レミリアの能力は『運命を操る程度の能力』というもので、これからそれがどんなものかを解説しよう。
最初に言うべき事として、能力名程の凄まじいものでは無く__十分強い事に変わりはないが__それでも、運命を操るなんて大層な能力ではない__どうしても、見劣りする。
まず、未来予知________
文字通り、未来__先を見通す能力。自称ではあるが、最大で五年先まで視る事が出来るらしい。
とは言っても、先になればなるほど難易度も厳しくなり、そもそもこの能力を一度使ってしまうと一ヶ月程能力が使用できなくなる。
そして、改変________
自身の住む世界と、似通った世界__パラレルワールド。この二つ__いや、パラレルワールドは大量に存在する為二つでは無いが__兎に角、この中から未来を
例えると、田舎に住む少年Aが存在するとしよう。彼は小学生で、登校中に偶然石に足が当たり、その石は少し先に飛んで行った。これが五秒後に起こるとする。
しかし、パラレルワールドではこの偶然は起こらない__存在しないとしよう。レミリアはそのパラレルワールドを糸を手繰り寄せる様に引き寄せ__未来を
糸を引き寄せる様に、意図して未来を動かせる。
そもそも、こんな下らない事に彼女が能力を使わない__パラレルワールドですら、存在しないだろうが。
此方には特に前者の様な能力使用のスパンは特に無い。しかし、疲労が溜まっていく。その度合いは改変の規模が大きく関わっていて、先程の説明なら大した疲労は無いが、誰かが死ぬという結末を逸らす__と言った生死に関わる様な改変となると、その疲労は計り知れない。人に例えると、フルマラソン完走後ぐらいだと思ってもらえれば良いだろう。
そしてたちの悪い事にこの疲れは治りが悪い。能力という__彼女の場合、精神に作用している事もある為だろう。肉体的なものなら、即回復__いや、再生するが、精神的な__傷や疲労に弱い__妖怪等の
そうしたデメリットも多い事から__最初に言った、名前よりも見劣りする能力というのにも納得できるだろう。
……何故こんなにも長々と__延々と語っているか、その理由を話すとなると、少し言い難い。
というより、恥ずかしい事にここまでの説明は必要が無かった。今回伝えたかった事は__生死に関わる未来を改変するととても疲れる、というとても単純で簡易な説明__たった一行程で済む話なのだが、蛇足というか__余談という形で、文字数五百を軽く越す解説をさせてもらった。
それより、もう一つ疑問を持つだろう。
何故、改変の__それも、生死に関わるものなら疲れる。という情報を伝えたがる理由だ。
簡潔に言ってしまうと、それは前回、レミリアが全力で能力行使して__それも、生死に関わる運命を操った。
その結果が以下の通りである。
「フランめフランめフランめフランめフランめフランめフランめ……」
と、一通り呪詛った後。(造語)
「う、うぅ……」
顔を青ざめさせて、悶える。吐き気もする様だ。先程人で例えるとフルマラソンぐらいと言ったが、疲労にも種類がある。
レミリアを襲っているのは、吐き気、頭痛といった、病気の様な、かなりえぐい症状だ。それも相当な。
ふざけてうー☆なんて言う余裕は無い。そもそもしない
そうして悶え苦しみ机に突っ伏していると、突如咲夜が現れた。そして、その腕にイーブイを抱え__いや、違う。似てはいるがあれはイーブイでは無い。彼女はイーブイの進化系__ニンフィアだ。
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ぁぁ、怠い。そう呟いても何も体調が変化する訳でも無く、只虚しい気分になるだけだ。当然、愚妹に文句を言っても。
ガンガンと釘を打ち付けられる様に頭が痛み、口からも悍ましいものが込み上げそうになる。自殺願望すら芽生える程__死にはしないが。大昔に人間の間で流行った感染症とやらも、ここまでのものではないのか?
そう錯覚してしまう程、やはりと言うべきか、能力行使を全力で行った時の副作用は症状が重すぎる。齢五百程のまだ幼い吸血鬼には酷だ。余りにも。
こんな事しなければ良かった、という後悔の念が沸々と込み上げてくるがそうもいかない。奴__八雲紫が依頼としてあの獣達を送り込んだのだ。もし何かあれば__後にどう響くか分からない。それに直感ではあるが……、あの獣らがいなくなると、という想像をした瞬間。ゾワッ、と背中に這い寄られた様な、言いようもない恐怖に襲われた。しかもそれが能力行使__未来予知をしたと見なされた様で、後一月程未来予知を使えなくなってしまった。
……こうなるとフランの能力が羨ましくなってくる……、いや、私はあんな狂気に囚われるのは御免だ。隣の芝は青、というやつだろう。
そうして私は只苦痛の時を過ごし、これが治るのを待つばかり__いや、そう思っていたが、それは違った。
目の前に突如咲夜が現れたのだ。毎度毎度でいい加減慣れた事の筈だが、精神的に傷を負っている事もあり__少し驚いてしまう。
そして一拍遅れて気付く、咲夜が腕に抱いているイーブ……、違う。おそらくフランの言っていた進化系の一つであろう。
ピンクや白を基調とした、以前の姿とは違うベクトルの可愛らしさがある……、それにしても耳と首元に付いてるリボンとか、一体どういう原理で発達したのだろうか?
……いや、あれは元々空想の産物。考えるだけ無駄だろう。
さて、と。一体咲夜は何故こんな事を? 普段から突拍子の無い行動をとる事が度々あるのだが、今回の場合は……、まさか、癒しとかのセラピー系ではあるまいな?
だとしたら甘いぞ、咲夜よ。私は吸血鬼として、そして、皆を束ねる館の主人としてのプライドがある。そんなものでは屈しないし、今その獣に構っている暇は無「行ってきて頂戴、イーブ……、ニンフィア」あ、あれ? 吐き気が消え……頭痛も…………ぐぅ。
見事にフラグ回収するおぜうさま
空ですけど普通にニンフィアは出ます。
あれは進化方法とかが当時見つかってなかっただけだと作者は考えているので。