男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた! 作:ネコ文屋
古代の曲を練習して数日後、なんとなく形にはなってきた。そこで、私は大精霊の祠へ行く前にしばらくの拠点を確保しようとファイヴァルに向かうことにした。
栄古斉衰の死火口湖がある死火山のファイヴァル側の中腹、重苦しい熱気が地面から漂い、わずかに冷たい風が吹いてもその熱を消し去ることはなかった。私は手にしたロングスタッフをしっかりと握りしめ、息を整えて進んでいた。火山の脈動は感じないが、かつてここで噴火を繰り返していた恐ろしさを今も大地が伝えてくる。足元には焦げた岩や溶岩の跡が見える。
そして、目前に広がる黒い煙の中、何かが揺らめくように動いた。それは、巨大な火山灰の塊から生まれた鬼のような存在だった。体はすべて灰で構成され、風に吹かれるたびに形を崩しながらも、すぐに元の姿を取り戻す。背丈は5メートルほどあり、燃え上がる赤い瞳が私を睨みつける。
「こいつが…エリアボス灰燼の鬼か」
私はロングスタッフを構え、すぐに体を低くした。鬼は言葉を発することはない。ただ、ゆっくりと私の方に歩み寄り、その巨体を揺らしながら、腕を高く振り上げた。地面を叩き割るようなその一撃を振り下ろしてくる。
「くっ!」
すぐに横へ飛び退き、杖を地面に突き刺して体勢を整える。鬼の拳が地面を砕き、溶岩の熱気がわずかに漏れ出す。私は素早く詠唱を始めた。
「大地よ、敵を縛りつけよ!ストーン·ハンマー·チェーン!」
地面が震え、鬼の足元に大きな石の鎖が浮かび上がり、その体を締めつけ始める。しかし、灰でできた鬼はすぐにその体を振り払うように動き、鎖を粉々に砕いた。
「効かないか…!」
私は距離を取りながら、冷静に次の魔法を唱える準備をした。魔術師としての力だけではなく、私の持つもう一つの力――盗賊としての素早い身のこなしを使って、この巨体に対抗しなければならない。
鬼が再び腕を振り上げ、私に向かって叩きつけてくる。今度は右に飛び跳ねて回避する。その動きの隙を狙い、私はロングスタッフを振り上げた。
「雷よ、轟きて敵を打ち倒せ!ライトニング·ボランス!」
雷の槍が空中に現れ、一直線に鬼の胸元に向かって飛んでいく。雷がその体を貫いたかのように見えたが、灰でできた鬼の体はただ一瞬だけ痺れたように見え、すぐに元に戻った。
「やはり、貫通攻撃は通じない…!」
私は再び杖を地面に突き刺し、次の魔法の詠唱に入った。
「冷気よ、敵を凍らせよ!アイス·ランス!」
冷気を纏った槍が生成され、鬼の足元に向かって飛んだ。冷気がその体に絡みつき、一部の灰が凍りついた。鬼はその足元で動きを止め、体が一瞬硬直したように見えた。
「今だ!」
その隙を逃さず、私は素早く杖を回転させ、杖術の技を使って鬼に接近する。ロングスタッフを両手でしっかりと握り、鬼の凍った部分に向かって一撃を叩き込んだ。
「はぁっ!」
杖が凍りついた灰に当たり、その一部が砕けて崩れ落ちた。だが、鬼はすぐに灰を再生させ、その体を元通りに戻す。
「まだ足りないか…!」
鬼は再び拳を振り上げ、私に向かって攻撃を仕掛けてくる。私は素早く《影走り》を発動し、瞬時にその拳の影から逃げ、鬼の背後に回り込んだ。すかさず杖を振りかざし、次の攻撃を仕掛ける。
「風よ、我が力を借り、敵を切り裂け!エアーエッジ!」
杖から放たれた鋭い風の刃が鬼の体に直撃し、灰が再び崩れ始めた。今度こそ、鬼の動きが鈍くなっている。
「よし、これで!」
私は距離を取って魔法の詠唱を続ける。
「火と雷、そして氷よ、融合せよ!ストーム·ロンド」
空中に魔力が集まり、炎と雷、そして冷気が一つに融合し、巨大なエネルギーが鬼に向かって放たれる。轟音と共に直撃した魔法が鬼の体を貫き、灰が爆発的に舞い上がった。
「これでどうだ!」
灰が風に舞い上がり、しばらく視界を覆った。しかし、鬼は完全には崩れ去らず、体の一部が再び固まり始めていた。再生能力はまだ健在だったが、その再生速度は明らかに遅くなっている。
「今がチャンスだ!」
私は再び杖を構え、接近戦に持ち込む。ロングスタッフを振り回し、鬼の体に連続で打撃を加える。杖の先端に魔力を集中させ、一撃一撃が灰を砕き、動きを止めさせる。
鬼が完全に再生する前に、私は最後の詠唱に入った。
「これで終わりにする…!比類なき雷鳴烈火よ。より集まりて破壊の球となれ、フレイム·ボルテッカー!」
私の手元に雷と炎の力が集まり、巨大な球体が形成された。それを鬼の中心に向かって放つと、雷が体を貫き、炎が灰を燃え尽くしていく。
鬼は完全に崩れ去り、その灰は地面に消えていった。30分にも及ぶ激闘の末、ついにその巨体を消し去ることに成功した。
「やっと…終わったか。」
私は杖を地面に突き刺し、しばらくその場で息を整えた。体力も魔力も限界に近かったが、この戦いでさらに成長したことを感じることができた。死火山の中腹での死闘を終え、私は次の目的地ファイヴァルへと足を進めた。