男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた!   作:ネコ文屋

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やっぱりノープラン進行で...(-.-)y-~~
今回は野良パを組んでファステイア周辺のいろいろなところへ行くというとてもほんわかとした章になると思います。
4611文字



02_無軌道な喧騒(けんそう)、その『日常』の一つ
01_中年リーマンのルーティン


 いつものように仕事が終わった後にシャンフロにログインして草を焼いていた。

 

 

 夏も真っ盛りになってきたのにも関わらずここファステイアは相も変わらず5月の爽やかな陽気が漂っている。

 

 

 

「いい天気だなぁ。」

 

 

 ちょっと小高い丘まで登ってみるか...

 

 

 

 ここ最近は草焼きをやり終えたら、散歩がてら最高の昼寝スポットや散歩スポットを探しては地図に書き込むのを日課にしているのだ。

 

 

 

 ファステイアの草原はすべてがまっ平らな訳ではなく、ところどころデコボコしている。ちょっと小高い丘があったり、小さな池があったりする。

 

 

 

 そうしたリアルなら無視するようなスポットもどこで何をやろうが怒らたり咎められないゲームの世界なら、昼寝スポットや演奏の練習スポット、はたまたゴブリン狩りスポットとして有益なのだ。

 

 

 

 ゲームを始めてから2週間、仕事のストレスをシャンフロ内でまったりと癒やす。そんなルーティンができつつあった。

 

 

 

 

 

 

 小高い丘の上には小さな樹が生えていた。地面が少し禿げている。

 

 

 

 インベントリから木の椅子とテーブルを取り出し、テーブルの上に皿を置いて、NPCの店で買ったクソ堅いパンにチーズとベーコンを載せ、鉄串で刺す。地面に適当に集めた折れた木や枯れた草の山をインベントリから出し、鉄串を地面に刺す。

 

 

 

 インベントリからタレにつけたネズミ肉やウサギ肉、鳥肉、カタツムリ肉を出し同じように鉄串に刺し枯れ山の周りに刺していく。

 

 

「おいしくなーれ、おいしくなーれ。」

 

 

 よく燃える木の棒を取り出しファイヤーボールで火をつけ、枯れ山に木の棒を投げる。火打ち石でもいいのだが何だが芸がない気がしてな...

 

 

 

 パチパチと火が爆ぜる音が聞こえる。

 

 

 

 片面が焼きあがってきたところで、追いファイヤーボールをしてから、ヒートハンドで火傷防止をし、鉄串を回す。

 

 

 

 鼻歌を歌う間に焼きあがるの待っている間にサラダとビールを出して置く。野菜はちょっと『輝ける種』から融通してもらった。

 

 

 

 遠くの方に目を凝らすと池で魚が跳ねているのが見える。魚か...ありだな!

 

 

 

 どんな味がするんだろうか?塩焼きもありだなとか考えていると大分串が焼けてきた。

 

 

 

 焼き上がったもろもろを皿に適当に載せる。少し離れたところでアクアウィップを上向きに打ち、豪快に手を洗う。

 

 

 

「いただきます!」

 

 

 パンやサラダ、肉をモッシャモッシャ食いながら考える。

 

 

 

 今日はどうしようか...

 

 

 

 草を焼いて野外で飯を食うのまではなんとなく流れでやっていることであるが、その後というのは大抵違うことをしている。

 

 

 

 この前は、山を登ってみようとしたり、街をぶらついたり、ゴブリン狩りに勤しんだり、初心者講習を受けにいってみたり、オルガンを弾かせてくれと頼んでみだりだ。

 

 

 

 やってよかったのは初心者講習だ。投擲と鑑定の講習を受けたのだが、投擲は汎用性が高く重宝している。石を投げて、ゴブリンにぶつけたり、背の高い草むらに隠れてからの石で注意を引きつけてからの短剣での急襲でゴブリンを狩ったりするなど搦め手にも便利だ。

 

 

 

 鑑定の方は一度、本を読んだりする必要があるので少々使いにくさがある。自動でポップアップする自前の百科事典といったところか...似た植物は見分けがつかない。地味にめんどいな。

 

 

 

 山登りはすんなり登れて、ピクニック気分を満喫していたんだが、ちょっと行った先に崖になっているところがあって、何かあるかなと思って断崖絶壁をクライミングの逆の要領で降りている時に手が滑って死んだ。今度また挑戦してやる...!

 

 

 一方で無駄に終わったこともある。パイプオルガンは素人には触らせれないってさ。はぁ。ケチくさいぜ...

 

 

 

 ビールをグイッとやりながら、深いため息をつく。

 

 

 

「いっそ自分で作ってみるか...?楽器...」

 

 

 

 何も考えずにつぶやいた一言にハッと気がついた。作る。ありかもしれない。

 

 

 

 よく分からない村の爺さんでさえ作れるんだ。俺だって頑張れば作れるのではないだろうか...せやかて、今持ってる材料で何を作れるというのか?

 

 

 

 インベントリの中を全部ひっくり返して並べていく。

 

 

 

 鉄串×10、短剣2本、スロイーングダガー×5、皮袋(石入り)、ゴブリンの石斧×25、冊子(初めてのファスティア、初級魔術教本)、木の椅子、木のテーブル、小さめの樽(ビール)、皮袋(サラダ用の野菜)、壺肉(タレ)、ネズミや犬の皮、よく燃える木の棒、エクスカリバール...

 

 

 

 困ったな...何も作れる気がしない!

 

 

 

 強いて言えば...木の棒に穴を開ければ笛になるのか?髪の毛をガシガシとかきむしる。あの木の棒を売っていた店主に...聞いてみるか?正直期待できない気もするが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「笛が作りたいだァ?木の棒削って笛にするとか。はっ。できると思ってんのか?まあ、やるだけなら自由だけどよ。ちょいと変わってんなぁ!」

 

 

 

 作務衣姿の店主は彫刻刀で木の棒に細工を入れながらぼやく。

 

 

 

「おりゃあ全くやる気が起きんから自分でやりな!とりあえず、サブジョブで木工職人とれよ。」

 

 

 

「木工職人というジョブにつけば笛作れるのか...?」

 

 

 

「知らん!!!とりあえずサードレマまでいってサブジョブ解放してこいや。」

 

 

 

 なんたる塩対応。

 

 

 

 だが、指針は見えたな。まずは、木工職人になる。それで笛を作るのだ。その前にサードレマとやらに行かなきゃいけないらしいな。

 

 

 

 いや、面倒だな...何でサードレマまでいかにゃならんのだ...

 

 

 

「ジョブを取得しないで作れはしないのか?」

 

 

 

「はっ。お前さんに笛を作る技能はあるのかい?ふーっ。」

 

 

 

 木くずを息で飛ばしている。

 

 

 

「ところで、それ何を作っているんだい?」

 

 

 

「火が出る木の棒だ。チャッカマンを作ろうと思ってな。」

 

 

 

「チャッカマン?!欲しい...!」

 

 

 

「ゆくゆくは爆発しながら火の玉をはきだす木の棒を作ろうと思っとる。うーん?この素材はなかなか火力が出ないな...いや、意匠との相性が悪いのか?」

 

 

 

 グリップの部分を握りながら先端から赤色の炎を出し入れし、一人ごとをつぶやいている。

 

 

 

「チャッカマンいくらするんだい?!」

 

 

 

「まだ試作品だから売らねぇ。」

 

 

 

 なんだい...売ってくれないのか。ファイヤーボールで火を起こすの地味にもったいないから欲しいなぁ...

 

 

 

「おめぇ笛じゃなくてもよぉ。太鼓でもいいなら俺が作り方教えてやるよ。」

 

 

 

 ツンデレかな…?

 

 

 

 

 

 

 

 小さめの広場の噴水に腰掛けながら、そこら辺の道端で拾った小さめの酒樽の上の部分を取り外す。

 

 

 

 底の部分に蓋を重ね、NPCの雑貨店で買った釘をエクスカリバールで軽く打ちつけ固定する。

 

 

 

 蓋の横の部分に等間隔になるように目印をしてから、釘の頭が少し出るように打ち込む。

 

 

 

 動物の皮をなめしたものを樽の上にかぶせ、皮にあけた穴に紐を通す。

 

 

 

 紐を釘の頭に引っ掛け力を込め、対角となる箇所同士をきつく張っていく。

 

 

 

 皮の表面がピンと綺麗に伸びていたら完成だ。

 

 

 

「タラッラッッラッラー、樽太鼓ぉ...」

 

 

 

 店主が選りすぐった木の棒で叩けば...

 

 

 

 ポン!

 

 

 

 なかなかいい音じゃないか?二本の木の棒を構え適当に乱打する。

 

 

 

 ポンポン!カッ!ポンポンポンポン!ボン!

 

 

 ポポポポポポポポン!ボン!

 

 

 あのアーケードゲームを思い出すな。バチを上に放り投げ、落ちてくるものをキャッチしながら二連打する。

 

 

 ドドォン!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと静かにしてくれないか...?今最高に来ているんだ。」

 

 

 

 そばに座っていた釣り人が噴水に糸を垂らしながらぼやく。

 

 

 

「いや、俺も相当テンション来ているのだが...初めての楽器で!思ったよりも出来がよくてビビった...

 

 

 あなたはこんな噴水で釣り糸を垂らして何をしようというのだい?」

 

 

 

「シーーーっ」

 

 

 

 人差し指を口先に当てて口を開くなと注意をしてくる。

 

 

 

 黙って一緒になって水面を眺めていると釣り竿がしなり始めた。

 

 

 

「よしよーし、食いついてくれよ...!しゃーキタキタキアァッッッッ!」

 

 

 

 少し淀んだ水底から魚影が水面に浮かび上がる。

 

 

 

「フィーーーーーーーッシュッッ!!」

 

 

 

 宙を光を照らしながら舞う一匹の青白く細長い魚。

 

 

 

「よーっし!これは食えそうだな...!」

 

 

 

「お見事!いやー...しかし、噴水で魚が釣れるんですね。」

 

 

 

 魚を壺の中に入れてから釣り人は答える。

 

 

 

「それはゲームだからではないのかなぁ。それなら、噴水で魚が釣れてもおかしくはないでしょう。まあ、何でも釣れるならいいけどね。」

 

 

 

「なるほど?」

 

 

 

 そう言って釣り人は釣り針に餌を刺し、釣り糸をまた噴水に投げ入れた。

 

 

 

 

 

 

 騒がしくしたら怒られそうなので太鼓をしまい込んで、商店や露店をぶらりと物色しようかな。いや、せっかくMMOなのだから、パーティープレイとやらも経験してみたいな...なんとなく気後れしていたのだが今までソロで十分楽しめたがそろそろ慣れてきたし試してみたいかも。

 

 

 

 大広場に面したところにあるという開拓者集会所に立ち寄ってみるか。まだ早い時間帯だからちょうど人も集まり始めたところだろう。

 

 

 

 

 

 

 ハロワでもらったパンフレットの地図で建物のおおよその位置を目で確認し、てくてく向かう。

 

 

 

 パーティーっていうとドラ○エみたいに前衛と後衛があるんかな?しかし、VRは仮にも3次元だ。ステータスで考えていると痛い目に会うかもしれない。現実世界だと小隊みたいな感じだよな...魔術師は現実にはもちろんいないがどういう立ち位置なんだ...火炎放射器とかそんな感じだろうか?それか戦車や榴弾的な攻撃力か?

 

 

 

 いや...白兵戦が主流なことを考えると戦国時代を想定した方が良いのかなぁ。侍が前衛、弓兵が後衛といったところか。うん。変則的な弓兵が魔術師ということだな...槍とか斧、剣、短剣は全部前衛だろう。で、弓使いや魔術師が後衛っと。

 

 

 

 他にどんな戦闘職があったけ?ああ、聖職者とかもあったな...まあ...傷薬という認識ではだめなんだろうな...前衛の防衛ラインを崩壊させないための要員とみるべきだな。瞬発的な動きができないだろう後衛は近接されるとまずい。そこで前衛が押さえておくということなのだろう。その前衛をゾンビ化させるのが聖職者ということだろうな...

 

 

 

 

 そう考えてみると様々なパーティー構成が考えられるな。前衛だけというのも正解だろう。自己管理になり個人の近接戦闘のセンスに依存する反面で、タンクや後衛というものを切り捨てたスピード感のあるものもできる。ただ、不測の事態、例えば毒や長期戦、遠隔でメタられた時への対応力はなくなるのではないだろうか。

 

 

 

 後衛がいるメリットは、射程が長いということに尽きると思う。狩りの途中で逃げられた時や相手が遠くから向かってくる時、空中にいる時に攻撃を加えられるのは大きなメリットだ。一方で敵が接近したときはそのメリットは消えてしまいむしろ近接対応ができないためにデメリットとなってしまう。

 

 

 

 しかし、一つの部隊に前衛と後衛がいるというのは案外難しいんじゃないんだろうか...?連携が大変そうだ。前衛だけ、後衛だけというのは意外にも最適解なのでは...?後衛だけなら十字砲火や引き打ちもできそうだ。

 

 

 

 いや...連携プレーというものを上手くやれば、リアル寄りなゲームでも前衛後衛というのが運用できなくもないのかなぁ...そもそもどんな敵がでるかまだあまり分かってないしな。木の上にいた大蛇やあの群れで突っ込んでくる牛なんかが今後出てくると考えると、ちゃんと前衛も後衛もいた方が対処できそうな気もする。

 

 

 

 

 

 

 地図の場所にはの石造りの大きな建物があった。屋上から紋様が縫われた垂れ幕がだらりと垂れ下がっており、木と黒い金属で作られた両開きの扉は最大限に開け放たれている。夜も開くのであろうか。扉の両側には篝火の台とおぼしきものが備え付けられていた。

 

 

 

 中へとのっそりと入っていく。さて、仲良くやっていける人がいるといいのだが...




Tips.アイテム生成
アイテムを作成する時にゲームシステムの判定によりステータスや機能が反映される場合とされない場合が存在する。反映されるには熟練以上の技術が必要とされる。素材の性能そのままのアイテムは耐久値などが低く壊れやすい。
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