(どうしたものかしら……)
咲夜は思考を巡らせる。この厄介な状況から逃れる術を見つけ出す為に。
一先ず、自分と相手の状況。そして互いの思惑を整理する事にした。
まず、咲夜。
状況・異変を解決する為に、妖怪の山の頂上を目指す。しかし、妖怪の賢者並に絡まれると厄介な新聞記者、射命丸文に遭遇してしまった。
思惑・射命丸文から逃れ、頂上を目指す。そして、それが原因で記事が書かれてしまう可能性が高いので、それを回避したい。
そして、射命丸。
状況・自分達天狗が住まう妖怪の山に、侵入者がやって来た。そしてそれは、二匹の獣を連れた紅魔館のメイドである。
思惑・何とかして咲夜達を追い出し、山の秩序が保つ。それともう一つ、この獣達がどういった存在なのかを知りたい。出来たら、それを記事にして出版したい。
(…………)
状況は分かった。そして自分の考える通りに事を進めるにはどうしたら良いか、考える。
(彼女の思惑の内の前者、私達を追い出す事に関しては──哨戒の奴らに任せておけば良いと考えている筈。それだけなら、使い魔でも送って侵入者がやって来た事を伝えれば問題無い……)
問題は、そうさせる為の思考誘導。何とかして、この場を離れされる。
そして、後者──
(……異変の事を知らせるべきか)
それだけでは足りない。
(異変の重大さを理解させて、それを前面に押し出していく。そして私達の事、それの必要性を薄めされれば……少なくとも、延命措置にはなる筈)
考えがまとまった。
(何とかして今起きてる異変に興味を持たせてこの場を離れされる。念の為に使い魔が送られるだろうけど──能力を併用しながら逃走すれば、恐らく問題は無い。逃げ切れる……!)
しかしながら、
(この件が終わったら、面倒な事に……)
今この時が重要なのだが、それでも後の事を考えると、気落ちする事は免れなかった。
(いや、頑張れ、私)
何とか憂鬱を振り払い、舌戦に臨む……!
──数分後
「ほうほう、面白そうですね! 早速行ってきます!!!」
(……………………………………え?)
あっさりと、咲夜の想定の十倍ぐらいでこの心理戦は簡単に終わった。その証拠に、射命丸は翼をはためかせ──雪の降る白玉楼へと一直線で飛んで行く。
一体何故だろう? といった疑問が彼女の脳内を埋め尽くした。自身の不利を覚悟していた咲夜にとっては、拍子抜けである。
しかし、そんな推理は、あっという間のネタバレで幕を閉じた……。
ぶおん、と。まるで霧が晴れた様に……リオルとイーブイが姿を現したのだ。突然の出来事に咲夜は面くらうが……疑問を解消するのが先と、二匹に質問を始める。
「……彼女があっさりとこの場を離れた事、そして貴方達が突然現れた事──関係は、あるのよね?」
「そりゃあね」
リオルは解説を始める。
「ぜんていとして……はどうっていうのは、あらゆるものがもつ、こゆうのしんどうなんだよ。にんげんやむしいがいにも、しょくぶつやいわにもそれはそんざいするんだ。そしてぼくははどうをあやつれる……っと、もうこのじてんでさっしたみたいだね」
文字で表すと分かりにくい事この上ないが、聡い咲夜はその時点でリオルが行った事を察することが出来た。
「つまり……リオルやイーブイ、それに私の波導を操作して──自然のものに近付けたって事……かしらね?」
自然の物に近付け、保護色のように存在を希薄にした、ということだろう。
こくりと頷いたリオルを見て、咲夜の推測の合否は確定した。なかなかどうして、この青い獣は有能なんだろう。
「それだけじゃないよ」
「……?」
「イーブイ……あのときはエーフィだけど……てつだってくれてたんだ」
どうやら、解説は長引くようだ。
「エーフィはね、しこうゆうどうができるんだよ。とはいっても……いわかんにきづいたらすぐにとけたりしちゃうんだけど。まぁとにかく、はどうとエスパーのあわせわざをしたんだ」
「へぇ……」
訂正。イーブイも有能。
……ということで、ポケモン達の機転により、一行達は戦闘と悪評の浸透を阻止する事に成功した。
「このまま『凄い』の一言で済ましたいのだけど……それ、続けてもらえない? このままだと、あいつの部下が襲ってくるから」
しかし、一難去ってまた一難。その証拠に──射命丸の使い魔である烏が、山の頂上へと飛び去って行った。
戦闘シーン? 知らない子ですね……