男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた!   作:ネコ文屋

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サソサソ


13_グランド・マナ・スプライト討伐作戦

 スカルアヅチのスタジオに、バンドメンバーとステラ・プリズムのメンバーが集まっていた。壁には地図と、砂漠の巨大樹周辺の異常を示すマーカーが貼られている。

 

 フリューレが端末を操作しながら、冷静な口調で説明を始めた。

 

「目標は砂漠地帯にそびえる巨大樹。その中心部に巣食う《グランド・マナ・スプライト》の討伐と、コアの回収が目的。」

 

 彼女が表示したホログラムには、霧のようなマナを纏った電子妖精の姿が映し出される。

 

「マナスプライトは元々、大気中のマナを循環させる役割を持つように神代に設計された情報生命体だが、グランドクラスになると制御が効かなくなり、周囲にマナ災害を引き起こす。」

 

 彼女の言葉に、サイバーファングが興味深げに頷いた。

 

「ってことは、放っておくとヤバいってことだな。」

 

 フリューレは一瞬視線をサイバーファングに向けた後、端末の映像を切り替えた。

 

「その通り。すでに巨大樹の周辺ではマナ濃度の異常上昇が確認されている。影響範囲が拡大すれば、砂漠一帯が魔力暴走の危険地帯になる可能性もある。」

 

 会議室の空気が一気に張り詰める。

 

 私は腕を組みながら、フリューレの説明を整理する。

 

「なるほどな。でも、征服人形の任務としては“危険物処理”だろ? だったら、俺たちに声をかける必要はなかったんじゃないのか?」

 

 すると、ハルぽんが口を挟んだ。

 

「あなた、何か楽しいことが起こる予感がするのに、乗らないの?」

 

 フリューレは小さくため息をつくと、端末を閉じて私を真っ直ぐに見つめる。

 

「征服人形だけで処理することも可能だった。しかし、この個体は非常に高い魔力密度を持ち、通常の戦術では無力化が難しいと判断した。そこで、君たちの“音楽を通じた魔法”の力を借りたい。」

 

 彼女の言葉に、私は少し驚く。幻奏術士としての能力が、ここで活きるというわけか。

 

 サイバーファングが腕を組んで言う。

 

「俺たちの演奏で、敵の動きを封じられるかもしれないってことか?」

 

「その可能性は十分ある。」

 

 フリューレは頷いた。

 

「また、報酬として討伐成功後、グランド・マナ・スプライトのコアから抽出したマナ結晶を提供する。」

 

「なるほど。報酬としても悪くないな。」

 

 私はフリューレの提案を吟味しつつ、メンバーの顔を見渡した。

 

 アイアンティーポットは静かにスティックを回しながら、落ち着いた声で言う。

 

「面白そうな戦いになりそうだ。」

 

 シエラが微笑みながら付け加える。

 

「戦いの後には、また一つ特別な音楽が生まれそうね。」

 

 フリューレは一同を見渡し、短く言った。

 

「では、決定だな。」

 

 こうして、バンドメンバーとステラ・プリズムによる《グランド・マナ・スプライト討伐作戦》が正式に始動した。

 

 

 スカルアヅチの倉庫前、陽射しの下で、私たちは討伐に向けた準備を進めていた。

 

「砂漠か…。ただでさえ過酷な環境だってのに、マナ災害の影響でさらに危険になってるんだろ?」

 

 サイバーファングが腕を組みながら、補給物資の入ったコンテナを見下ろす。

 

「その通りだ。」

 

 フリューレが頷きながら端末を操作し、砂漠地帯のマナ濃度の分布データを示した。

 

「グランド・マナ・スプライトの影響で、砂漠一帯のマナ濃度が異常に高くなっている。魔法が暴走するリスクがある上、自然界の魔物も活性化している可能性がある。」

 

「つまり、魔法を多用すると逆に危険ってことか?」

 

 アイアンティーポットが慎重な声で確認する。

 

「そういうことだ。とはいえ、音楽魔法の影響については未確認だ。慎重に使う必要はあるが、場合によっては戦況を有利にできるかもしれない。」

 

 私たちは討伐の成功率を上げるため、持ち込む装備を調整した。

 

 

「問題ないようなら出発するぞ。」

 

 フリューレが全員の準備を確認し、一同は砂漠へと向かうことになった。

 

 

 

 

 

 強烈な日差しが大地を焼き、空気が揺らめいて見える。足元は細かい砂に覆われ、歩くたびに靴が埋まる感触が伝わってくる。

 

「いやー、砂漠ってこんなに暑いのか…。」

 

サイバーファングが汗を拭いながら呻く。

 

「日差しが強いだけでなく、砂に足を取られるのが厄介だね。」

 

 ハルぽんも手を額にかざしながら呟く。

 

 

 

 進んでいくうちに、周囲のマナ濃度が徐々に上がっているのを感じた。

 

「おい、前方に何かいるぞ!」

 

 アイアンティーポットが鋭く指さした先には、砂の中から現れた巨大な蠍型の魔物がいた。

 

《デザート・スコーピオン》

 

 全長5メートル以上はあるそれは、鋭い爪と毒針を備え、獲物を狙う目でこちらを睨んでいる。

 

「こいつは厄介だな…。」

 

 私はギターを握りしめ、魔法を使うべきか考えたが、マナ災害の影響を考えれば軽率に使うわけにはいかない。

 

「ここは物理で叩く!」

 

 サイバーファングがベース型エネルギー武器を構え、地面を踏み鳴らしてリズムを取る。

 

「リズムを感じろ、ベースの鼓動で叩き潰す!」

 

 

 サイバーファングが地面を強く踏むと、低音の振動が砂に響き、デザート・スコーピオンの動きが鈍る。

 

「いいね! じゃあ、当機もいくよ!」

 

 ハルぽんがマイクを構え、テンポの速い戦闘曲を口ずさむ。

 

「熱砂の風に乗せて、今、戦いの旋律を響かせる!」

 

 音楽に合わせて、アイアンティーポットがドラムスティックを構え、スコーピオンの爪を的確に打ち落とす。

 

 私は短剣を抜き、素早く敵の側面へ回り込む。

 

「クナイ、行くぞ!」

 

 爆殺符付きのクナイを投げ、スコーピオンの硬い外殻を狙い、爆発の衝撃で動きを止める。

 

「今だ!」

 

 サイバーファングが低音の一撃を放ち、スコーピオンの甲殻に亀裂が走る。最後にフリューレが一閃し、鋭いレイピアの一撃がとどめを刺した。

 

 砂漠の静寂が戻り、全員が安堵の息をつく。

 

 

 

 

 

 数度の戦闘を終えて、ついに目的地の巨大樹が視界に入った。

 

「すげえな…砂漠にこんなでかい木があるのか。」

 

 サイバーファングが驚いた声を漏らす。

 

「グランド・マナ・スプライトの巣だ。もうすぐ戦闘が始まるぞ。」

 

 フリューレが鋭い目つきで木を見上げる。

 

「じゃあ、一息ついてから本番といこうか。」

 

 私はギターを肩に担ぎ直し、次の戦いに備えた。

 

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