リオルとイーブイは困惑する。何せ、先程脅迫紛いの行為を自分達にしてきた相手が、突如相手の家に住む事を提案してきたのだから。
「おっと、二匹共、これにはちゃんとした理由があるんだぜ」
理由、そう言われても二匹には見当もつかない。
「分かってないって様子だな。じゃあ解説といこうじゃあないか」
そう言って、魔理沙が語った内容はこうだ。
一つ、お前らは何者か分からない。よって一時的な監視をする__
二つ、単純に二匹がどういうものなのか、知的好奇心が刺激される__
後半は完全に私情だった気がしないでもないが、まぁ二匹にとってもこの提案が中々良いものなのだ。
理由としては、現時点まず住処が無く、野宿も可能ではあるのだが出来ればちゃんとした所で休憩を取っておきたい。
それに、他人との関わりが無いのだ。
二匹は今まで助け合いながら生きていたが、それも二匹だけの話では無く、ギルドの皆や、ジュプトルやラプラス達にとも助け合ってきた。
助け合って、今があるのだ。
関わり合いというものは、見えない所で続いてゆく。
二匹はそれを今まで実感してきた。
「リオル、ワタシは賛成だけど、そっちは?」
「僕もだね。この誘い、受けた方がいいと思う」
二匹は頷く。
「おっ、受けてくれるか。……あぁ、そうだ。とは言っても、過ごすのは数日間だけだぞ? それが終わったら、私の友人に相談しに行く事にするんだ」
と、言う事で、二匹の『ニンゲンの家に泊まってみよう〜魔法使い編〜』が始まるのだった。
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「まず、食糧事情なんだが……お前ら何を食うんだ?」
魔理沙は問う。当然の事だが、生きている以上何かを摂取しなければ生きていけない。よって、こうした調査を行っている。まぁ、魔理沙からしたら生態調査もあるのだろうが。
「なるほど、木の実の類か……。よし、ちょっと待ってろ」
リオルがトレジャーバッグからオレンの実を取り出す。それを見た魔理沙は木の実の類を食すのだろうと当たりをつけ、奥の台所に向かう。
「ねぇ、リオル。ワタシ達特に何もしてないのに、こんなに良い扱い受けちゃって良いのかな?」
「……いつか、恩は返しておきたいね」
家はそれなりに汚いのは置いておいて、中々の好待遇に若干恐縮気味の二匹だったが、魔理沙が帰ってくると、直ぐに姿勢を正して(イーブイは四足歩行なのでそうでもないが)座る。リオルに到っては正座をしている。
「……別にそんなに畏まらなくてもいいんだぜ? 悪い気はしないけどさ……」
林檎や蜜柑などの各種果物と、自分用のシチューを持ってきた魔理沙だったが、これを見て若干恐縮気味だ。人と獣、異種族同士恐縮し合っているのは……とてもシュールな光景であった。
「「「ぷっ」」」
全員、それに気付いたのだろう。苦笑気味に噴き出す。
先程から一転、和やかな空気だ。
そして、しばらく笑い通した後……
「いやぁ、笑った笑った。それじゃあ……」
話す言語は違えど、言う事は同じだった。
「「「いただきますっ!」」」
明るく、夜は更けていくのだった。