特別だからって世界を救う義務は存在しない。   作:霧ケ峰リョク

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皆さん、お久しぶりです。
最近旅行に行ってきて初めてビジネスホテルに泊まったんですが大浴場があったんですよ。
ビジネスホテルといえばユニットバスかなって思ってたんですけどそうじゃないんですね。

あ、ちなみに旅行先は動物園でした。
久しぶりの旅行だったんですけどいやぁ、動物は良いですねぇ。
梟がめっちゃ可愛かったです。そしてヒグマはめっさ怖かったです。


労働生活その14

平穏な生活を送る為、そう言って彼は笹川了平を連れて屋敷から出て行った。

その後ろ姿を見てユニは何も言う事が出来ず、手を綱吉に向かって伸ばすだけだった。

 

「沢田さん…………」

 

誰も居なくなった庭の椅子に座り、ユニは一人小さく呟く。

最初に出会った時はかなり困った性格をしているが優しい人だと思った。

はた迷惑と言うにはそこまでではなく、ルールを破るタイプかと聞かれればそういうわけではない。かといって御行儀良くルールを守るタイプでもなく、ルールの範疇ならばなんでもやるタイプだ。

一番性質が悪いと言えばその通りだと思うし、彼の家庭教師になったリボーンおじ様や後継者に指名したボンゴレ9代目、彼の父親に対して

は同情してしまう。

実際、自分が被害者側に立ったら文句の一つぐらい言わないと気が済まないだろう。

ユニは当初、沢田綱吉と出会い話した時の印象を思い返す。

 

――――その印象が変化したのは、予知を見てからだった。

 

予知に映った未来の沢田綱吉は血塗れの大空のおしゃぶりを片手に血の海の上に立っていた。

透明なおしゃぶり、石のおしゃぶり、亡者のような人達にそして鉄帽子の男。

恐らくそれらと戦っていたのだろう。

そして未来の自分は泣きながら沢田綱吉を止めていた。

一体何が起こってそうなったのかは分からない。

だがその光景を見て以降、ユニは綱吉に対して少しだけ警戒心を抱いていた。

尤も、彼が道を間違えそうになったら止めようと思っていただけで、彼がチヨヒメ・ディケイドと称してメイドとして働いているのを見て警戒心はすぐに杞憂に変わった。

彼、もとい彼女の行動は見ていてとても愉快だ。

普段は気丈に振舞い、完璧な結果を出すように心掛けているが少しでも気を抜けば素が見えてくる。

ポンコツでドジで若干天然で、自らの行動で自爆して痛い目を見る。

なのに懲りないしまた似たような失敗をする。

そんな彼を見ていて思わず笑ってしまいそうになる。

 

「貴方は一体何を考えているんですか?」

 

だが、さっきの綱吉を見て訳が分からなくなってしまった。

笹川了平の話を察するに綱吉はボンゴレリングだけでなく、アルコバレーノのおしゃぶりやマーレリングを知っている。

世界創造の礎、究極権力の鍵、全知全能の神。

その事を綱吉はきっと分かっているだろう。でなければ詳細に書いて等ない。

かといって彼が悪い事を企んでいるとは到底思えない。

 

「案外、聞けば答えてくれるんじゃないかしら」

 

一人悩んでいるユニの前にアリアが姿を現す。

 

「お母さん…………」

 

アリアの言葉にユニは何とも言えないような表情をする。

確かに聞けば答えてくれそうな気がしないでもないが、あの様子を見るにそれは無理そうだ。

 

「まぁ話を聞き出そうとしても適当にはぐらかされそうだけどね」

「なら、どうすれば話してくれると思いますか?」

「そうね…………綱吉君はあまり話したがらないけど、そもそもドジなところがあるからうっかりぽろっと喋っちゃう事だってあると思うの」

「つい、うっかり…………」

 

アリアの助言を聞き、ユニの脳裏にある考えが過ぎる。

確かにこれなら話してくれそうだ。と、いうか多分話してくれる筈だ。

確信があるわけではないし

だがこんな事をやって良いのか。脳裏に過った考えにユニは一瞬躊躇い、

 

「…………そうですね」

 

そしてすぐに実行する事を決意した。

よくよく考えれば彼はかなり自分勝手にやっている――――ならば自分だって同じように自分勝手に振舞ったって構わないだろう。

 

「お母さん! 私、ちょっと外に行ってきます!!」

 

決意を固めたユニは勢いよく窓から外に飛び出した。

その光景を見ていたアリアは少しだけ呆けた後、思わず苦笑を溢した。

 

「随分と御転婆になったものね」

 

もしこの光景を見ていたらあの娘を可愛がっているクルンとしたもみ上げの彼は、影響を与えたであろう少年をシバき倒す事だろう。

 

「だけど、薬漬けにされたり銃で撃たれるよりは遥かにマシね」

 

アリアは小さく呟くと瞳を閉じる。

 

「まぁ後でお仕置きはするけどね」

 

そして笑みを浮かべながら静かに怒気を募らせていた。

この後、白昼堂々寝所に誘いに来たγは地獄を見る事になるがそれはまた別の話。

 

   +++

 

「ここぐらい離れてれば問題は無いか」

 

ジッリョネロファミリーの屋敷から離れた所にある池のある森の中。

そこで俺はお兄さんと向かい合っていた。

ここならばある程度は暴れても大丈夫そうだ。

尤も、お兄さんのパワーならそのある程度すら上回りそうではあるが、ここ以外に適した場所が無かったので仕方がない。

 

「それじゃあ、戦いましょうか」

「ああ。俺が勝利し、お前を連れて帰るぞ沢田!」

「悪いとは思いますけどまだ帰るつもりは無いです!!」

 

今帰ったら間違いなくろくでもない目に合う。

具体的には雲雀さんの拷問という名の制裁を受けた後、徹夜で仕事をやらされる。その上、今はリボーンも居るのだ。

どんなことになるかなんて恐ろしくて口に出す事すら憚れるし、俺の想像を軽く上回る気がするから考えたくも無い。

どちらにしろろくでもない目に合うのは確実だが。

超死ぬ気モードになり、刀を片手に構えて突貫する。

 

「大人しく負けてくれ! 炎舞双閃!!」

 

死ぬ気の炎を纏わせた斬撃を二度振るう。

だが一度目の斬撃、峰打ちが当たるよりも速くお兄さんは後方に回避した。

 

「悪いが、大人しく負けてやるわけにはいかん」

「やっぱり避けるか」

 

出来ればこの攻撃で倒したかったけれど、そう上手くはいかないか。

とはいえ、だ。相手は笹川了平、その実力が高いのはよく知っている。

それに俺と会ってない間にかなりパワーアップしているみたいだ。

以前と同じと思ってたら痛い目を見るのは間違いないだろう。

本当、こんな時にグローブがあれば素早く動く事が出来るのに。

ここに無い物を望んだところで意味なんか無いのは知っているが、それでも思わずにはいられない。

刀を地面に突き刺し、無手で構える。

 

「むっ、武器を捨てたか」

「貴方が相手なら、武器を持たない方が良い」

 

ボクシングをやっているお兄さん相手に剣で挑むのは不利だ。

手数に一撃の破壊力、そして射程。全てが今の俺を遥かに上回っている。

一応俺にも遠距離攻撃がないわけではないが、ある程度のチャージ時間が必要になってしまう。

それに対しお兄さんはかなりの高威力の攻撃を連発で放つことが出来る。

本当に割に合わない相手だ。

とはいえ、勝たなければ酷い結末にしかならない以上、何が何でも勝たなくては。

 

「はぁっ!!」

 

死ぬ気の炎を纏った拳をお兄さんに繰り出す。

対するお兄さんも晴れの炎を纏わせた拳を放った。

互いに繰り出した拳が互いに迫る。

 

「オーバーフロー!!」

 

そして拳がぶつかり合う瞬間、オーバーフローモードに入った。

 

「何!?」

 

全身から勢い良く溢れた炎にお兄さんは驚愕の声を上げる。

自分より威力が強いのならば地力を引き上げ、更に威力を高めれば良い。

そんな考えの下、溢れさせた死ぬ気の炎を拳の先に集中させる。

そして互いの拳がぶつかり合い、威力が弱かったお兄さんの身体は宙を舞い、池まで吹っ飛んでいった。

 

「まだ、浅い!」

 

吹っ飛んだお兄さんに追撃を仕掛けようと距離を詰める。

一度オバフロモードに至ったせいか、それとも完全復活を遂げた影響なのかは知らない。だけどこの状態も安定している。

これなら五分間は維持出来るだろう。

 

「少しだけ眠っててくれ!! フィアンマ・インパクト!!」

 

尤も、そこまで時間をかけるつもりは無い。

そう言わんばかりに両腕の巨大な炎塊をお兄さんに叩き付ける。

目前まで迫って放たれた広範囲の一撃を回避する術等無い。

だがお兄さんは自らの眼前にある死ぬ気の炎の砲撃を見て、静かに笑みを浮かべた。

 

「どうやら、また腕を上げたようだな」

 

お兄さんがそう呟くと同時に俺が放った攻撃がかき消された。

いや、違う。かき消されたんじゃない――――相殺されたんだ。

 

「だが腕を上げたのは俺も同じだ」

 

相殺された俺の大空の死ぬ気の炎とお兄さんの晴れの死ぬ気の炎が消失する。

そして、お兄さんの姿を見て驚愕し目を見開いた。

白かった頭髪は黄色の炎と一体化して燃え上がっており、死ぬ気の炎が溢れていた。

その姿は紛れもなく――――俺と同じオーバーフローモードだった。

 

「マキシマム・フィニッシュ!!」

 

独特なステップを刻みながら接近し、お兄さんは炎が込められた拳を放つ。

先程俺が放った一撃と同じく回避する術が無い。

ただ一つ違う事があるとするならば、さっきの攻撃をお兄さんが相殺する事が出来たのに対して俺はそれすらも出来ない事だろうか。

 

「がっ!!?」

 

腹部に突き刺さった一撃に俺の身体は宙を舞い、近くの岩肌に叩き付けられる。

 

「げぇ、ぜほ…………」

 

あまりの激痛と気持ち悪さに胃の中にあった物を吐き出す。

痛い、なんて単純な言葉では言い表せないくらいの激痛だった。

もし俺がオーバーフロー状態でなかったら目も当てられないような事になっていたかもしれない。

 

「さぁ、沢田。覚悟しろ!」

 

俺を見下ろしながら宣言するお兄さんを見て、思わず苦笑を漏らす。

どうやら俺が思っていた通りに事が運ぶことは無いらしい。




笹川了平は常時死ぬ気人間である。
オーバーフローモードは超死ぬ気モードに死ぬ気モードを重ね掛けする状態である。
だからこそ了平はオーバーフローモードを使う事が出来るのです。
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