他人事のように聞こえるかもしれんが、この状況(更新速度的な意味で)に早く慣れれば慣れるほど、君(読者)は楽になる
襲い掛かる黒、そしてこれから絶体絶命のバトルが展開する。
「もう……忘れてるみたいだな」
──そんなことは無かった。どす黒いその物体は、意思を持っているかのようにリオルを襲ったが──リオルが身構えた時には、既にそれは砕けていた。爆散し、周りに粘液が飛散する。遅れて、ドパンっ! と破裂音が響いた。
飛び散りはしたものの、リオルや辺りの雲に接触はせず、一瞬、わずか一瞬で消え去った。蒸発──と言うべきか、気化のようだ。液体が空気中に気体となるように見える。
勿論、そうなればその黒い物体もあっという間に消えてなくなっていく。
黒色が消されていく。消滅していく。
そして、リオルの晴れた視界の先に人影が映る。それも、見覚えのある──というか、さっきぶりだった。少し前に会ったばかりだった。彼女は、拳を振り切った状態から立ち直り、こちらを見据える。
『伊吹萃香……』
ぽつり、とその名前を口にする。イーブイは……後ろで、状況を把握出来ずに固まっていた。体内からよく分からない物体が出てきたり、襲ってきたり、さっき倒した敵が何事もないかのように再び現れたりと、度重なる急展開に着いていけないのだろう。
そして、それはリオルも同様だ。
『何が……』
「じくうのさけび」
起きているんだ、と疑問を口にしようとした。しかし、直ぐに、言い終わる前に口を閉じる。
驚いた。これ以上無いといっても過言では無いぐらいに驚いた。瞳孔が開き、唾を飲み込む。
──何故、それを?
じくうのさけび……リオルが持つ能力。生き物や物体に触れることで、対象の過去や未来を聞いて、見ることが出来る。リオルは覚えていないが……人間であった時も使っていたと、ジュプトルが語っていた。
「色々知ってんだよ、私は。お前達のことも、ある程度は紫から聞いてるし、自分自身でも経験してる」
似たようなもんをね、と続けた。リオルはそう言われても、理解し切れないというのが本音だ。
『ちょっと待ってよ、紫ってあのおばさんのことでしょ? ワタシはよく覚えてる訳じゃないけど……事情が分からない、みたいな感じだったよ?』
「嘘だろ」
『えぇっ!?』
事情諸々は何とかして飲み込んだのか、フリーズが解けたイーブイが萃香に質問する。間髪入れずに否定されてしまったが。
「あいつの言うことなんて話半分に聞いとくべきだな」
イーブイを小馬鹿にしながら、そう言った。
「私は嘘はそんなに好かねぇ……だから嘘には敏感なんだよ、その分な。そんな私から言わせてもらうと、あいつは大嘘つきだ」
なんなら“超“嘘つきだな、とその鬼はおどけたように語る。
その様子は、嘘が嫌いと言う割に、嘘つきである紫自体は嫌ってはいないように見えた。少なくとも、この2匹には。
『いや、ちょっと待って』
「あぁ?」
『1番の疑問点はそこじゃない。今僕が……いや、僕達が知りたいのは「アレの正体、か?」……うん、アレは一体、何なの?』
あの、黒い……謎の物体。動きからすると、メタモンやゴクリンの様な生き物かもしれない。
物ではなく生物。ただの仮説に過ぎないが、そうリオルとイーブイは推測する。
「私にも、詳しい正体は分からん」
萃香は語り始める。
「ろくなものでは無いっていうのは確かだ……。さっき見ただろう? そこの……イーブイの体内に巣食っていたのを」
『うん……けれど』
「今迄、何故気付けなかったか、だな。それはアイツが身を潜めることに長けているからさ、特化していると言ってもいい。お前さんは『波導』とかいう都合のいい能力で発見できたが……もし気付けなかったら、どうなっただろうな……」
そんな恐ろしいことを聞いてイーブイは縮こまり、リオルは先程までの体験を改めて振り返る。
その身に潜んでいたにも関わらず、それをイーブイは感知出来なかった。リオルも、波導が無ければ気付かないままだっただろう。しかしリオルにとって気になるのは、あの黒が……
「消す」
『え?』
「あいつは、記憶を消す。思い出すことも稀にあるが、大抵の記憶は失われたままだ」
迷走しがちなので意見を頂けたら嬉しいです
以下、多分説明なく終わりそうなのでQ&A
Q.なんでポケモンと萃香は話せてんの?
A.発した言葉の内、言霊を萃めています。声自体はただの鳴き声にしか聞こえて無いけど、声の中に存在する霊力、言霊を読み取っています。この設定は数年前に何か東方の二次創作であったので採用しました。要するにパクげふんげふん、何でもないです