作者の趣味120%で書かれた19話です
「借りる……、と、言われましても」
「いや、だから、そのままの意味だよ。この子を借りたい……、っと、怒っちゃった? ごめんごめん」
物扱いされて憤慨するイーブイ。目を吊り上げて、キッとフランを睨むその様子は……、残念だが、只可愛いだけである。
だからだろう、謝罪するフランの表情は緩みまくりであった。
『何よっ、もう!』
『まぁまぁ……』
リオルが宥めるが効果無し。と思ったが……、
「ほらほら、怒らない怒らない」
『むぅ……』
撫でられると沈静化した。このイーブイ、幻想入りを経てツンデレ属性を開花させた様だ。さすがピカチュウと双璧を成す可愛い系ポケモン筆頭、素晴らしい。
「まぁ……、危害を加えないのなら構いませんが……、狂気とやら、発動しませんか?」
「問題ない、制御は出来てるよ。多分……。」
後半部分は残念な事に早苗には聞こえていなかった。だが、聴覚の鋭い動物系ポケモンの二匹はその発言に危機感を覚え、イーブイが全力でもがき、リオルも全力で止めようとする。
しかし、
「言質は取った! さらばだ!」
そう言って、逃げるかの様に__実質、逃走しているのだろうが__くるりとターンして、吸血鬼のハイスペックな身体能力を無駄に発揮し、駆け出した……。
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紅魔館の地下室にて、フランとイーブイはそこにいた。その部屋は兎や熊の可愛らしいぬいぐるみが至る所に置いてあって、フランの見た目らしい__あくまでも見た目だけで実年齢は四百九十五年程……、そこは気にしてはいけない。きっと。
「ねぇ、何で私が貴女を連れ込んだか、分かる?」
『さぁ……?』
イーブイは戸惑っていた。先程の超スピードにやられ、少し前までぐるぐる目状態になっていたせいで、思考力が著しく低下してしまっているのも理由の一つとして挙げられるが。
「正解はね……。お前を全力で愛でる為だ――!」
がおー! 、といった擬音語が幻聴として聴こえてきそうな程に、腕を大きく広げ威嚇する様な__ちなみに、表情は悪戯っぽく笑みを浮かべている。
「きしゃー!」
『うわぁぁぁぁあ!?」
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『ひ、酷い目にあった……』
「えへへっ♪」
げっそりとやつれた様子を見せるイーブイ__実際は只疲れているだけで、そんな事は無いのだが。
それとは対照的にフランは__艶々していた。さっきよりも肌が綺麗になったのではないか__伝家の宝刀、ポケモンセラピーである。多分。
そうして紅魔館の廊下を歩いていると、レミリアとばったり会った。
「おや、フランではないか。イーブイまで引き連れて、何をしている?」
「おっ、お姉様。な、何でも無いよっ」
狼狽するフラン。万引きがバレそうになった非行少年の様だ。それに目敏く反応したレミリア。
「お前……
________自分の部屋に連れ込んだな?」
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「まったく……この阿呆が」
「ごめんなさい」
レミリアによると、狂気とやらの制御は全然__とまではいかないがからっきしらしく、イーブイは相当危ない状態だった様だ。それを知ったイーブイが割とガチ泣きしそうになったのは別の話。
そして、フランが狂気に侵された時__起こる症状が洒落にならない。理性を失い、ひたすら破壊行動を繰り返すらしい。__あの時、フランとイーブイが会った__いや、遭ってしまったのは、災難なんて言葉では済まず……、そこまで聞くとイーブイの目の堤防が決壊した。要するに、ガチ泣きである。
『うわぁぁぁぁぁぁあん! リオルうぅぅぅ!』
そう言って(二人には通じてはいないが)脱兎の如く駆け出した。声が段々と遠ざかっていく。
フランがあぁ……、と呻いて手を伸ばすがレミリアが首の後ろに手刀を決め気絶させた。
「咲夜、処理」
「……了解致しました」
どこか複雑そうな顔をしながらも、咲夜はフランを抱え上げ、部屋の外に出ていった……、彼女が突然現れたのは、誰も突っ込まない。慣れたのだろう。
「はぁ……」
レミリアは深く溜息を吐くと、館の管理という自分の仕事に取り掛かり始めた。
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レミリアは仕事を終え、一度深く伸びをする。そして数秒余韻に浸ると、自らの意識を思考の渦に沈めた。
「あの獣二匹……、早苗が言うには、外の世界の創作物が何故か幻想郷に来たと言っていたな……。しかし、何故だ? その理由となると……心当たりのある奴がいない__いや、出来る出来ないで言うのなら、何人かいるのだが。しかし、動機が無い__その上、八雲紫の依頼ときた。何が裏で起きているのだ……」
答えは出ぬまま、時間は過ぎて行く。
今回はネタ回です(今更)
が、その対比としてシリアスしたかった。