後、捏造設定があります。
射命丸文が冥界に向かってからおよそ半刻程、一行は……妖怪の山、頂上に到達した。辺りはその姿を覆い隠すかの様に霧がかっている。
……のだが、その前に。
もぐっ
「……んっ」
昼休憩である。追跡の手を振り切って、彼女らは岩陰に潜んでいた。咲夜が少しずつサンドイッチを口に運ぶ。トッピングは、レタスとハムのみのシンプルなものだ。
隣では……
ガツガツ! むしゃむしゃ! ガツガツ! むしゃむしゃ! ガツガツ! むしゃむしゃ! ガツガツ! むしゃむしゃ! ガツガツ! むしゃむしゃ!
「相変わらずね」
少し呆れた目で二匹を見つめる咲夜。二匹の食いっぷりはギルドにいた時同様、効果音に『!』マークが入るレベルで凄まじかった。
……ドゴームに比べたら全然マシだが。というかドゴームが『!』マーク三つぐらい音をたてて食べていたから、総合的に表すとゲーム的に『!』マークが二つになっていたりする。
因みに食べているのは大きなリンゴ。リオルが両手で抱えるぐらいに大きい。
──その小さな体になんでこんな大きな物が入るのか……、そんな咲夜の問いはおそらく解ける事は無いだろう。プクリンのギルドで活動するメンバーの胃袋はもはやブラックホールである。ドゴームとか。そんなんだから二匹の為に飯を残したぐらいで騒がれるのだ。悪い奴じゃないのに。
まぁ、それは兎も角。彼女らは短い時間ではあるが休み、体力だって回復した。霧を見るにおそらく異変の元凶──不逞の輩は、すぐそこに。確実な進展が感じられた。
──のだが。
霧がかる……赤と白の二色の霧が漂うこの地に、雲を突き抜け一人の客人が天から舞い降りた。
ふわり、ひらひら、と沢山のフリルが揺れ、彼女は神秘的に──現れた。長い羽衣は自ら緋色に淡く輝き、煌めくようなその羽衣はますます彼女の存在感を引き立てている。
その分、二つの瞳のハイライトは少し失われていたが、それによりその女性の魅力は『クール』という印象で固められ、強められていた。
開口一番、
「人間に獣、何故貴女達はここに……? 珍しい事もあるものですね」
咲夜達に向かって疑問を投げかける。疑問と疑惑がありありとその瞳のに浮かんでいた。
「別に好きで来たわけじゃないわよ」
うんざり、といった感じで愚痴のように一言。
「……? はぁ……えぇと……ここから先、この山の上には天界が存在します」
なら何故来た? と思いながらもその女性は語り始める。
「天界?」
警戒しながら、咲夜は耳を傾ける。警戒の理由は……『語り』ではなく、『騙り』の可能性があるからだ。
「本来普通の人間が立ち入ってはいけない場所です。天女の気付かぬ内にこの場から離れるのが身のためですよ。それに……人ですら許されないのに、動物が入ったらどうなることやら」
『語り』というよりも『脅し』に近い気がしなくもないが……一応、忠告なのだろう。ただ、少々手を抜いているというか、何というか。
「山の上にそんな場所があるとは……思わぬ収穫」
「……戻る気は無いのですか?」
今度は心配の念も含め、またも疑問を投げかける。
「そうね。今の私は行け行けモードなの。ついでに押せ押せモード」
何故か軽くドヤ顔……は置いておくとして、止まる気は無いと宣言する咲夜。脅しが効いたのか、完全に怯えているポケモン──リオルは顔を青ざめさせるだけで済んでいるが、それでも半泣きのイーブイでさえ気にしない。気にしないったら気にしない。
そう簡単にやられないだろう、といった信頼があってこそだが。
そしてその少女はそれを一瞥。
「えぇ……」
軽く引いていた。傍から見れば、動物虐待か何かに見えたのだろう。人を人とも扱わない輩が住み着く場所に、動物が入り込めば、それこそろくな事にならないのは間違いない。
それを知って怯えた動物、それも見た目は子犬程──どうやら知性はあるようだ──を連れて行くのは──只の鬼畜。
そう考えていた……うん、そりゃあ引くわ。
「で、貴女は?」
軽く放心状態の少女に疑問を覚えながらも、今度は咲夜が質問する。
「……私は龍宮の使い、永江衣玖です……忠告しに、やって来ました」
丁度地面に降り立った瞬間、二、三歩距離を取りながらも自己紹介をした衣玖。状況が状況なので……優雅さ、優美さはもうなりを潜めていた。
「へぇ。天界の門番か何か?」
「……違います。ただ……私は、近い内に起こる悲劇を忠告しに来ただけ……そのために……雷雲を泳いで遥々やって来ました」
ちょっとどもったのはご愛嬌。
「コ、コホン。……とにかくっ、私は老婆心で忠告を無視されるのが嫌いでしてね」
何がとにかくなのかは分からないが、咳払い一つで何とか平静を保った衣玖はまたも語る。
「そう。けど私は──止まる気なんてない」
しかし説得──説得? まぁいいか……も虚しくスルーされ、更に彼女はナイフを向けられた。
衣玖は、話し合いによる和解は不可能と心の内で断じる。
「龍宮の使いの使いの警告は近い未来の悲劇を回避する一つの妙計──残念ながら貴女は優秀な選択肢を一つ失いました」
当然始まるは──
幼女戦記の映画見に行きました。
いやもうね……凄い(語彙力喪失)