昨日のちょっとした騒動から翌日。リオルとイーブイ、そして早苗は紅魔館の空き部屋を借り、そこで寝泊まりしている。
因みにその空き部屋は二つあり、ポケモン組と人間組に分かれ、その事により早苗が血涙を流したのは別の話。
リオルは朝日を浴びている事を感じ、ゆっくりと体を起こす。そして、隣を見る__その目に映ったのはイーブイの姿__因みに、まだ寝ている__それもまだ深い眠りの様だ。
昨日、号泣しながらリオルに抱きついて、まるで小動物のような__事実、どう見ても小動物であるが。とにかく、そのまま泣き続け……、泣き疲れたのか寝てしまった。
その証拠として、目に少し目に跡が残っている。まだ可愛い所もあるんだなぁと随分大人びた事をリオルは考えながら__何気なく、窓から外の景色を眺めようとした。
瞬間、目を奪われる。リオルの目の焦点は__紅魔館の門番、紅美鈴に定まっている。
どうやら演武をして__流れる様な動きで、四肢を動かしている。人外染みた__人外ではあるが__その身体能力と、類稀なる__技術。ぎこちなさなど欠片も無く、まるで流体の様に__蹴りや掌底、突き__回し蹴り、次々と技を繰り出している。
(舞っているかの様だ……)
リオルはそう錯覚してしまう__それはあまりにも美麗だ__演武を、演舞と勘違いする程には。
しばらくして、それを終えた__と、どうやら視線に既に気付かれていた様で、此方に手を振って、そのまま__手招きをした。
疑問を軽く抱いたリオルだったが、特に深く考える事も無く、部屋を出て廊下を進み__彼女の元へ向かう。
________________________________________________________
「貴方から打ち込んで来て構いませんよ」
そう言って、臨戦体勢をとる美鈴。目はギラギラと輝き、闘志に燃えていた。
(どうしてこうなった……)
リオルは心の声でそう言いながらも、経験を積むという事に関しては満更でも無い__決して、戦闘狂では無いのだが。
あの時__美鈴に手招かれた後__美鈴が提案してきたのは、手合わせであった。
リオルは格闘戦が得意だと聞き__その力がどれほどのものなのか、好奇心が湧いたらしい。そして、全力でかかってこい__そうじゃないと実力が測れないからだそうだ。
その結果__今に至る。
リオルは美鈴の一挙一動を見逃さぬ様、警戒し__本当に動く気が無いと判断し、少し警戒を緩め__はしない。とは言っても、目的は変わった。思考を防御から、攻撃に切り替える。
フェイントをかけながら__相手の隙を狙う。時折隙らしきものを見せるが__それもフェイントであった。互いに牽制しながら__リオルは攻撃のチャンスを、美鈴はカウンターを狙っている。
__でんこうせっか___
瞬間、駆け出し__美鈴の元へと近づいてゆく。美鈴も構えを取り__カウンターを狙って__その手刀を刀の様に__振り下ろす!
袈裟斬りの様に放たれた
リオルの小柄な体格を生かした、トリッキーな戦い方の内の一つである。(因みにイーブイも使う)
「ッ!」
予想外の行動に驚愕しながらも__一瞬、視界から外れてしまったが__即座に後ろへ振り向く。
しかし、リオルからしたら、その一瞬で十分だった。後ろを向いた時、既にリオルは構えを取っている。
両手をパーの形にし、左右対称にして、重ね合わせる様な構え__その両手の中心には半透明の__バチバチと発光する、球形の弾丸が__存在していた。
__きあいだま___
とんでもない速度で__放たれる! 直線状の軌跡を描きながら美鈴に向かってぐんぐんと接近していく__
ドオォン!
美鈴はそのまま吹き飛ばされ__るのだが、即座に受け身を取り、ズザァ! と砂埃を舞わせながら着地する。
「防御するのが少しでも遅かったら……、やばかったですね……」
そう冷や汗を流しながら呟く美鈴。美鈴は少し__舐めていた、リオルを。見た目が小柄なのと、容姿も可愛らしい事により__相手の実力を、低く見積もってしまった。
美鈴はそんな自分自身に憤慨する。相手は__闘志を滾らせた、自分の__対戦相手であり__全力で自分に向かってくる__挑戦者でもある。そんな相手を舐めてかかった__そんな惨めな自分を許せなかった。
「次は……」
構えを取り、全身に
それに気付いたリオルも全身に波導を巡らせる__美鈴が一瞬驚いたのだが、すぐに気を取り直す。
「私の……」
覚悟を決め、
「番d『ストォ――――ーップ!』
可愛らしい鳴き声が響く。戦闘音に気付いて起きたのだろうか……、イーブイが、戦闘を止めにやって来た。
『イ、イーブイ? 起きて来たんだ……』
『えぇ、そうよ! 全く五月蝿いったらありゃしない……。それに、何やってるのさ! 泊めて貰えてるっていうのに、リオルはもう……』
怒って呆れて、散々である。当然ではあるが。
『部屋に戻るよ、覚悟は出来てる?』
『はい……』
しかしそこで、美鈴が待ったをかける。
「ちょっと待って、聞きたい事があります……、言葉は通じないでしょうから、頷いたり、ジェスチャーでお願いします」
よく分からなかったが、二匹は頷く。
「まず、波導? だったっけ……、取り敢えず、それを全身に流してください」
リオルは波導に意識を集中させ__たちまち、全身に纏った。
「やはり……、気と性質がとても似ている……」
そう言って深く思案すると。
「先程、リオル君は一瞬、波導の量が増加したんですけど……、今までとか、心当たりはありませんか?」
リオルはハッとした。一瞬ではあるものの、波導の量が明らかに増えたのだ__イーブイが来た、その瞬間に。
それをリオルは伝える。
「と、なると……」
そう一度区切って__
「リオル君は……、もしかすると……、イーブイちゃんも、『程度の能力』に目覚めている可能性があります」
そう言い放った。
戦闘シーン書くの楽しい(書けるかは別として)
泣き顔のイーブイとそれを慰めるリオルを想像してごらん?
後、イーブイの気が原作より大分強くなってるけど気にしないで。