東方闇時空   作:よひつじ

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ポリゴン「俺は無実や、アニメに出せ」


分身

 鬼は霧となった。

 具体的に言えば、倒れた後に、その身体が霧散した。霧となり、その身体を消滅させた。

 

『うぐっ……』

 

 それを見届けたイーブイ(既にサンダースから戻った)は、糸の切れた人形のように倒れ伏す。単純に力を使い切ったのと、敵を倒したことによる安堵感によるものだろう。

 

『い"っ"……』

 

 痛っ! と叫ぶにも声が出なかった。体を酷使し過ぎた結果、イーブイの様態は悲惨なものとなっている。

 体中のアドレナリンを使い切り、痛覚が回復した──してしまった。だからと言ってアドレナリンを出し過ぎても洒落にならないことになるけれど、どちらにせよ苦しいことに変わりはない。

 

(無茶し過ぎた……)

 

 今までは、フレアドライブを放ち、ねんりきでナイフを操作するぐらいだった。それだけなら特に問題はない。しかし今回は違う。ねがいごとだけに留まらず、二回連続の変化にその他諸々etc……

 

(まぁ、仕方ないや)

 

 リオルを守れた、という結果が残ったのであればイーブイとしては何も、問題は無い。安堵感、達成感。色々な感情がイーブイの心を満たす。

 

『イーブイッ!』

 

 そう思った所で、当の本人がやってきた。名前を呼んだ後倒れたイーブイを発見し、急いで駆けつける。

 

『大丈夫!?』

 

『うん……何とか』

 

 イーブイの体に大きな傷は見受けられない。問題は──体内。身体の酷使によるものだ、立てない程に重度の。

 

 リオルは考えた。過去の経験から、どうすればいいか。

 

(やることは一つ……)

 

 流し込んだ。

 

 

 

 

 ──波導を。

 

 やる事は、ただの治療である。波導を流して調えるだけ。本来、一分もあれば済む──いや、数十秒で済むだろう。

 

 リオルがその身体から青い炎──波導を放出し、手に集中させる。そして、速く直そうと、波導を使って一刻も速くイーブイを治療しようとする。

 

 しかし、現実は非情である。そうは、させないとばかりに困難が襲い掛かる。

 

 イーブイの()に、()()

 

 黒い、()()

 

『ッ!?』

 

 リオルは反射的に波導を操作した。青色のそれは渦を描き──こそぎ取るように黒色を取り出す。心臓部辺り、一定のリズムで拍動する生命の核にそれは巣食っていた。

 そう、巣食っていた。パラサイトしていた。

 

 一体何時から。そもそも──波導を使っていて何故今まで気付かなかった? 

 

 脳内で弾けるクエスチョンがリオルを混乱させる。

 疑問はそれだけではない。リオルはこれを──知っている。記憶ではなく、感覚として覚えている。体に染み付いている。

 

(ポケモンになる前の事か──?)

 

 違う。と、反射的にその仮説を自分自身で否定する。それも感覚、直感的なものであった。だとしても、これは間違いない──と思う。

 

 そして、遥か遠い昔という訳でもない。何年も前、という事はまず無いだろう。

 

(このどす黒い気は──)

 

 半年以上前、幻想入りしたばかりの頃。リオルはそれを感知していた。それは、イーブイも同様だった。

 

 そうだ、と思い至る。あの活気づいた場所。トレジャータウンのようだった、そこ。当時の秋の肌寒さもそのにぎやかな雰囲気で消し飛ぶようだったから、余計に目立っていた。

 

 あの日もうっすらと感じていた、肌を刺すような感覚。まるで星の停止が起きていた時のようだ。常に監視されているようなそれ。波導を使えたからこそ敏感に、魂が感知したのだろうか。

 

 肉体、霊魂──それらが警鐘を鳴らす。防犯ブザーのように、けたたましく。

 

 人里、あそこだ。

 

 そこにもこれは存在していたのかもしれない。霊夢と出会い、魔理沙の提案で阿求の元に向かった時。リオルとイーブイは会ったことがないと阿求に言われ、収穫はゼロに近かった。そんな時、ふと気づいた違和感の正体は、きっとこれなのだろう。

 

 天界の醸し出す神聖なオーラに、どす黒く染まった汚穢の塊。対をなす二つ、そして──

 

『……っ!』

 

 どろり、と溶けだした黒、それに対抗する青い携帯獣。

 

 その黒色は溶けた状態のまま、液体状のままリオルに襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 




イーブイ
後半の空気具合

迷走しがちなので意見頂けたら嬉しいです
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