男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた! 作:ネコ文屋
5685文字
船団が宙を裂き静かに進む。輝く水の惑星へと迫り消えていく。
『遥かな太古、神代と呼ばれる時代があった。』
繁栄を謳歌する機械都市。強固な防壁と武装。意思ある人形たち。森羅万象を操り、生命をも生み出す絡繰り。
『偉大なる神人達は後世に命を紡ぎ、その姿を消した。』
幻影は砂とかし、荒廃しきった大地となった。
『時は流れ、神人の遺志継ぐ我々は彼らが願ったように地に広がり、そして大いなる命の流れを紡いでいく……』
鬱蒼とした森林。荒涼とした谷。灼熱の火山。吹雪に覆われた平野。移ろう青色の海。空を飛行するように映される様々な都市。
『今を生きる我々は、歴史と遺跡の中に息づく過去の遺産から神人達の痕跡をたどることしかできない。』
黒く厳かな闇が視界を降りていく。
『シャングリラ・フロンティア』
七色に揺らめく光が中空に浮かび上がる。
『チュートリアルを開始します。』
チュートリアルか...初めてのVRゲームだからやってみるか。そのまま待ってみよう。
明るくなった。だだっ広い白い空間にいる。
どこかから音が聞こえる。周りを見渡すと目の前に羽がついた青色の光球がいた。
『やあ、ガイド妖精のナビンだよ!』
「おりゃあ!」
思わず殴ってしまった。う...なんだか頭が痛い。
『ひどいじゃないか、何も悪いことはしていないのに。』
ふらついている。よく見たら心なしか緑がかった青色だな。何故だろう腹が立ってきた。
「悪かったな。はよ、ガイドしてくれ。」
『ヤレヤレだよ。全く野蛮人は!ぷんぷん!まず、メニューを開いてみよう!メニュー開けって念じてみて!メニュー開けって!』
【メニュー開けって念じてみよう。】
青色の光の文字がナビンから離れて空中に浮かぶ。
メニュー、メニュー...
ぱっと空中に青色のパネルのメニュー画面が浮かぶ。
【おめでとう!メニューが開けたね!】
『今メニューを開いたのは頭の中でイメージしたからだよ!イメージすることでいろいろ操作できるから覚えといてね!』
へー、考えるだけで操作ができるんだ。普通にメニュー閉じろって考えても閉じないけど、メニュー閉じろって念じると...閉じる!不思議な感覚だ。
『あー!なんで閉じるのさ!今からメニュー画面のガイドをするのに。』
あ”?...いかんいかん。メニューを再び開く。
『ヤレヤレだよ。次は、メニュー画面を見ていこう!』
【メニュー画面を見てボタンを一つ一つ開いてみて!】
青色のパネルにいくつものボタンが表示されているな...えーっと、装備・ステータス、スキル・魔法、インベントリ、フレンド、ツール、設定、お知らせ、ヘルプか。とりあえず装備・ステータスを押してみる。
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PN:ギター熊
LV:0
JOB:無し
0マーニ
HP(体力):5/5
MP(魔力):5/5
STM (スタミナ):5/5
STR(筋力):0
DEX(器用):0
AGI(敏捷):0
TEC(技量):0
VIT(耐久力):0
LUC(幸運):0
スキル
無し
魔法
無し
装備
右手:無し
左手:無し
頭:無し
胴:無し
腰:無し
足:無し
アクセサリー:無し
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「な、なにもないじゃないか!」
そう言えば、おかしいと思ったのだが、キャラクリの時と同じく黒色のウェアを着ているだけであった。髪も...フサフサになっていない?!ステータスも低すぎる!というか0...
『ははっ。そりゃまだ、ゲーム開始前だからね!』
【PNはプレイヤーの名前だよ!
LVはレベルだよ!レベルを上げるには経験値を貯める必要があるよ。モンスターを倒したり道具を作ったりすると経験値を得ることができるよ。今は0Lvだよ。1レベルアップでステータスポイントが5ポイント貯まるよ!
0マーニはお金がないってことだね。お金を持っているとちゃんと表示されるよ!
JOBとステータスは説明不要だね!現在のJobやステータスの状態が表示されるよ。
スキルと魔法は習得していたら表示されるよ!習得のタイミングはレベルアップ時だよ。
装備も装備していたら表示されるよ!】
『さて、装備のチュートリアルを始めるよ!それっ!』
ナビンが大きく上下にゆれ、光の粒子が床の上に落ちる。そして、輝いた。
穴があいたボロボロの布きれの服が床の上にあった。
『さあ、装備してみよう!』
【布の服を手に持って、装備したいと念じてみよう!】
あ”あ”?ふぅー...いかんいかん。所詮チュートリアル、所詮チュートリアルだ。
手にとって、装備したいと念じる。すると一瞬ボロボロの布切れが光ったと思うと...
穴があいて糸がほつれているところどころ土で汚れている服を身にまとっていた。ダメージものだと思えば...なんとか許...せる?
【おめでとう!装備できたね!】
『ステータスの装備の部分を見てみよう!服が追加されているはずだよ!』
ステータスを見るとボロ布の服が追加されていた。
『さあ、次に行こう!』
メニュー画面に戻り魔法・スキルを押す。
『ブー!今は魔法・スキルがないので使えません!』
【スキル・魔法だよ!スキルや魔法の手動使用やパッシブスキルのオンオフができるよ!】
「...次に行こうか。」
インベントリのボタンを押す。
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何もアイテムがありません。
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『さて、インベントリのチュートリアルを始めるよ!それっ。』
チャリン
硬貨が床に落ちた。
【拾ってみて、インベントリに入れって念じてみよう!】
はいはい...拾って、念じてみる。
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1マーニ硬貨
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『次は、インベントリから硬貨を出すって念じてみよう!』
念じると手のひらに硬貨がのっていた。
【おめでとう!インベントリへのアイテムの出し入れができたね!ちなみに手動でもできるよ!今度は硬貨ではなく、お金を手に入れると意識して念じてみて!】
ほい...手のひらからお金が消えた。
『さっきステータスで0マーニと表示されていたところが変わっているはずだよ!』
確かに1マーニになっている。
【さっきのインベントリでは、アイテムとして認識されていたけど、今のはお金として認識されているよ!
普段はお金として持ちあるこう!インベントリに入れているアイテムが重すぎると、体が重くなってしまうよ!お金を取り出すって意識すれば硬貨が取り出せるよ!】
『次に行こう!』
フレンドのボタンを押す。
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【登録申請】【郵便】【緊急召還】【解消】
現在のフレンドは0人です。
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『フレンドのチュートリアルを始めるよ!ほいっ』
ナビンの頭上にナビンという文字が浮かび上がった。
『フレンド登録はプレイヤーとするものだよ!今回は僕の属性を一時的にプレイヤーに付け替えたよ!』
【フレンド登録をしてみよう!登録申請を僕に送って!】
登録申請を押すと...
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ナビンにフレンド申請を送りますか?
「よろしく!フレンドになってください。」
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【はい/いいえ】
ポチッとな。はいを選ぶ。
【ナビンさんにフレンド申請が拒否されました。】
ピキピキ...
『フレンド登録は相手に送っただけではできないよ!相手が了承しないとフレンドになれないんだ!今度はこっちから送るね!』
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ナビンさんからフレンド申請が来ました。「よろしく!僕とフレンドになろう!」
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【はい/いいえ】
迷わずいいえを押す。
『ぐっ!なんで拒否するのさ。もう一回送るよ!今度ははいを押してね!』
しょうがねえな...
【おめでとう!ナビンとフレンドになったよ!】
「ちっ」
【フレンドになると郵便が送れるよ!郵便は鳥さんたちが運んでくれるけど、届かないこともあるよ!
緊急召還はレッドネームのプレイヤーに襲われているときにフレンドに助けを求めることができる機能だよ!召還されたフレンドはデスペナルティの心配をしないでプレイヤーキラーと戦えるよ!プレイヤーキラーがいなくなるかキルされてしまったら元の場所に戻るよ!
解消はフレンドになったプレイヤーとの関係を無くすことができるよ!気に入らない奴はさっさとフレンドリストから消せばいいよ!】
フレンドリストにナビンが追加された。選択して解消ボタンを押す。確認画面がポップアップされたがはいを選ぶ。
『あ”あ”?今、フレンドから解消した?もう!次いくよっ!』
ツールを選ぶ。
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【メモ帳】
【スクリーンショット】
【掲示板】
【お問い合わせ】
【通報】
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【メモ帳はメモができるよ!
スクリーンショットは起動するとパネルに写る画面を保存できるよ!アイテムを使って情報を紙に書き出せば、さっきの郵便に添付することもできるよ!ちなみに、カメラや録画は特殊なアイテムを使う必要があるよ!あくまでこのパネル内のスクリーンショットだから注意してね!
掲示板はゲーム内のプレイヤー間で情報交換ができるよ!安全な拠点でしか使えないよ!
お問い合わせはゲームプレイ中に不具合やバグを発見したり、疑問に思ったことがあったりしたら運営に直接問い合わせできるよ!
通報はゲームでセクハラやプレイヤーキラーに粘着されるなどの被害にあった時に、運営に通報ができるよ!少しでも、これおかしいと思ったらすぐに通報するんだよ!】
『次っ!』
設定を開く。
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【プロフィール設定】
【接触設定】
【パネル設定】
【音量設定】
【アプリ連携】
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【プロフィール設定は、プロフィールに関する設定ができるよ!フレンドリストに表示されているフレンドをクリックすると、フレンドのプロフィールが見えるよ!魅力的なプロフィールを作ろうね!
接触設定は他の人との接触に関する設定ができるよ!異性との接触に抵抗がある人は接触禁止をオンにしておこう!
音量設定はシステム音に関する設定だよ!レベルアップ時の音やアナウンスの音量を調節できるよ!ゲーム内の自然音や人の声の音量は下げることのみできるから注意してね!
アプリ連携は外部端末にインストールされているアプリとの連携の設定だよ!アプリを通して動画配信やSNSへの投稿、外部Webページとの連携がリアルタイムでできるよ!詳しくは公式ホームページを見てね!】
『次!お知らせはアップデート情報やイベント開催の通知だよ!ヘルプは今までのが説明されてるよっ!』
「終わったか、やれやれ。」
『待って、待って!戦闘のチュートリアルをはじめるよ!えいっ』
ナビンからふわふわと青色の泡のような光が漂って俺の体に当たった。
『特別にチュートリアル専用のスキルを用意したよ!もう一回スキル・魔法のボタンを押してみて!』
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【へろへろパンチ】
かなりのへっぴり腰が繰り出すパンチ。軌道がへろへろしていて、当たってもダメージは期待できない。
【へろへろキック】
かなりのへっぴり腰が繰り出すキック。軌道がへろへろしていて、当たってもダメージは期待できない。
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上等だコラ!
スキルなしのパンチをナビンに向けて放つ。ナビンが拳に当たり吹っ飛ぶ。
『うわっ!いきなり何するんだよ!もー怒ったぞ!』
青色の光が地面へと降りかかり、落ちた先の地面が青白く輝く。
モゾモゾ
『いけっ』
地面から青白く光り輝く犬の形をした何かが飛びかかってきた!
「うおっ!」
とっさの出来事だったが、なんとか避けられた...
『それを倒したら相手してあげるよ!』
ナビンがふわふわと手の届かないところに離れていく!
犬が切り返して飛びかかってくる。
くそったれ!
腰を回転させて空中に飛び上がろうとしている犬の首を右足で刈りにいく。
バシッザザザザ
犬が横滑りで頭を地面と擦り合わせながら飛んでいく。しばらくしてバウンドして止まると青い光に戻り消えていった。
『ファッ?!もう倒しちゃったの!まあ、弱めのものにしといたけど。』
ナビンの体から青い光がでて空中に文字が書かれる。
【モンスター以外のプレイヤーやNPCをキルすると、頭上のネームタグが赤くなるよ!そうなったプレイヤーはレッドネームと呼ばれるよ!レッドネームになると街のNPCからの評価が最悪になるほか、指名手配されて、衛兵が切りかかってきたり、賞金狩人に襲われたりするよ!特に街中でのPKはご法度だからね!】
『くくく!あれは、ちびナビンというNPCだったのだ!さーて、楽しくなってきたぞ!』
ナビンが光り輝く...
『
一瞬、視界が白く染まった。体が...おもい?
『あひゃひゃひゃ!罪の重さを感じているかい!倒したのは僕の分身だけどね!こっちからいくよっ!』
ナビンの周りに光の粒が回転し始めたかと思うと、次第に伸び、高速回転する光り輝く棘の環が横方向に形成された。
『それっそれっ』
透明な二対の羽でふわふわと迫ってくる。足が重たい!
「のわっ!」
体をのけぞらせて、後ろ手を地面につく。
『ちえ~っ!避けられた!ちょっと本気出すよ!』
ナビンの体が環とともに赤色へと変化した。
『えいやっ!
ふわふわ移動するナビンの周りを回転する赤の環から矢が射出された。
「うおっ!」
地面を手と足で押して体勢を変えて、辛うじて避ける。ナビンは高笑いを上げながら、手の届かない空中を漂い続けざまに棘を飛ばしてくる。
くそっ1発当たった!
『あと、一発で終わりだよ!思ったより弱かったね!もうちょっと体力つけた方がいいんじゃない?張り合いないなぁ、じゃ~ね~!』
目の前に迫る赤く光り輝く棘はマシンガンの銃弾のごとく足が鈍りうごけない俺の身体を貫通して後ろへと抜けていく。
『戦闘で死亡するとリスポーン地点に送られるよ!初期リスポーン地点のままだと、ペナルティが重くなるから早めに更新してね!今回はチュートリアルだからペナルティはないよ!よかったね!またねー!』
【おめでとう!すべてのチュートリアルが終了したよ!】
視界が暗くなった...
『ばいば~い!』
Tips.チュートリアル
ゲーム開始後にチュートリアルは存在しない。初心者向け依頼や講習はあっても、チュートリアルおじさんはいない。ガイド妖精は殴れるなら殴り倒したい。緑色は邪悪。