう告げてる」
慈悲のあるドヤ顔で言い放つ霊夢。その表情は一片の迷いも感じさせなかった。
因みに言うと、早苗と二匹は途中から話についてこれずにポカンとしていた。________________________________________________________
「ただ……一つ問題があると思うんですけど」
早苗がおずおずと申し出る。
「と、いうと……どういった?」
「いや、旅の同行者ですよ。初めての地をたった二人で、事前情報も無いし、幻想郷って何が起こるか分からないし……、そう考えると、不安になってきませんか?」
『それもそうだな……、僕達はニンゲンや妖怪達と話せないし、もし猛獣だって思われたら……』
そう考えたところで顔を青ざめさせる(元から青いとか言っちゃあいけない)リオル。そして成る程、と呟く霊夢と魔理沙。可愛い子には旅をさせよと言うが、動物(正確にはポケモン)だ。そもそも話の通じない状態であるし、一方的に襲い掛かられでもしたらどうしようも無い。
「それについてはもう考えてあるの。だから心配する必要は無いわ」
「へぇ、どなたですか?」
「それはね……、
そう言うと、開いていた扇子を閉じてビシッと突き付ける。
あなたよ、早苗」
「えっ」
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と、言う事で先程の場面に戻す。__
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リオルとイーブイは驚いた。偶然とはいえ、ユクシーが『ときのはぐるま』を守護していた場所と名前か同じだったからだ。とは言っても、あちら程の美しさは持ち合わせていないようだが。
「二匹とも、何を驚いて……あっ、そうか。今考えると、名前同じですしね……。霧の湖って」
早苗もそれに気付いたようで、自分一人で問答し納得している。脳内ポケモン色は伊達ではなかった。
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歩き続けて十数分程。霧が少しずつ晴れてきて、そこに映ったのは__
「着きましたよー、ここが今回の目的の場所__
________紅魔館
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