男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた! 作:ネコ文屋
「ギター熊、ハル型-238。あなたたちの来訪を歓迎します。当艦、リヴァイアサンの管理AIの勇魚です。お見知りおきを。」
ハルぽんと一緒にリヴァイアサンのホールに足を踏みいれると、空中にデフォルメされたミニサイズの白衣の女性(眼鏡付き)が現れ、私たちに話しかけてきた。
「リヴァイアサンの内部には、かつて人々が暮らし、学び、そして楽しんだ多くの施設が保存されています。自然環境の再現や、文化活動のための設備も数多く備えられており、皆さまが安全かつ円滑に内部を探索できるよう、お手伝いいたします。」
「なるほど。じゃあ…音響機材なんかも揃ってるのか?フェス、野外音楽祭を開きたくて探しているんだ。」
私が少し身を乗り出して尋ねると、勇魚はパッと目を輝かせて、小さな手を打ち合わせた。
「ええ、その通りです。こちらにはステージの設備や照明設備、それに音響機材も一通り完備されています。」
小さな指で宙にいくつかのパネルを表示させながら、勇魚は説明を続ける。
「特に音響機材は、コンサートホールにも野外にも対応できるよう設計されていますので、フェスの開催にも十分対応可能ですよ。また、マギデバイスを組み込んでいるため電力供給は必要ありません。ただし、第三殻層にて当艦のみで使える通貨、スコアで購入していただく必要があります。スコアは艦内のエネミーを倒す事により獲得できます。」
勇魚の言葉に、期待が一層膨らんでいくのを感じた。
そんな訳で第一殻層の攻略に乗り出したのだが、実はある程度、リアルで情報収集していて、その上で改めてライブラリ発行の現状版の『リヴァイアサン・ガイドブック』を買って乗り込んでいる。
勇魚は私が手にしたその攻略本を見て、またかとつまらなそうな顔をして少しジト目になった。
第一殻層はゴーレムが出るのだが、レベル30が適正レベルで余裕で倒せる。ボスを探すのが面倒なだけだ。
さて、私はギターを構えて、第一殻層のボス、改修型拠点製造式ゴーレム『デベロッパー』の周囲に散らばるゴーレム『テクノマギジェルス』を見つめ、リズムを刻み始めた。リヴァイアサン内部に響く旋律が、次第にハルぽんの動きを活性化させ、彼女の攻撃にリズムを与えていく。音の波が空気を伝わり、ハルぽんの周りに魔力のエネルギーが集まり始める。
「響け、調和の旋律。風のリズムとなり、我が仲間に力を与えよ…『加速の音律(アレグロ)』!」
私の詠唱とともに、ハルぽんの体がさらに軽くなったかのように動きが鋭さを増す。彼女の装備、マナを電撃に変換して出力する電撃剣、エレクトロ・チャネリングソードを手に、デベロッパーの周りを駆け巡りながら、青白い電光を纏った刃を何度も敵に打ち込む。テクノマギジェルスが飛来するたびに、私は一瞬の隙を見つけて旋律を続ける。
「雷光の脈動よ、我が音と共に放たれ、敵を惑わし混乱に落とせ…『幻影の雷霆(ライトニング・ミラージュ)』!」
ギターの弦を強く弾き、詠唱が終わると同時に、空中に雷光が走り、ハルぽんの周りにいくつもの幻影が現れる。デベロッパーが戸惑いながら攻撃の手を緩めた隙を突き、ハルぽんが一気に間合いを詰める。彼女の電撃剣が閃き、デベロッパーの装甲に一撃、また一撃と打ち込まれていく。
「ハルぽん、今だ!」
私がギターを鳴らし、力強いリフを奏でるたびに、ハルぽんはまるで音楽に合わせているかのように動き始める。デベロッパーが周囲のブロックを飛ばしてくるが、私は魔力を込めた一音でその進行を狂わせ、ブロックの動きを鈍らせることでハルぽんの突撃を援護した。
デベロッパーが私たちの攻撃に怯むその隙をついて、私はさらに高い音の旋律を響かせることで、ハルぽんの攻撃力をさらに引き上げる。私たちは音楽と動きで一つのリズムを作り上げ、戦場に響き渡る音楽がまるで私たちの動きに命を吹き込んでいるかのようだった。
最後の一撃を決めるため、私は力強いフレーズを弾き、ハルぽんに力を送り込む。彼女が「これで終わりだ!」と叫び、電光を纏った剣をデベロッパーのコアに突き刺すと、音楽のエネルギーがデベロッパーの体内に流れ込む。デベロッパーが断末魔のような轟音を上げ、ついに崩れ落ちた。
「ハルぽん、ナイスだ!」
「やったなの。当機頑張ったなの! あなたも支援ありがとう!」
ハルぽんと私はハイタッチをして健闘を称え合った。
「第一殻層『迎門』突破おめでとうございます!報酬はギター熊が持ってるその本に書いてある通りです。はぁ、よっぽど早く音響機材が欲しいのですね。よいでしょう。第二殻層『教道』へと転送します。指向性重力加速転送、起動。それでは第二殻層へ……アセンション・プリーズ。」
勇魚がそう言うと、身体が宙に浮かんでものすごく高くまで浮かび、天井まで到達すると一部が開き始め、次の殻層へとそのまま移動した。