男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた! 作:ネコ文屋
ブベラ
気がついたら、建物の横に立っていた。
あ”い”つ”う”う”う”う””
ドンッ
壁に拳を打ちつける。
ふうふう...落ち着け落ち着け...よし...よくあることよくあること...周りを落ち着いて見渡す。
隣の建物は教会だな...
「ふぅ...家無し子は孤児院スタートということなのか。」
壁にもたれかかってしばらく休む。
だいぶ...落ち着いてきた...
手には本と短い杖。衣服は布のローブと靴。
ステータスを確認しよう。
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PN:ギター熊
LV:1
JOB:魔術師
3,000マーニ
HP(体力):12/12
MP(魔力):30/30
STM (スタミナ):20/20
STR(筋力):10
DEX(器用):20
AGI(敏捷):20
TEC(技量):10
VIT(耐久力):10(15)
LUC(幸運):2
スキル
無し
魔法
【ファイアーボール】
【ヒートハンド】
装備
右手:若木の短杖
左手:基本魔術教本
頭:無し
胴:布のローブ
腰:布の帯
足:布の靴
アクセサリー:無し
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良かった...ステータスは普通だ...
魔法が2個使えるようだ。ファイヤーボールは火の玉を打ち出す魔法で、ヒートハンドは手が暖かくなる魔法らしい。2つ目いるか?しかし、戦ってみないと実際にどんなものかは分からない。とりあえず両手に持っているものをインベントリにしまう。
教会に入ってみる。石造りでそこそこ立派な建物だ。暗めの青色の屋根でなかなか綺麗だ。地下でワインでも作ってそうな雰囲気だ。
中に入ると長椅子がそこそこの数並べられている。あまり人気はない。ちょっと暗めで洞穴チックだなぁ。沢山のろうそくに火がともっている。ステンドグラスではない普通のガラスだ。2階にパイプオルガンらしきものが見えるな...。あれ、触れないかな?
おっと背後から気配が。
振り向けば、30代後半くらいの修道服に身をつつんだ男がいる。
「おや、どうなされましたかな?」
「失礼、オルガンを初めて見たものでみとれておりました。初めまして。ギター熊です。」
相手に右手を差し出すと、彼も右手を差し出してくれた。
「はじめまして。ギター熊どの、私はここの修道士を務めているミシェルです。ここは初めてですかな。」
「はい、今初めて来たところです。開拓者というのはご存知ですか?」
「ええ、三神が使わしてくれた人々ですね。我々は新しい友を歓迎します。神々の御心のままに。もっとも、開拓者の方はあまり信仰に関心がないようですが...」
ミシェルは寂しそうに微笑んでいる。
「それはすまんね。祈っておこう。何かご利益はあるかい?」
「神々はいつもあなたの行いを見ておられます。」
フレーバーのような気もするが、祈っておこう。神よ!見ているなら欲しいものが3つあります。その1、楽器。その2、髪。現実の方でも。たのみまっせ。その3、ナビンというガイド妖精を殴る機会をもう一度ください。
適当なことを考えながら、3分間くらい祈っておいた。パイプオルガンのことはそのうち切り出そう。
「また来ます。」
「お待ちしております。」
ミシェルはにっこりと微笑んで見送ってくれた。
気持ちよく去ろうとすると後ろから声がかかる。
「ああ、そうだ。初めてこられたなら、職業訓練所によるとよろしいでしょう。大通りを行けばすぐにつきますよ。」
通りに出てしばらく歩くと大通りにさしかかった。さっきの通りもそれなりに人はいたが、この通りはなんというか人でごみごみしている印象だ。ミシェルから受けた案内にしたがって、通りを進むと石畳の大きな広場に出た。古めの建物が立ち並び、広場の中央には像が立っている。屋台が立ち並んでいる。少し寂しく、あえて言えば日本の駅前でやったりする夏祭り感がある。町が平常に動いている中でそこだけ少し違和感がある立ち位置というか。非日常と日常が隣合っているあの微妙な感じだ。
その広場に面したところに大きめの石造りの建物があり、そこが職業訓練所だ。新人開拓者はここで説明を受けろということらしい。
職業訓練所の中に入ると、それなりに人が集まっている。運よく説明が開始される10分くらい前に受付をすることができた。ぱっと見60人くらいいるかな。
禿頭のオッサンが出てきた。髭がダンディな感じだ。
『クエスト:初めてのハローワークが開始されます。』
「えー、皆様方。まずはようこそ、ファステイアへ。少し聞き苦しいとは思いますが地声で頑張りますので。いつもは若手の職員が説明をするのですが今日はちょっと休暇を取られてしまって。ははは。聞き苦しいところがあるかもしれませんがご堪忍ください。」
禿おっさんは頭をなでた。
「まず、皆さん職業訓練所とは何かということなんですが、新人開拓者の皆様を支援する施設でございますね。」
また、頭をなでた。緊張すると頭をなでるクセがあるのかな。
「主に新人開拓者としての基礎知識、基礎技能習得の支援の他、本建物内の図書庫の閲覧、そして、これが一番重要なんですが職業ギルドへの紹介状の発行を担当しています。」
一息ついたようで、落ち着いてきたようだ。と思ったら今度は髭をいじり始めた。
「今回は基礎知識と職業ギルドへの紹介状の発行がメインの目的となります。
さて、みなさん、受付で配布されたお手持ちの資料をご覧ください。
ペンが一本、資料が一部あるかと思います。資料の中には二枚の地図がありますね。一枚がこのファステイアの地図、もう一枚が町周辺の地図となっているかと思います。
まずは、この町の施設について説明いたしましょう。ペンで書きこんでいただいてもかまいません。
町を見ると四角形の形をしているかと思います。
中央に今皆さんがおられる大広場があります。そこから南と北と西に大通りが走っているかと思います。南北の通りは少し湾曲していますが。各大通りの中程と門付近には中規模の広場があります。東は山の輪郭に沿って行政府や、練兵場、ギルドなどが立ち並んでおります。
武器屋、防具屋、冒険者関連用品を取り扱うお店は西の通りに沿って立ち並んでおります。ここでご自身の冒険のスタイルに合わせて用具を整えるといいでしょう。資料の3ページ目にお勧めグッズの紹介が書いてあります。お買い求めの際には資料の巻末にクーポンがあるので是非お使いください。
宿屋、食事処は全ての大通りに点在しております。宿は特にクーポンはありません。お好きなところに泊まるとよいでしょう。これも位置を地図に記載してありますのでご活用ください。宿屋は運命神の導きにより開拓者が復活するための基点となっていますので、なるべく早く立ち寄ることをお勧めします。
あとは、開拓者集会所がこの建物の向かい側にあるのが分かるかと思いますが、パーティの待ち合わせ、新規パーティメンバーの募集、一時的なパーティーの結成など、その他パーティーに関する支援をおこなっております。パーティというのはご存知かと思いますが開拓者の集まりのことです。一般的な開拓者はパーティを作って開拓をしていくかと思います。
その隣にスキル剪定所がありますね。これはまだ説明するのが早いかもしれませんが、スキルが増えてきた場合、特技剪定師にみなさんのスキルの統合や分離をしていただけます。これに関しては必要になった時にお立ち寄りください。秘伝書の販売もしています。
続いて、南北の通りにご注目ください。南北の通りに沿って職業ギルドが立ち並んでいます。北側は傭兵ギルドが北端にあり、戦士ギルド、闘士ギルド、剣士ギルドとなっています。南側は聖職者ギルドが南端にあり、魔術師ギルド、盗賊ギルド、弓使いギルドとなっています。
生産系のギルドは南北の通りではなく西側の通りにあります。説明は省きますが、冊子の5~8ページ目に詳しい説明が書いてありますのであとでご覧ください。地図にも書いてあります。
後で、皆さんの適正に合わせた職業ギルドへの紹介状をお渡しします。」
一気にしゃべったなぁ。肩で息をしている。
「えー、次は町の周辺についてですね。疲れてきたのでさらっと説明します。
2枚目の地図を見てください。
西側に平原、さらに西側に森があるかと思います。また、町を東側の半分を囲むように赤茶色の山がありますね。ファステイアはちょうど東側にある山脈の端に位置していまして、ここに来るまでに見てこられたと思いますが。ファステイアから円上に山脈部分を除いて平原が広がっております。平原部分には村がいくつか点在しています。
西側の森を抜けられるとセカンディルの町に行くことができます。西側の森の中には道がある程度整備されており、力が十分にある開拓者のパーティなら到達することができるでしょう。
以上で、説明を終わります。詳しい説明は冊子に書かれているのでお読みください。
それでは紹介状を配布いたします。」
禿のおっさんはそういうと、受付にいたパーマのおばさんと一緒に名前を読み上げて紹介状を前方の机に手早く配置した。
「違う人の持ってかれても無効ですからね。ちゃんと自分のを持って行ってください。別に紹介状が無くても受け付けてくれますが、これがあれば試験が免除される他、初回特典が付きますから大事にしてください。」
なんというか、嫌な方にリアルだなぁ。おっとギター熊はこれか。
『初めてのハローワークを達成しました。』
報酬
・魔術師ギルドへの紹介状
・初めてのファステイア(冊子)
・ペン一本(消耗品)
仕事がひと段落して、ある程度暇そうにしているおばさんに話しかける。
「ここで他の技能習得の手伝いをするとおっしゃっていたと思いますが、どんな技能を習得できるんですか?」
「ああ!はいはい。えーと、ここではねぇ。採取や採掘、鑑定、野営方法などのサバイバル術、回復の方法、状態異常など様々な分野の講師をお呼びして、講習をやっているよ。専門に特化せず冒険に関することなら基本的になんでもやっているね。一回大体500マーニくらいでね。」
「ほほぉ、何かお勧めの講習はありますかね。」
「鑑定の講習ですわ。私の息子がやっとります。」
「さいですか。うん、考えときます。」
そう言って職業訓練所を後にした。
広場から出た。とりあえず魔術師ギルドに行ってみるか。南に向かって歩く。
先ほど次に行ける町はセカンディルと言っていたな。ファステイア、セカンディル。ファースト、セカンド。先ほどのムービーをメタってしまえばここが最初の開拓地ということなんだろうか?ニューヨークかな...女神像立てたい...
さっきのNPCの人たちはあと何回あの説明するんやろ。そこらへん不満はないんかなぁ。交代制にはしてるようだが。AIのレベルで段階分けできるんだろうか。ガキの頃にみたター○ネータやマト○ックスみたいに反乱起こされないんだろうか。むしろ、俺が不安になってきたわ。
取り留めのないことを考えながら南へと歩いていくと盗賊ギルドが見えてくるがこれをスルーし、お目当ての魔術師ギルドへと到達した。
黒い木材で作られた建物だ。どことなく昔の診療所めいた雰囲気を感じる。廊下があり、幾つもの建物がつなぎ合わされた集合体。壁は紫色の葉をした蔦でところどころ緑化(?)されている。
ここ入っていいんだろうか。と不安になって立ち止まってしまったが、ローブ姿のプレイヤーがススッと脇を抜けて建物へと入っていったので、それに続いてつかず離れずの位置を保ちながらついて行く。
建物の中へ入ると、受付っぽい台ににいかにも魔女っぽい格好をした紫髪の女の子が座っている。帽子はかぶっていない。何やら熱心に本を読んでいるようだ。偉大なる先輩プレイヤーは通り過ぎ、どこか奥の方まで入っていった。
女の子に近づき紹介状をひらひらさせながら声をかけてみる。
「こんにちわ、魔女なお嬢さん。紹介状をハローワークから貰ってきたんだがどうすればいいかい。」
「ふわっっ。えっえっえ。あっ。」
魔女っ娘はまるで今さら俺の存在に気がついたかのように慌てて本を閉じ、赤面した。
「ええっと、紹介状ですか?」
何事もなかったかのように取り繕っているが目がきょろきょろしているなぁ。
「ええ、職業訓練所で説明を受けてきまして。魔術師ギルドはここで合っていますよね?」
「はい!合っていますよ!ああ...!?
ええっと、ようこそ!魔術師ギルドへ、新人さん。あなたは今日から魔術師ギルドの一員になりました。
ただし、まだペーペーです!残念ながら...半人前、未熟者、半生卵!」
紹介状を手から奪い取られた。しかし、テンションの上がり下がりが激しいな。どうみても半人前そうな少女に半人前と煽られてる件について...
「一人前の魔術師ギルド員として認められるまでに様々な艱難辛苦を乗り越え、魔術の深奥を覗き、それをギルド全体の利益のために還元しなければなりません。」
ふむ、魔術師ギルドというか、研究者の学会的なノリかな?
「でも、そこまでは難しいのが実際のところです。なんか相談があればいつでも相談に乗るよ。」
「具体的に魔術師ギルドに所属すると何ができるんだい?」
「魔術師ギルド自体がやっていることは、魔術情報の提供、発動体や媒体の販売、材料の確保、魔術の研究、魔道具の収集と保存といった感じね。開拓者に魔導書やスクロールを売ったりもしています。これは商店でも売っているけど。魔術師ギルドが生産元だから希少性の高いものも手に入れたりもできるわ。商会との契約もあるから一概には言えないけど。そうね...あなたが魔術師ギルドに所属してまずできることと言えば...
開拓者向けに魔術師ギルドでは依頼を出しているから、あなたが依頼を解決できれば報酬がもらえるわ。報酬は現金だったり、現物だったりするかな。
今はまだ簡単な依頼しか紹介できないけどね。見てみる?」
「ぜひにも。しかし、こんなに時間を割いていいのかい。私一人に。」
「別に構わないわ。ここは本当に受付だもの。納品は奥でやってるし、依頼の受諾もそこでできるんだから。私がここにいるのは不審者が入ってこないか見張っているのと、読書のため。初めての人しか話しかけてこないんだから、気楽でいいわ。」
「先ほど声を掛けた時は驚いていたようだが。おっと、私の名前だがギター熊だ。よろしく頼むよ。」
左手を差し出す。
「あれは...忘れてちょうだい。私はマリーよ。よろしく。」
少し小さめな手で握り返してくれた。
「ん、依頼だけどね。ちょっとまって紙だすから。えーと、今紹介できるのは3つかしら。
1つ目は、グラッセ村からの依頼ね。ライフポーション30本の納品。簡単なお使いよ。魔術師ギルドから運ぶだけでいいわ。報酬は1000マーニ。納品は1週間以内に。ただし、ガラスは割れないようにインベントリに入れた方がよいわね。しないと思うけど、窃盗なんてしたら即追放、豚箱行きだから。
2つ目は、除草依頼ね。衛兵隊からの依頼だわ。ファステイア周辺の雑草を焼き払ってほしいみたい。ファイヤーボールでちゃちゃっと焼き払えばいいんじゃないかしら。練習になるわよ。詳しい説明は詰め所に来てくれということみたいね。
3つ目は、魔術師ギルドからの常設依頼ね。森から役に立つものを採ってきたらそれにおうじて報酬を払うわ。リストと図鑑は図書室で閲覧できるわ。図鑑が欲しかったら一冊5000マーニよ。該当箇所を写したのが欲しければ10ページくらいの冊子を700マーニで私が書いたのを売るわ。」
700マーニ黙って差し出す。
「まいどー。はいどうぞ。単に写しただけでなく、私のメモも書いてあるんだから感謝して読みなさいよ。」
紐で閉じられたら古びた紙束に丁寧に写された植物や動物、虫などの絵と説明文、メモ書きがされている。字が普通に上手いな。
「それは、ありがとう。それと詰め所の場所とグラッセ村の場所を教えてくれるかい。」
「あら、全部やるつもり?でも、欲張りなのはいいことね。魔術師と欲望は切っても切り離せないものだから。」
マリーは声を立てて笑った。
俺はニヤりと笑みを返した。
Tips.街と住民
街には沢山の建物がある。街の住民は第二次産業、第三次産業に従事していることが多い。プレイヤーと関わるのは、主に戦闘関連業、流通業、飲食業に従事する住民である。JOBや名声、依頼によっては行政機関、教会、鉄工業などに従事する住民との接触機会を得ることが可能である。