少し長引いた仕事を終え、最寄りの駅で電車に乗り込む。
人の数のおかげで気温の上がった車内は外よりも幾分かマシだった。
電車を降りて降り始めた雪の中を歩く。街頭の光を反射しながら積もっていく雪に、もうそんな時期か、と思いながら歩くと、もう自宅のすぐ近くまで来ていた。
家の窓を見てみるとなんと灯りが点いている。誰か侵入者でも入ったのかと警戒しながら扉を開く。鍵は既に開いていた。やはりヤバイ(再確認)
そこに待っていたのは――!
「よく帰ったな我が眷属”暗黒の執行者“よ!」
”
多分執行者ってのは夜まで仕事してる人全般。
それにしても、
「何故ウチにいるんだ…」
思わず至極真っ当な疑問が口をついて出てしまったが、それに対してヤツは、
「愚問だな!我を
なんて正論で返してくる。
なるほど確かに、精霊というある意味身寄りのない相手を口説き、霊力を封印することがその相手の面倒を見る、という事を意味するのも道理である。
黙ってしまった俺を見て何か不安に思ったのだろうか、少し上目遣いになりながらも、ヤツは、八舞耶俱矢は、こう言った。
「それにその…ほら、
「―――ッ」
「そう、だな。特に面白いところも無いとは思うが、来たいならいつでも来ればいい。俺は仕事あるからあんまり家にはいられないが」
「やった!……と、当然の配慮だな!」
取り繕うには遅すぎると思うんですけど(名推理)
それはともかくとして、
「家入らせてくんね?外よかマシだがやっぱちょっと寒いし」
そうなのだ。玄関でぐだぐだやっていたが俺の体はヒエヒエになってしまっている。
そろそろ中に入りたいものだ。
「うむ!入るがよい、我が家へ!」
「俺の家なんだよなぁ…」
慣れ親しんだ我が家へ入り、リビングの中央に堂々と鎮座するこたつに入る。
そして、
「あったかぬくぬくだにゃー」
思わず息を吐く。
「…えっなに今の」
どうやら聞かれていたらしい。
「何ってお前…炬燵入ったらやるだろ」
「いやいや、やらないでしょ」
む、異端は俺の方であるようだ。
そのまま二人でぐだぐだとテレビ観賞タイム。
さて、
「腹減ったな…なんか作るか」
そう、流石に腹が限界を訴え始めたのだ。
炬燵の外に出たくない保守派の俺だが、腹の虫には逆らえない、はっきりわかんだね。
そう思い立ち上がろうとすると、
「ま、待つのだ!しばし暖かな楽園にて微睡んでおくがよい!」
なんか止められた。えぇ…(困惑)
「なに、どしたの」
「うむ、実は我が既に用意しているのだ!」
なんと、それは驚いた。
「一体どういう風の吹き回しなんだ…」
「む、我の手作りでは何か不満か?」
少しむくれてそう言う彼女が少し微笑ましく、思わず笑ってしまった。
「いや、別になにもねぇよ」
「かか、それで良いのだ!」
そう言い残して台所へ向かっていく。さて、どんなものが出てくるのか…
少しして、小鍋を持ってやってきた。
そして堂々とした態度で言うことには…
「フッフッフ、これなるは"堕天使の饗宴"!」
「はえー、すっごい格好いい…」
そう言って抱えた小鍋の蓋を開けると、
「パエリア、か…?」
「フッ、魔眼よ高き!」
普通に"お目が高い"とは言えないのか。
「ん?て、ことは…」
なんてことだ、エビが堕天使だったのか…(驚愕)
では、実食タイム。
もぐもぐ、ふむふむ…なるほど。
これはなかなか、
「美味い、だと…!?」
「本当!?…じゃなくてあ、当たり前だし!」
おいおい素出てる素出てる。
「うん、おいしい!」
思わずナイナイしてしまうレベルである。
外を見れば雪が少しずつ積もり始めている。
今年は、思えば色々なことがあった。
今まで見てきた無色の世界に別れを告げて、
――今年の終わりも、もうすぐだ―――。
浪人生活も残り4ヶ月なので初投稿です。
(主人公の説明は)ないです。忘れてたからね、しょうがないね