男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた! 作:ネコ文屋
戦況がこちらに傾きつつある中、流石にダメージが積み重なり苦しいと思ったのか巨大アメフラシは額にあるドリルで土の中に潜っていってしまった。
「逃げたぞ、追え!」
「とはいっても地中だからどこへ行ったかわからないよ。」
辺りを探したものの見つからず砂嵐と火の悪魔が消えていった。
ドゴーン!!!
しばらくして大きな沼地に泥をまとった巨大アメフラシが現れた。そこからこちらの方に泥の3メートル級の津波を発生させてきた。かわいい大きなトラ猫は津波を飛び越えて巨大アメフラシと戦い始めたが泥の厚さからか効果がないようだ。
遠くからの攻撃だったので壁を作って津波をやり過ごし、近づいていった。
ビリビリビリッ
空中にできた裂け目から大量の土砂が降り注ぐ。辺りはすっかり泥だらけになった。
異変を察知してか、セカンディルの方からプレイヤーが集まってきた。レベルの低いプレイヤーが多いのか巨大アメフラシには攻撃せず野次馬をしに来たのがほとんどのようだ。自分の状況と同じだ。
ハイパー黒糖と暗黒騎士の人が光り輝くそれぞれの武器を持って巨大アメフラシに向かって突っ込んだ。
沼地に岩の足場を作ってかわいい大きなトラ猫がひっかいた泥の跡に攻撃を加えていく。
自分も含めた後衛は沼から出てくる泥の触手を避けながら様々な種類の魔法を放っていった。
様子を伺っていた野次馬たちも勝ち目があると見たのか次々と巨大アメフラシの攻撃に加わり始めた。
何のパフも受けていないので死に戻りするものも大勢いたが、デスペナルティを受けてもセカンディルから戻ってきて攻撃をつづけているようだ。
泥の鎧は沼からすぐに補充されるが、それを削り返してまた攻撃するという地味な戦いを繰り返した。
触手になぎ払われたり、津波に押し流されたりしたりして地道に削り続けて2時間、ついに巨大アメフラシの息が尽きた。
歓声にわく沼荒野。レベルが2上がった。自分に配分されたドロップアイテムは2点。
・ギガントアプリシアの皮×3
・ギガントアプリシアの鉱石×3
「かわいい猫の杖が戻ってきました。いなくなるかと思った。」
にゃーと鳴いて煙と共に杖に戻ったかわいい猫の杖はヘックスの手元に戻った。
「スティール」
いつの間にか野次馬から抜け出した小柄な男がかわいい猫の杖を奪った。続いて矢がヘックスの足に3発突き刺さった。
「こいつはユニークアイテムだよなぁ!いただいていくぜ。」
小柄な男はセカンディルの方へ駆けだしていった。
ブギホビの人たちは慌てて追おうとするが野次馬の中から何人かが通せんぼする。
「長いこと戦闘ご苦労様。ドロップアイテムも置いて行ってもらおうか。」
「魔術師クランに親衛隊の生産職じゃないか。こいつは楽勝なキルになりそうだな。」
「掲示板見てたらよう。セカンディルで面白そうなことになってんじゃねーか。はるばるやってきたよ。」
「レッドネームが雁首そろえてセカンディルまでご苦労様。ここはうちのシマだ。好きにはさせん。」
「全員火あぶりにして埋葬してやるよ。」
初心者の野次馬たちが慌てた様子でセカンディルへと逃げていく。
その時セカンディルの門の前で大きな爆発音がした。
フシャー
猫の威嚇音と共にセカンディルの門がガラガラと崩壊した。
巨大な目と口が体のあちこちにある巨大な黒猫が小柄な男をくわえてペロリと丸のみにした。
どうやら防犯登録もなされているようだ。
「おっと。ユニークアイテムのゲットは無理そうだな。」
「まー街がどうなろうと関係ねー。さっさと全員キルして帰るぜ。」
ブスリ
ぼーっと眺めていた自分の喉笛に矢が突き刺さった。
暗くなる視界。
気づいたらセカンディルの宿屋のベッドにいた。デスペナルティをくらっている。
ドロップアイテムを確認するがPKにやられてロストしてしまったみたいだ。後でハイパー黒糖に埋め合わせを請求しよう。
さて、どうしたものか。門付近に戻ってかわいい猫の杖がどうなっているか見に行くか。はたまた疲れたから、もうファステイアまで戻って笛を作ってもらうか。
うん、少し悩んだけどかわいい猫の杖がどうなっているか見に行くとしよう。レアイベントみたいなもんだし野次馬しなければ損した気分になる。
宿屋から出て沼荒野につながる門の方へ向かう。
ユニークアイテムかー。elona民的には欲しかったんだよね。餌付けもしてるし、ワンチャンゲットできるかもしれない。
しかし、魔女通りのお婆さんが言っていた占いの通りというか。あたってる部分もあるな。災難と幸運がやってきた感じだ。
長い戦闘の間にハイパー黒糖から受け取った前金の10万マーニがあるので、ヒーリングポーションとマナポーションを10本づつ屋台で買って、後餌付け用の食べ物も買ってと。
緊急時の人の往来で騒がしくなっている大通りを抜けて元門へとたどり着いた。
そういえばデスペナルティ入ってるけど、能力値低下や恐怖耐性下がってるのは頭になかったな。まー猫に餌付けに来たようなもんだしなんとかなるだろ。はっはっは。
崩れた瓦礫の上にちょこんと座っている巨大な目玉と口だらけの黒猫がいる。周りの人を襲う様子もなく大人しいもんだ。
だが、3人のプレイヤーがこいつはヤバ目なモンスターだぜ退治せねばと覚悟した様子で武器を持って近づいていくようだ。
ここは野次馬に徹しておこう。近づいたら食われたらたまらないからな。
聖職者らしき格好をした女性がロッドを掲げて唱える。
「月光を湛えし聖なる雨よ。ホーリーレイン」
大盾を持った聖騎士が大盾と剣を打ち鳴らし言う。
「異端たる邪片を持ちし大猫。只人の領域にあってよい存在ではない。三神の裁きをその身に受けるがよい。」
フード付きのローブをまとったシャムシールを持つ痩身の男は何も言わず。黒猫の背後に回り込み毒々しい色をしたナイフを背後の目へと突き立てた。