男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた!   作:ネコ文屋

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アツアツ


第一部 Goblins' Jam

 オープニングトークを終え、俺たちは観客へ大きく手を振りながらステージを後にした。

 

 すれ違うようにして、次の出演者たちがステージへ上がっていく。

 

 ステージセットが素早く切り替わる。

 

 巨大な酒樽。

 

 木製の柵。

 

 焚き火を模したホログラム。

 

 ランタンの暖かな灯り。

 

 まるで酒場をそのまま切り取ってきたような景色へと変貌していく。

 

 観客席から歓声が上がった。

 

 スクリーンいっぱいに映し出されるバンドロゴ。

 

 《Goblins' Jam》

 

 陽気な笛の音が響く。続いてフィドルが軽快な旋律を奏で、アコーディオンが重なる。

 

 そして――

 

 ダンッ!!

 

 力強いバスドラムが鳴り響き、ギターが豪快なコードをかき鳴らした。

 

 客席から自然と手拍子が起こる。ボーカルがマイクを高々と掲げた。

 

 「さぁ野郎ども!! 宴の時間だぁーーーッ!!」

 

 「うおおおおおおっ!!」

 

 会場の空気が、一瞬で酒場へと変わった。軽快なリズムに乗せて、歌が始まる。

 

 ♪

 

 樽を叩け 音を鳴らせ

 

 今夜は眠るな Party Night

 

 笑うヤツも

 

 泣いたヤツも

 

 みんな仲間さ Drink it Up!

 

 さあ輪になれ歌おうぜ

 

 今日は宴の始まりだ

 

 ♪

 

 ステージではメンバーたちが肩を組みながら飛び跳ねる。

 

 フィドル奏者がくるりと一回転すると、それに合わせてギタリストも前へ飛び出し、観客へギターを突き出した。

 

 客席では自然と肩を組むプレイヤーたち。

 

 見知らぬ者同士が笑い合い、一緒になって飛び跳ねている。

 

 ゲームだからこそ生まれる、そんな垣根のない熱狂だった。

 

 ♪

 

 Fire Fire

 

 焚き火を囲め

 

 Jump Jump

 

 靴が壊れるまで

 

 声を合わせ歌えばほら

 

 世界中が Tavern!!

 

 ♪

 

 「Hey!!」

 

 ボーカルが叫ぶ。

 

 「Hey!!」

 

 何万人もの観客が応える。

 

 地面が揺れるほどのジャンプ。

 

 リズムに合わせてサイリウムが上下し、色とりどりの光が夜空を彩っていく。

 

 そしてサビへ。

 

 ♪

 

 Hey!!

 

 乾杯だ Goblin Night!

 

 Ho!!

 

 朝まで Dance All Night!

 

 飲め!歌え!

 

 騒げ!笑え!

 

 今日が人生最高の日!

 

 Hey!!

 

 まだまだ終われない

 

 Ho!!

 

 音楽は止まらない

 

 Raise your mug!

 

 Raise your voice!

 

 Everybody Goblins' Jam!!

 

 ♪

 

 「Hey!!」

 

 「Ho!!」

 

 コール&レスポンスが会場中へ広がる。

 

 まるで全員が、このバンドのメンバーになったようだった。俺は舞台袖からその様子を眺めながら、思わず笑みを浮かべる。

 

 「いいな……この一体感。」

 

 隣でエイトも腕を組みながら頷いた。

 

 「フェスって、こういう空気だよね。」

 

 ハルぽんは身体を左右に揺らしながら、小さくジャンプしている。

 

 「踊りたくなっちゃうの!」

 

 間奏に入る。

 

 フィドルとアコーディオンが軽快な掛け合いを始めると、ギターが豪快なカッティングで応える。

 

 ドラムはさらに勢いを増し、ベースが地面を揺らすような重低音を響かせる。

 

 演奏者同士が笑い合いながら音をぶつけ合う。

 

 勝負ではない。

 

 会話だった。

 

 音で語り合う、最高のセッション。

 

 そして最後のサビ。

 

 ♪

 

 Hey!!

 

 乾杯だ Goblin Night!

 

 Ho!!

 

 世界中 Party Time!

 

 笑顔だけ持ってこい

 

 音楽が友達さ!

 

 Hey!!

 

 また明日会おうぜ!

 

 Ho!!

 

 次の宴まで!

 

 One More Song!

 

 Everybody Goblins' Jam!!

 

 ♪

 

 ジャーンッ!!

 

 最後のコードが夜空へ響き渡る。一拍遅れて、会場を揺るがすような拍手と歓声が巻き起こった。

 

 「ありがとうーーーっ!!」

 

 メンバーたちが何度も手を振りながらステージをあとにする。その熱気は、まだ冷める気配がない。

 

 俺はふとステージ中央へ視線を向ける。

 

 そこに置かれた《音響核(オートフォノス)》は、変わらず静かに淡い光を放っていた。

 

 だが、気のせいだろうか。ほんの一瞬だけ、その光が鼓動するように脈打った気がした。

 

 舞台袖でモニターを見つめていたエリオが、小さく微笑む。

 

 「共鳴率、2.4%上昇……順調です。」

 

 その言葉に、俺も自然と頷いた。

 

 まだ始まったばかりだ。このフェスは、これからもっと大きな響きを紡いでいく。

 

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