男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた!   作:ネコ文屋

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フンス


11_祝福はピアノの持ち運びに使うに限る!

 地の大精霊の祠での祝福を終えた数日後、サードレマに戻った私は、街の博物館で考古学者カルツァと再会した。彼の依頼で祠に向かったのだが、その成果を映像水晶に記録していた。今、その水晶をカルツァに手渡すために、私は博物館の一室に向かっていた。

 

 サードレマの博物館は、街の歴史や神代や古代の遺物が保管されている場所で、カルツァはその一室を使い、日々古代の謎を解き明かす研究に励んでいた。館内は静かで、展示品が所狭しと並べられている中、私はカルツァの研究室の扉を軽く叩いた。

 

「おお、君か。待っていたよ!」カルツァの穏やかな声が扉の向こうから聞こえ、彼は満面の笑みを浮かべて私を迎え入れた。研究室の中は、古代の書物や巻物が乱雑に積まれており、机の上には何かの発掘物と思しき石板が無造作に置かれている。

 

「祠での儀式は無事に終わったか?その様子を記録してくれたのだろう?」カルツァは興味津々で私に尋ねた。

 

 私は懐から映像水晶を取り出し、彼に手渡した。水晶は拳ほどの大きさで、淡い輝きを放ちながら、表面にかすかに浮かぶ模様が動いているのが見て取れる。

 

 カルツァは手慣れた様子で水晶を受け取り、机の上に置いた。「さっそく見てみよう。」彼は水晶に手をかざし、魔力を注ぎ込むと、目の前に立体的な映像が浮かび上がった。

 

 祠の荘厳な内部の様子が再現され、私がギターを弾き始めるところから映像は始まる。静寂の中、古代の旋律が響き、祭壇の上に大地の力が具現化していく様子が次第に鮮明になっていく。そして、最高潮に達した瞬間、地の大精霊の光の玉が現れ、私に祝福を授ける場面が映し出された。映像は鮮明で、祝福の瞬間の光が周囲を包み込む様子も克明に記録されていた。

 

「これは素晴らしい…」カルツァは感動した様子で映像を見つめていた。

 

「地の大精霊の祝福を受ける様子をこうして記録できるとは、我々考古学者にとっても大きな発見だ。地の精霊は確かに存在し、その力を現代に伝えていることが、この映像で証明される。」

 

 映像はやがて静かに消え、水晶は再び静かに机の上で淡い輝きを放っていた。カルツァは深く息をついて、私に向き直った。

 

「君は大精霊の祝福を受けたことで、特別な力を得たのだろう。具体的にはどのような力が宿ったのか?」

 

「今まで以上に重い物を扱えるようになりました。重量物を持ち上げることが、まるで自然の一部のように感じます。つまり…重い物でも、簡単に持ち運べるようになったんです。」

 

「ほう、それはすごい!」カルツァは目を輝かせた。「ならば、これまで不可能だった物も持ち歩けるということか?」

 

「はい、実際にインベントリにどれくらいの重さの物が入るか試してみたいと思っているんです。」私は思案しながら言葉を続けた。

 

「そしてそのために、今度は大きな楽器――アップライトピアノを買おうと思っています。普通は持ち運べないような大きさと重さですからね。」

 

 カルツァは驚いた様子で笑った。

 

「アップライトピアノか!確かにそれなら、祝福の効果を試すにはもってこいだな。」

 

 私は頷き、カルツァと短い会話を交わして博物館を後にした。

 

 

 

 

 

 

 次に向かうのは、サードレマにある楽器店だった。盗賊ギルドでピアノの情報を求めたところ、街の中心の貴族街に位置する楽器店『音のしらべ』は、楽器職人たちが集まる名店で、様々な楽器が揃っているとの話だった。

 

 楽器店『音のしらべ』に着いた私は、扉を開けて中に入った。店内には所狭しと楽器が並び、大小さまざまな楽器が壁や棚に飾られていた。弦楽器、管楽器、打楽器、どれも丁寧に手入れされているのが一目で分かる。店内にはかすかに楽器の調べが響いており、音楽の豊かさが店全体に漂っていた。

 

 カウンターの向こうにいた店主が、私に気づいて声をかけてきた。

 

「いらっしゃいませ。今日は何をお探しでしょうか?」

 

 私は躊躇なく答えた。

 

「アップライトピアノを探しています。できるだけ良い音が出るものが欲しいのですが、ありますか?」

 

 店主は少し驚いた様子で私を見たが、すぐに笑みを浮かべた。

 

「お客さん、アップライトピアノですか。それはまた大きな買い物ですね。でも、もちろんご用意できます。少々お待ちください。」

 

 彼は店の奥に消え、しばらくすると、他の店員たちと一緒にアップライトピアノを展示スペースに運び出してきた。それは木目が美しく輝く、クラシカルなデザインのピアノだった。高級感漂うその外見は、職人の手によって丁寧に作り上げられたものだとすぐに分かった。

 

「こちらが、お求めのアップライトピアノです。音色も申し分なく、扱いやすいモデルです。少し試してみますか?」

 

「ぜひお願いします。」

 

 店主はピアノの前に座り、優雅に鍵盤に手を乗せた。そして、柔らかなメロディが店内に響き渡った。音は深く、澄んでいて、どの音もまるで語りかけてくるかのようだった。私はその美しい音色に聞き入った。

 

「これなら間違いないな…」私はピアノの音に感動しながら心の中でつぶやいた。

 

 演奏が終わり、店主は立ち上がって私に微笑んだ。

 

「いかがですか?」

 

「素晴らしい音です。これをいただきたいのですが、実は普通に運ぶのは難しいので、直接インベントリに入れたいんです。」

 

 店主は再び驚いたように目を見開いた。

 

「インベントリに、アップライトピアノを入れるとおっしゃるのですか?」

 

「ええ、実は少し特殊な力を授かっていて、普通では考えられない重量物でも扱えるようになったんです。試しに、このピアノをインベントリに入れたいと思っています。」

 

 店主は一瞬戸惑ったが、すぐに理解した様子で頷いた。

 

「なるほど、どうぞお試しください。」

 

 私はピアノに手をかざし、魔力を集中させてインベントリを開いた。祝福を受けたことで、体内に宿る力がピアノに向かって流れ込むのを感じる。そして、アップライトピアノがゆっくりと淡い光に包まれ、そのまま私のインベントリに吸い込まれていった。

 

「成功した…!」

 

 インベントリの中には、確かにアップライトピアノが収まっていた。私は驚きと喜びを感じながら、店主に微笑んだ。

 

「ありがとうございます。これで無事、持ち帰ることができます。」

 

 店主も笑顔で応じた。

 

「まさかピアノをそんな風に持ち帰るお客さんがいるとは思いませんでしたよ。でも、気に入っていただけて何よりです。」

 

 私は店主に代金を支払い、無事にアップライトピアノを手に入れた。これで、地の大精霊の祝福を証明する一つの試みが成功した。これからも、この新たな力を活かし、さらなる冒険へと進む準備が整った。

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