東方闇時空   作:よひつじ

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後、妖夢がいる場所間違えてたらごめんなさい


半霊

 予定通り、白玉楼へと向かう咲夜、そしてリオルとイーブイ。しかし、そう上手く----容易く目的地に辿り着ける、とはいかなかった。上手く、事が運ばなかった。

 そこは、冥界の入り口。そして、佇む一人の少女。

 

「どうしたんですか? 険しい顔をして……」

 

 疑問を投げ掛ける少女。銀髪に黒目(正確に言えば灰色だが)と、咲夜と少しばかり共通点が多いようだ。そして、腰に下げた二振りの刀。刃物を扱うという見た目十代半ばの女の子とすれば、決して似通ってはいけない特徴ではあるが、それでも剣士然とした雰囲気をその身に携えていた。

 

「いや、またなんか不思議な事が起きて……あら? 妖夢、貴女の体からも出てるわよ」

 

 咲夜が妖夢の問いに回答した後、気付く。妖夢も赤い霧を発生させている事に。白玉楼の住人が異変を起こしたかは兎も角、収穫は確実にある、と咲夜は確信した。

 

「へ? な、何の話ですか?」

 

 だが、白玉楼の連中が黒幕である可能性はこの時点で激減した。理解不能といった様子の妖夢。少なくとも彼女は、異変に関わっていないのだろう。不幸中の幸いならぬ、幸運中の不幸いというわけだ。

 

「貴女の体から、霧の様なものが……」

 

「私の半霊ですか? そりゃあ、出てますけど……」

 

 説明しても、ただ誤解を生むだけであった。彼女の側にふわりと漂うもの。彼女が言うには『半霊』と呼ぶもので、浮遊しながら妖夢の周りをゆっくり巡っている。

 

「……怪しいと言えば怪しいわね。ここ、通してもらうわよ」

 

 しかし、彼女----この屋敷の主人なら、もしくは。あの不思議な----というか、変わっていると言うべきか。あの亡霊なら、自分の従者に伝えず、異変を起こす事も有り得なくはないだろう。面白半分で天候を長時間『雪』に変えたのだから----正確には、ただ少々の知識欲が疼いた、であるが。

 

「はぁ……? 何だかよく分かりませんが、通す気は無いですよ」

 

 要領を得ない咲夜に、妖夢は構えた。刀を。彼女のモットー、『真実は斬って知る』を遂行する為、構えた。

 相変わらずと言うべきか、短気が過ぎると咲夜は嘆息する。だが、こうなればテコでも動かないという妖夢の性質も既に理解していた。それでも、この辻斬りが、という落胆染みた感情は未だに咲夜の中で渦巻いているのであった。

 

(仕方がない……)

 

 咲夜もナイフを構える。右手に四本、左手にも四本。合計、八本の鈍く輝く刃を。()()()()()()()()()()()()()()、咲夜は半人前の庭師兼剣士の少女へ接敵した。

 

 


 

「天智剣『天女返し』!」

 

 咲夜が突撃すると同時に、妖夢も強く足を踏み込んで、そのまま流れるような動作でスペルカード宣言を行い、抜刀。因みに被弾とスペカの回数は共に二つだ。

 

「ハァッ!」

 

 妖夢は、二つの十字を空間に切り刻んだ。霊力により瞬時の間に強化を図る施されたその斬撃は、二回剣を振ったようにしか見えないが----それでも、四回。電光石火、疾風迅雷。まさに雷光の速度。

 

 神速の剣が咲夜を襲う。

 

「ふっ」

 

 まず、初発の十字。少々掠りはしたが、回避。

 

 二撃目。

 

「くっ、はっ!」

 

 初発で体勢を崩してしまい、回避は困難だった。咲夜はナイフでなんとかいなす。

 代償として、一つナイフが欠けてしまった。その刃に、銀の輝きは失われてしまう。まだまだスペアはあるが、痛手だった。

 

「チッ」

 

 舌打ち一つ。しかし、猛攻は止まらない。斬撃の上方から、霊気弾が放たれた。

 

 その弾幕は、上から下に急転直下の勢いで飛来する。咲夜を射殺さんとばかりに、波紋状の弾丸が落下した。

 

「くらえっ!」

 

 妖夢が叫ぶ。そして、確信。勝利!

 

「時符『プライベートスクウェア』!」

 

 流石に避け切れないと判断した咲夜は、即座にスペルカード宣言を行う。

 

 ドゥゥゥウン!

 

 瞬間、世界の速度は遅緩した。鈍重に、動きを遅くした。

 ……しかし、咲夜の速度は変化しない。いつも通り、普遍的に動いていた。

 

「しっ! はっ!」

 

 それと同時に、バク転を決めながらナイフを投擲する。攻撃と回避を一緒に熟し、スペルカードを使ったものの、相手の被弾は確実。咲夜の有利は、明らかであった。

 

 まさに、当意即妙。

 

 咲夜の体内時計で数秒が経過。それを皮切りに、時間の流れは戻った。

 

 時が、いつも通りに動き始める。

 

 妖夢の動きが戻った時には、既にナイフは目の前。避ける暇は須臾程も存在しない。

 よって、当然ながら被弾する。

 

「うぐっ!?」

 

 悲鳴を上げ、倒れる。だが、即座に受け身を取り、咲夜の追撃を警戒する。……それを理解しているからこそ、咲夜は追撃をしないで--出来ないでいた。

 

(強い……機転を利かせるという点において、私を上回っている。このまま攻めても負けるだけ。勝ち目は薄いけど、一気に攻めるしか!)

 

頭を回し、思考を重ね、そう妖夢は結論づけた。覚悟を決め、スペルカードを宣言する。

 

「桜花剣--」

 

納刀し、体勢を整える。強く踏み込み、構えた。

 

「『閃々散華』ぁぁぁぁあ!」

 

 

 




『二月十日は布都の日!』
布都ぉぉぉぉおおお!
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