男が演奏している横に看板が立っている。あなたは看板を読んだ。...投げ銭歓迎!石は投げないでください... あなたは周囲を調べた。... ...何かが見つかりそうだ... 投げやすい小石を見つけた! 作:ネコ文屋
ゴゴブゴブ
本SSでは昼夜を1日4交代制の設定にしています。
十分にリフレッシュしたと思い目を開ければ、HPは2、MPは全回復していた。もっとも、40分経っていたが...あぁ、アラームが欲しい。あと、割合じゃなくて固定回復なら時間がかかりすぎる。
草むしりの期限はまだまだ長いので、所々焼け焦げた草原を後にして、グラッセ村へ向かうことにしよう。
○メイジングブルースで口笛を吹きながら、短杖でペン回しをしつつ歩く。長閑な景色だ。青空の下、草原に黄土色の土が露出した一本道が続いている。長いものがもう2本くらいあったらジャグリングをやってもよいのだがなぁ!あれ、宴会でめっちゃ受けるんだよな。
草原に口笛で旋律をエンドレスで響き渡らせていると何やら草を掻き分けて北の方から近づいてくる。
第一モンスターか?!
口笛を吹くのを止めポ○モンの戦闘開始を鼻歌で刻みながら、杖を構える。秘技、セルフBGM!
目を凝らすと石の斧を右手にもった緑色のこびとがキョロキョロしながら近づいてくる。
思わずのどが鳴り、目玉が飛び出るくらいに驚いた。
あ、あ、あれは...ゴブリンか?!?あの国民的ファンタジーゲームではもちろん、ありとあらゆるファンタジーもので時には悪の陣営の兵士としての倒され役、たまにはめちゃくちゃ強くなったり、緑色じゃなかったりする...
へへ...やるじゃねえか!ゴブリンを最初に持ってくるとわよぉ!!!あああああああ、血が騒ぎ出してきたわぁぁ!!!!
というくらいの喜びを感じながらもここは冷静に、杖を右手に持ち突進されても避けられるように体を斜めにして待つ。
およそ、40mくらいか...
「ヒートハンド。」
両手が熱を帯びる。
まずはどこを狙うべきか?顔?腹?それとも足か?
35m。
よし、腹にしよう。当てやすさ重視だ。足は草むらでどうせ阻害されている。連発を試していなかったのが悔やまれる...
30m。
「ファイアーボール...」
杖から火球が発射されるのと同時に斜め右前へ前傾で駆ける。
「ファイアーボール。」
即時に杖を向け再び唱えるが、先端が光るのみ。
ちっ...リロードおせえよ!?
ゴブリンは火の玉に気がついたようで慌ててこちらから遠ざかるように避ける。あそこで打てたら良かったのだが。
距離25m。30mではさすがに無理だったな。まぁ、リキャスト時間を確かめておこう。
「ファイアーボール!」
リキャスト時間10秒以内といったところか...?火の玉は3秒くらいで到達したから、秒速10m、つまり時速36kmくらいか?近距離なら避けれないくらいの速度だな...残MPは22か。あと7発。今度もギリギリ避けられた。
「ギャ...ゴガアアアアアアア!!!」
ゴブリンは怒り心頭といった様子で石斧を苛立たしげに振り、こちらへ雄叫びをあげながら走ってくる。
今度はなるべく引きつけよう...20m...10m...今だっ!
ゴブリンが踏み込む先の地面に向かって杖を向け、走り出す。
「ファイアーボール!!!」
放たれた火球はゴブリンが踏み込む足元の地面に着弾し、炎がゴブリンの足元を赤いカーペットのごとく燃やし尽くし火球本体は膝半分に直撃したッッッッ!
「ギャアアッッッッ...」
ゴブリンは苦悶の表情を浮かべ、勢いのまま足がもつれ倒れる。
1m...転げるゴブリンに飛びかかると、右足で腹を踏み左膝を地に着け、右手で容赦なく杖を突きつけて、高熱となった左手で石斧を持つゴブリンの右手を抑えた。
「悪いなぁ...ゴブリンさんよ。経験値になってもらうぞ!!!
ファイアアアア!!ボォォォオオオオオル!!!」
杖から放たれた火球はゼロ距離でゴブリンの上半身に直撃し、燃え広がる炎が包み込むように焼き尽くした!
息絶えたゴブリンは光り輝くポリゴン片へと分解されていき、ついに宙へと消え去った...
「うむ...なんか可哀想なことをした気がするな。」
とりあえず、ゴブリンはファイヤーボール2発で倒せるということが分かったな。しかし、1体ではレベルがあがらないようだ。
ゴブリンが落としたドロップ品と思われる石斧を焼け焦げた草の上から手に取り上げた。
「ナンマンダブ。ナンマンダブ。」
一応、念仏を唱えてゴブリンの冥福を祈っておく。インベントリへ石斧を収納した。
しかし、案外弱かったな...魔法なくても勝てるかもしれない。あと5発使えるから2体くらいなら倒せるが、ここで瞑想してMP回復していくか迷うな。
あれ?なんか腹減ってきたような気がする?このゲームって空腹値あるのかな..........n.......うん?......ああああぁぁ?!それって空腹で死ぬシステムだったらマズいじゃないか?!ゲロ吐いて死んでしまう!!!
急がねば!
続く道をひたすら走る。全力疾走ではなく疲れない程度の走りだ。パネルのステータスでスタミナが60%を下回らないように調節しながら脚をルーティンさせる。時速10kmペースくらいだ。
やはり、走った方が進みがいいな。ひたすらに道を進んでいく。ありゃ、分岐点か...西へ行く道は関係ないのでそのまま北へ進んでいく。
時折、ゴブリンや大きなネズミの姿がちらほらと見えるがガン無視しグラッセ村へとひた走る。
日が大分傾いてきた。確かハロワを出たときは太陽は真上にあったと思うが...少し早くないか?時間がずれているのか...ああ分かったぞ。夜2回か4回あるんやな。それでご飯時にぶつけてるやろ!!確かにもうすぐ12時前で、腹が減ってくる頃だ。ありゃ、今腹減ってるのはどっちだ...?
夕方の色へ空が変わる。夕日が西の森の端の上から空を真っ赤へと染め上げ、雲はピンクサーモン色をしている。向かう道の先にある森の上空は濃紺に滲み、迫り来る闇、夜空の気配を感じさせた。
夜ってやばいよな...大体強そうなイメージしかない。早よ村に行かないとヤバみある。
走っていると鉄条網と木の柵で囲まれた畑がちらほらと見えてくる。これは...村の気配がする!!!畑の脇を超え続く畑の横を通り抜ける。
ヨッシャ!もうすぐ村だぁぁ!
焦りで占められていた頭の中が喜びで一瞬沸き立つ。ペースを上げて走り出す。
すると前方に...ヌッと明らかに人の形をした闇が出てくるのが見えた...
ふと立ち止まって、目を凝らすと村の灯りを背にして鋭い眼光をしたゴブリンが一匹立っていた。
気がつけば辺りはすっかり暗くなっていた。石槍を持ち革装備一式を着込んだゴブリンは中腰で石槍をゆらりとこちらへ向ける。
バックステップで距離を思わず、とった。体は半身に構え左足を浮かせて杖を右手に持ち、相手の喉笛へと油断なく向ける。
摺り足でじりじりと音なくにじりよる。袴だったら起こりを隠せるのだが...ローブはどうだろうか...
8mか...先手必勝!
「ファイアッボゥウウウウウウウ!」
裂帛の気合いを入れて相手の顔めがけて火球を打つ。馬鹿めええ...リーチが長いのはおれのほうじゃあああ。
しかし、強そうなゴブリンは槍で地面をついて横へと体をずらし対処した。そしてニヤりと笑みを浮かべながら脚を進めてくる。
「ゴブウウウゥゥゥゥ.......」
こいつ、まるで達人のような息遣い。できるな...脱力と緊張を両立させる長い吐き出し、静かな吸いこみ。
次に何かを仕掛けて来そうだ...
「いいだろう...来いッッッッこらあああああっっっ。」
威嚇にも動じずに引いた槍が猛烈なスピードで動き出す。この角度、右の腹狙いか!
そいやっ!即時に右足を引き左足を踏み込み、左手で槍を掴もうとするが敵もさるもの。槍の軸を回転させて手を振りほどく。
だが...甘いな一手、遅れたねぇ...
右手の杖が左手と交差させるようにして相手の下半身に向いていた。相手からは槍が邪魔になって見えにくい。
「ファイアーボゥル...」
「グガッ?!グウウウウウウ...」
ゴブリンは身を焼く炎の熱さに耐えるように歯を食いしばった。そして、動きが鈍った脚をカバーするように槍を大きく振り下ろし、殴り倒そうとしてくる。
おっと...隙だらけだな?右に体を流すようにしてステップを踏み、避けながら相手の左腕に手を伸ばす。
そのまま左腕を引っ張り、左足を相手の右足へ添え相手の体を崩す。即座に杖をインベントリにしまい右手で相手の革鎧の脇を掴み上へと釣り上げる。
「ローブだから内股も払い腰もできないじゃないか...まあ、背負い投げでいいかぁあああああああああああ」
右肘を相手の脇へと差し込み相手を背中に乗せ思いっきり地面に叩きつけるッッッッッッッ!
「おりゃああああああああああああ!」
「グギャギャギャギャギャギャ...?!?」
ある程度重い荷物を2階から投げたらするような音がした。地面にはゴブリンが震えるように横たわっている。天地動転といったところか驚愕の表情と痛みの表情が強そうだったゴブリンから見て取れる。
すかさず腕ひしぎで動きを封じる。
「むむむ...捕縛してどうする...?」
「グギギギギギ、ゴブウウウウウウ!」
よく考えたら倒さないといけないんだったが、昔とったキヌヅカで抑え込みまでやってしまった。この距離だとさすがに自分もくらってしまう。まあ、いっかぁ。ケセラセラ。
「ヒートハンド、ファイアー...」
あ、待って。このままだと脚に当たるので、腕ひしぎから横四方に移行してと...あれ、この場合ファイヤーボールはどっちの手から出るんだ?
「えーっと、ファイアー...ボール?」
右手と左手から手のひら大の火球になり損ねた押しつぶされた炎がゴブリンの体を焼く。
おお、威力が杖に比べて2つ合わせても落ちているが、使い勝手いいじゃないか!
「もう一丁、ファイアーボール!!」
「グガアアアアアアアアァァァァァ....」
さすがに、強化ゴブリンでもゼロ距離ファイヤーボール連チャンは耐えられなかったらしく断末魔をあげてポリゴンへと返っていった。
よっしゃ勝った。ハァハァ...しんど...
槍とか初めて戦ったわぁ。まあ、だが、二段、三段の恐ろしさがない...まだはじめの草原だしな。しかし、案外、久しぶりでも動けるもんだな。現実の体と違うからだろうか。
お、革鎧落としてくれた...実はローブが結構ボロボロになってきてるのだ。焦げ跡があちらこちらについている。ま、寸法が合っていないので改造が必要そうだが。
ステータスを見るとレベルアップもしている。MPギリギリだなぁ...もう一発撃てるつもりだったけどヒートハンド使ってたわ。
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PN:ギター熊
LV:4(15)
JOB:魔術師
2,300マーニ
HP(体力):9/12
MP(魔力):2/30
STM (スタミナ):5/20
STR(筋力):10
DEX(器用):20
AGI(敏捷):20
TEC(技量):10
VIT(耐久力):10(15)
LUC(幸運):2
スキル
・瞑想
・ベースステップ
・スライドムーブ
・グラウンドクリープ
魔法
【ファイアーボール】
【ヒートハンド】
【エアーカッター】
【コラプスウィンド】
【アクアウィップ】
装備
右手:無し
左手:無し
頭:無し
胴:布のローブ(VIT+2)
腰:布の帯(VIT+1)
足:布の靴(VIT+1)
アクセサリー:無し
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スキルと魔法がいくつか生えているな...ま、飯食べてからゆっくり考えよう。そんなことより早く村に入らないと死んでしまう!
村の明かり目掛けてへ一目散に駆け込んでいった。木の背の高い柵が村を囲っているのが見える。それなりに深い掘りがさらにその柵の前にある。
道に沿って進むと、村へ入る門は閉じられており、薄暗い視界のために不明瞭だが門の横にはしご付きの簡易な見張り台があるのが見える。
近づいてみると見張り台の上に弓矢と角笛を引っさげた小太りの男がいるのが分かった。
「すみませーん!ファステイアからライフポーションを届けに来たんですが!」
声を掛けると上からのんびりとした声が返ってくる。
「おんや、開拓者さんかい?ちょっと待ってって。日が沈んだから門閉じちまったー。」
そう言うとはしごをトントントンと軽やかに降りて、ゴトンと音がした後にゆっくりと門が開いた。
門の間からどことなくひょうきんな顔をした愛嬌のある男が入っておいでというように手招きしている。俺はささっと体を門の内側に滑らす。それを見てから、小太りの男は門を閉じ、木板を門扉の中央へ差し込んだ。
「よぉこそ!グラッセ村へぇ。ごくろうさんでぇ。ポーションの納品はぁ。日が明けてからでええから。宿屋とかはもう閉まっとるから集会所の隅に藁しいたるでそこでねやあ。あそこなら夜でも開いとるから!集会所はあっちの大きい建物やー。」
藁...まじか...グッと何かを言いたくなる気持ちをこらえて、笑顔で言う。
「ありがとうございます...」
俺の初めてのリスポーン地点は藁の上か...乾いた笑いが零れた。
Tips.ベッド
ベッドの質によって睡眠時のHP・MP・STM回復量、デスペナルティ、異常耐久値、起床時幸運値が変動する。