今更ですが、探検隊バッジとかスカーフとか、バッグとかはちゃんと着けてあります
「戦舞『蒼炎の舞』」
『リオルー、頑張れー』
なんとも厨二くさ……ゴホン、カッコイイ技名であるが、イーブイの気の抜ける声援がそれをかき消している。キュートなシリアスブレイカー、ここに爆誕。
そして当の本人──リオルは、イーブイにアイコンタクトを一瞬とった後、衣玖の背後からダッシュする。
その勢いのまま──
【はどうだん】
腕を突き出し、波導を凝縮。波動弾、それも特大サイズのものをお見舞いした。至近距離でのこの攻撃、避けられる筈が……
「────ッ!」
それは、偶然だろうか。必然であろうか。ともあれ、彼女はこの攻撃に……神がかった速度で、反応した。と言っても、リオルが戦闘に参加するのは想定外な為、動きは幾分と鈍かったが。
一方リオル、衣玖が反応したことをしっかりとその双眸で視認。少々想定外であったが、衣玖と違って行動に移るまでの時間はかなり短縮される。当然であるが、先手を打ったのはリオルだ。
「はっ!」
右手を振り下ろす。それは衣玖を殴りつけるわけではなく、かと言って、ただ地面を叩こうとしたわけでも無い。
目的は……波導の操作。
ズガァッ!
破砕音が響き、地面が砕ける。リオルの放った波動弾は──地面に衝突した。殆ど直角にカーブした巨弾は、地面を破壊し霧散。
残ったものは──舞う砂埃。
衣玖の視界は、砂の色で染まった。視線の先にリオルの影は無い。
こうなれば──攻撃がどこから来るか、まるで分からない。
(さっきのはギリギリ反応できましたが──どちらから来る? いや、そもそも、あの子が戦う事自体想定外……)
判断に迷う衣玖。
(いや)
違う。
(何処から来るか分からないなら、
衣玖は……何か打開策を近い思いついたか、行動に打って出た。それは……スペルカード。
彼女は右手を掲げ──それはこの状況下でも余裕であるかのような──雄大さと言うか、優美さがあった──そして──
「棘符『雷雲棘魚』……あなたはもう、私の領域に立ち入れません」
スペルカードとリオルの近い未来を宣言。そう言う衣玖の周りは……電気がバチバチと発光していた。
あらゆるものを拒絶するかのように、あらゆるものを阻むかのように、その雷は衣玖を包み込んでいる。
『うわぁっ!?』
蹴りを放とうとしたのだろうか? 脚から電流が流れ、リオルは感電した。身体がビリビリと震える。
かつてマリル達のお願いでエレキへいげんに行った時、あそこの主であるライボルトの攻撃を思い出させる一撃。
「そこっ!」
たとえ砂埃で見えなくなってしまっても、こうなれば隠密性は失われる。影も形も無くなるのだ。
──
兎に角、衣玖からすればこれは絶好のチャンス。リオルを追い詰める、それ即ち、咲夜を追い詰める事と同義。
ならば──どうする?
答えは簡単──追撃だ。
「はあぁぁぁぁぁああ!」
攻撃方法は単純。その身体そのものを武器とし、その質量を以って敵を打ち砕く。
──電撃を纏った、突進。
自分は一つの弾丸、とでも言うつもりか。高速で超速で神速の如く速く速く圧倒的なスピードを以ってリオルに向かって飛翔した。
電気を帯びた風は、吹き荒れ、蒼い獣へと衝突──
【みがわり】
──しなかった。
衣玖が攻撃したのは──リオルではなく、恐竜か何かを模した可愛らしい人形だった。黄緑色のその人形は雷に焼かれて黒焦げになり、落下。
みがわり──自身の盾となる人形を生み出すという、他とは少々毛色が違う技だ。
(あ、危なかった……。間に合った……ギリギリで)
発動が何とか間に合い、一命を取り留めたリオル。しかしみがわり人形を生み出す代償として、問題ない範囲ではあるが──疲労感が、身体に巣食った。
『ふっ!』
そんな事は関係ないとばかりに、リオルは──飛んだ。正確には、跳んだ。
波動の放出の勢いで、我が身を上にカチ上げた。ゲームで言うところの二段ジャンプのように、まるで空中に見えない足場があるかのように、上へ上へと飛び上がる。
【はどうだん】
【はどうだん】
【はどうだん】
【はどうだん】
そんな中でも、攻撃の手は緩めない。飛び上がる最中にも、波動弾を放ち続ける。
目的は牽制だ。
今も続けて、止まることは無く──衣玖はリオルへと向かってくる。こうなると、衣玖は(弾幕を飛ばした方が楽だった……)と内心後悔するのだが、こればかりはどうしようも無い。
今分かる事は、リオルを倒す──スペルカードの発動を止めないと、負けることだけだ。もしゴリ押しして咲夜を狙っても、確実に背後から狙われる。今ここでどうにかしなければ……敗北、それ以外の結果は無いだろう。
勝負は、終盤へと──流れて行く。
遅れて申し訳ございません