交差する時、引鉄は誰が引く   作:ベシ

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今回はいわゆる導入です。
次回から本格的に介入していきます。

というか、この原作を知っている人がどれほどいることなのやら。


序章へ向かうための序章

夏の、ある暑い日のこと。通っている大学は既に夏休みに入り、サークルの活動も無い。連絡の取れる友人たちは皆予定があって都合がつかず、集まって駄弁ることも出来ない。簡潔に言ってしまえば、私は暇を持て余していた。

 

家でおとなしくしているのは性に合わないので、外に出ることにする。そういえば、少し前に電車に乗ってちょっと行ったところに大型のショッピングモールが出来たという話を皆がしていたような。よし、今日はそこで徹底的に暇を潰すことにしよう。

 

 

 

今日の収穫は大きかった。まさかあんなに美味しいコーヒーを出すお店が有るとは思いもしなかったし、ショッピングだけでなく体を動かせるアミューズメント施設まで完備とは……、次は一人じゃなくて、皆で来たいな。

 

日が暮れて来た。こういう施設としては、これからの時間がいよいよ書き入れ時なのだろうけど、私は十分満足したので帰ることにする。

 

駅で電車を待つ。無計画に来てしまったので時刻表を確認する。もう暫くは待たなければならないようだ。少しだけ肩を落として印の前に並びなおす。こういう、行動と行動の合間、少しだけ何も考えずに惚けていられる時間は、実のところ結構好ましかった。だって、こんなに素敵な発見をさせてくれるのだから。

 

それは少女の形をしていた。夕焼けを浴びて更に輝く金色の髪に、それを纏めている紅のリボン。白くシンプルなワンピースは純粋で無垢な印象を与える。青空のような瞳は、距離を隔てていてもなお吸い込まれそうな程に透き通っていた。

 

どうしてだろう、初めて見た筈なのに懐かしさが込み上げる。まるで、長い間共に旅をした仲間と再会したような感覚。少女はまだ此方に気付いていないようだ。いや、そもそも、ただ駅のホームで向かい合わせになっただけの初対面の人間に大きな印象を持つことが稀なのか。

 

ふっ、と少女が顔を上げる。目が合った。あぁ、どうしよう。胸が高鳴る。目を逸らせない。いや、違う。逸らしたくないのか。少女も、ただ私を見ている。

 

その時、向かいのホームに電車が入ってきた。邪魔だ。はやく行ってくれ。漸く発車する。やっとか、これでまた少女と交流できる。しかし、私の想いとは裏腹に再び視界に入った向かいのホームからは、少女の姿は消え去っていた。

 

なぜ、どうして。私の頭の中はそれで一杯だった。そうだ、向こうに行けば良いじゃないか。すっかり失念していた。全くこんな簡単なことも分からないとは、私も動揺していたようだ。真っ直ぐ歩き出す。そのまま、私は線路内に落ちた。落ちた体勢が悪かったのか、意識が朦朧としている。だが、そうだ、「向こう」に行かなければ。何やら大きな音がするが、些細な問題だ。次の瞬間、衝撃が体を襲い、私は意識(いのち)を失った。

 

 

 

『全ては運命(ワタシ)が導くのだ」

 




短いですがプロローグ終わりです。
あんまり短すぎると思うので、今回の視点を担ってくれた女の子の紹介だけ軽くしておきたいと思います。

名前:伊馬(いま) (はじめ)

年齢:20(転生前)
一人暮らしをしながら大学に通う学生。
幼い頃から体を動かすのが好きで、空手、柔道、合気道などに見境なく手を出し、それぞれ一応初段は取っている。
大学の体術同好会に所属。
あ、別に百合っ娘さんじゃないですよ。ほら、長い間会えなかった家族に再会すればあんな感じになるんじゃないですか?
ええ。そうです、きっとそうです。

それでは、拙い文章ながらここまでお付き合い下さった方に最大級の感謝と、これからもよろしくという願いを込めて、またいつか。
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