【はどうだん】【はどうだん】【はどうだん】【はどうだん】
【はどうだん】【はどうだん】【はどうだん】【はどうだん】
【はどうだん】………………
『ぐっ……』
みがわりの発動が響いたか、疲労を表情に露わにするリオル。自身の生命力そのものである波導をここまで放出していたのだから、疲れるのは当然だろう。
「チッ……」
これまた同様に、疲労感を隠せない衣玖。肉体的と言うより、精神的な疲労が大きい。リオルが放つ波導弾を回避しながら、接近する必要があるためだ。その上──衣玖が今取れる行動は『突進』だ。突進──体当たりするためには、どうすればいいか?
──ゼロ距離までの接近。正確には、纏っている雷が当たれば、であるが──どちらにせよ、難易度は高い。
この戦況は正に──消耗戦と言えるだろう。このままではジリ貧。結果は相打ちか。
そう考えたのは、衣玖だ。
この泥沼の争いを、この状態を、どうにかして脱したい。そのために──賭けに出た。
「はぁぁぁぁあああ!!!」
妖力を全力で解放。雷は荒れ狂い、龍の如く衣玖は空を昇った、それは──力の奔流。
読める、読める! 波導の射線が!
全ての弾丸を先読みし、あらゆる波導を紙一重で回避。今迄の倍、いや、それ以上の速度で、高く、高く────
────猛進!
一方リオル。そのポケモンは──とても焦っていた。
どれだけ波動弾を撃っても避けられ、距離はぐんぐん縮まっていく。波導で飛ぶという行為が消費が激しく長期戦には向かない事もあり、みがわりをデコイとして設置するとなると──体力的に、厳しい。
さらにその上、明らかに目に見える脅威──正確に言えば、雷の塊──が、迫ってきている状況にある。そうなれば、人間やポケモンは──いや、全ての生物がどう思うか?
答えは簡単だ。『怖い』ただその一言に尽きる。
(ひぃっ)
普段ならばここまで怯えることも無かったかもしれない。ただ、今現在の戦況──リオルの体力が大幅に消費された事により、リオルの判断力とその他諸々が欠如しているのだろう。打てる手も無いわけで、恐怖するのも当然だ。
「ぁぁぁぁぁああああああ!!!」
声がどんどん姿と共に近づいてくるよ、これは怖いね。そんな事を考える間にも、彼女はどんどんリオルへと──
(あっ、そうだ)
その時、リオルの頭に電流走る。天啓を得た──とは違うが、リオルの脳内で──新しい考えが浮かぶ。
ピコン! と、閃いた。
(焦り過ぎた──視野が、狭くなっちゃってるね)
【かげぶんしん】
衣玖の眼には──リオルが、増殖したように見えた。というか、増えていた。
(……え?)
リオルが一瞬、ほんの僅かな時間で──残像が重なったと思えば、瞬き程の間で分身。
目の前に大量のリオル。そんなシュールというか──非現実的な光景を見せられた衣玖は、一瞬、動きを止めた。
『しっ!』
その隙を狙ったか? 真正面からリオル達の内1匹が、突撃する。掛け声を上げ──拳を、衣玖に向かって振り下ろした!
「うっ、らぁっ!」
しかし衣玖は寸でのところで──グレイズしながらも、その拳を躱した。そのまま──余裕が無かったため、かなり無理な姿勢だが──リオルを蹴り飛ばす。
雷を纏う蹴りは、絶大な威力と共に、リオルを強襲──
(あれ……?)
その時、衣玖は疑問を抱いた。
(感触が……)
何か、蹴った実感が湧かない。
……ボンッ
リオルは、蹴り飛ばされたリオルは──消えた。まるで、元からそこにいなかったが如く。
【はどうだん】
(消えっ……)
ドンッ!