お約束の様にレミリアは醜態を晒し、お約束の様にリオルはフランに愛でられた。
そんな『お約束事件』から一ヶ月、紅魔館には__幻想郷には、冬が訪れていた。
「ぐぅ……」
『美鈴、起きなよ。また怒られちゃうよ?』
相も変わらず、賑わっている紅魔館。すっかり寒くなり、館は美しく雪化粧をしていた……、美鈴も込みで。
しんしんと雪が降り積もる中、美鈴はいつも通り門番の守護を担当していた。
……仕事の出来もいつも通りである。
只、変更点が一つある。二匹もこの館の守護を担う事になったのだ。
とは言っても態々侵略する者はいないし、時たま悪戯しにやって来る妖精を追い払うだけでいい。
そんな簡単な話の筈なのだが……。
「すぴ――、すぴ――、むにゃぁ……。もう食べられないですぅ……」
案の定だ。これまた何ともありきたりな寝言を吐き、普段と変わらず熟睡している。
レミリアも咲夜の指導を厳しくしたりして手を打ったのだが、暖簾に腕押し糠に釘。
だから先程も言った様にリオルとイーブイに仕事を手伝わせてついでに寝ていたら起こさせるつもりだったが、以下同文。
押しても引いてもうんともすんとも言わない__いや、寝言は吐くが。
よって咲夜のナイフ使用量は、今までと何ら変わらない。いつも通り、咲夜のナイフダーツが今回も行われるのだろう。
二匹が後何分で咲夜が来るか当てるゲームをひっそりと開催するぐらいには、このやり取りは続いている。
紅魔館の恒例行事、風物詩、お約束。そんな感じだ。
サクッ
これまた恒例の小気味好い音が響く。そしていつも通りに美鈴が額から血を流してぶっ倒れる。案の定、すぐそこにいる咲夜。
それを見て苦笑いするリオルとイーブイ。
これが、新しい紅魔館の日常の一幕である。
……因みに今回のゲーム、リオルが勝ったそうだ。
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「邪魔するぜっ……、って、お前ら何でいるんだ?」
何やら黒点が近づいて来ると思ったら、それは魔理沙であった。美鈴が寝ている間に這入ろうとしたのだろうが、二匹が待ち構えていた事に気付いて動きを止める。
二匹がいるのが想定外だったのだろう。彼女の表情は困惑の念が透けて見える。
「色々あってね、お嬢様が提案したんですよ。この二匹にも門番をやらせてみないかってね」
「その真意は?」
「……私のお目付役です」
「そんな事だろうと思ったぜ」
軽い応酬を交わす二人。そろそろ飽きてきたのか魔理沙が本題を切り出す。
「それじゃあここを通らせてもらうぜ、『弾幕ごっこ』で勝負だ!」
『弾幕ごっこ?』
『初めて聞くね……』
「オーケイですよ魔理沙さん。スペルと被弾は3でいきましょう」
二匹を無視して話は進んでいった。