男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた! 作:ネコ文屋
サードレマの街は、活気に満ち溢れていた。商人たちが賑やかに品物を売り、冒険者たちが次の依頼を探していた。そんな中、私は広場の片隅でピアノを弾いていた。石畳の道に面した場所に設置されたピアノの音色が、街の喧騒に溶け込んでいく。
人々が行き交う中で、私は静かに鍵盤に指を走らせた。今日演奏しているのは、静かなバラード。心地よいメロディが街の一部のように広がっていく。街の人々は立ち止まって耳を傾ける者もいれば、日常の中で音楽を背景にただ歩き続ける者もいた。私はそんな風景に囲まれながら、演奏に集中していた。
ピアノを弾いているとき、私はいつも不思議な感覚に包まれる。精霊の祝福を受けた後、この街で辻演奏をすることがさらに意味を持つようになった。演奏を通じて、自分の音楽が広がり、誰かに届いている感覚。それが力を得たことで、より強くなったのだ。
突然、目の前に一人の男が姿を現した。彼は整った身なりをしており、私が弾くピアノの前に立ち止まり、じっと聴き入っていた。その姿が気になったが、私は演奏を続けた。彼はしばらくの間、動かずに立っていた。
演奏を終え、鍵盤から手を離すと、男がゆっくりと私に近づいてきた。
「素晴らしい演奏ですね。あなたがここで弾いているのを聞いて、とても感銘を受けました。」
彼の声は落ち着いており、柔らかな物腰が印象的だった。私は微笑みながら答えた。「ありがとうございます。音楽はこうして街で自由に演奏できるからこそ、楽しみが増します。」
「そうですね、サードレマの街は活気があり、さまざまな才能が集まる場所です。実は、あなたに少しお話がありまして…」
私は彼の話に耳を傾けた。
「私はウオッチャー、『ライブラリ』というクランのメンバーです。情報収集と知識の保管、そして分析を得意とするクランです。実は、あなたのことを最近注目していました。」
「あの『ライブラリ』が私のことを?」私は驚きの表情を浮かべた。ライブラリといえば独自に、wikiやYoutube、ブログなどで、攻略情報や考察の情報発信をしていることで有名なクランだ。最近、他のプレイヤーがどうしているか気になって見始めていた。
「ええ、特にあなたが地の精霊から祝福を受けたという情報を得たこと。精霊の力を持つ人物は非常に稀で、その力と才能がどのように組み合わされるのか、私たちとしても非常に興味深い。さらに、あなたが持つ吟遊詩人のスキル――それもまた、私たちが研究対象として興味を持っている分野なんです。」
「精霊の祝福を…知っているんですね。」
彼は頷き、微笑んだ。「もちろんです。私たちライブラリは、特定の情報を収集し、その情報に基づいて調査や分析を行うクランです。あなたのような人物の存在は、私たちにとって非常に貴重なものです。そして、あなた自身も私たちに協力することで、より多くの知識と技術を得られるでしょう。」
彼の言葉は冷静で的確だった。彼が私に何を求めているのか、少しずつ理解できるようになってきた。
「吟遊詩人についても…検証を行いたいんですか?」私は少し警戒しながら尋ねた。
「ええ。吟遊詩人のスキルがどのように音楽と魔法を融合させるのか、私たちもそれをもっと深く理解したいのです。あなたの協力があれば、私たちはその謎を解明し、さらなる力を引き出す方法を見つけられるかもしれません。もちろん、あなたにとっても多くのメリットがあるでしょう。」
彼は一呼吸置いてから続けた。「私たちは強力なサポート体制を持っています。知識の共有や冒険の手助けはもちろん、あなたが今後どのような道を進むにしても、私たちのクランの一員であれば、安心して挑戦できるはずです。大手クランとしてのリソースを活用すれば、あなたの才能はさらに開花することでしょう。」
彼の言葉に、私は少し心を揺さぶられた。大手クランに所属することで得られる安心感やサポートは確かに魅力的だった。さらに、精霊の祝福や吟遊詩人のスキルを研究することで、自分の力をさらに磨くことができるかもしれない。しかし、クランに入るということは、自由な冒険生活に少し制約が加わる可能性もある。それが一番の懸念だった。
「少し迷いますね…確かにメリットは大きいですが、私は自由な冒険を求めて旅を続けています。クランに入ることで、何か縛られてしまうのではないかという不安もあります。」
彼は私の懸念にすぐに応じた。「その点もご安心ください。ライブラリは情報と知識の共有が主な目的です。私たちは冒険者の自由を尊重しつつ、必要なときに協力し合う体制を整えています。強制的な活動はありませんし、あなたが望むときにクランのサポートを受けることができるのです。」
「強制的ではない…か。」
彼の説明を聞いて、私は少し安心した。クランに所属しながらも、自分の冒険を続けることができるなら、そこまでの負担にはならないだろう。むしろ、ライブラリのリソースや知識を利用できることで、私の冒険がさらに充実するかもしれない。
だが、やはり検証に無償で付き合うのもなんか違う気がする。クランに入るのもしがらみが増えそうで嫌なところがある。
「クラン外メンバーという形で、または、取引先ということではどうでしょうか。重要な情報はライブラリに売りましょう。検証は拒否することもできる形でマーニでやり取りしましょう。その代わりに情報収集やサポートを有料でお願いするという形にしたいと思います。」
「それでも構いませんよ。個人、クラン問わずにライブラリと取引することは通常のことですので。」
ウオッチャーをフレンド登録したあと、現在分かっている吟遊詩人、その他の職業についての情報について取引した。
盗賊から隠し職業、忍者を派生させることができると聞き、ニンジャ愛好家の私は喜んだ。忍者度という隠しパラメータがあるそうで、それを高めると盗賊ギルドに忍者に転職してくれる特殊NPCが現れるそうだ。投げナイフを『コブシ·ニンジャクラン』の店で忍者グッズを買い求めて使うようにしよう。
吟遊詩人については、現在『ライブラリ』で分かっている有用そうな曲や歌を100万マーニで情報収集して渡してもらうことになった。古代の曲については、カルツァからもらった楽譜の写しをスクショしてもらう形で、70万マーニで売った。カルツァの研究成果を勝手に売っぱらったことになったが、まあいいだろう。
祝福の検証については、地のエレメントに関する魔法が強化されているか、検証を後日行うことになった。ここは気になるところではある。
「これは先の話かもしれませんが、『ライブラリ』は大きなヤマを追っていて、もしかしたらあなたに検証を依頼するかもしれません。その時はよろしくお願いします。」と彼はそう言って去っていった。
思わせぶりなことを言うなと思いつつ、恐らくシャンフロのエンドコンテンツ、ユニークモンスターのことなんだろうなと直感した。ウェザエモンやクターニッドが倒されたことで、ワールドクエストが進んだとかは実際のアナウンスでは聞いてないものの掲示板や『ライブラリ』のwikiで少し知っていた。
ユニークモンスターはクソ強いとの噂だが、自分に倒したり、手伝いすることはできるだろうか。いや、まだそうと決まったわけでもないしな。
気にするだけ無駄だな。酒場にでも行こう。
ライブラリには付かず離れずという関係に書き直しました。