「茶菓子もあるぞー、こたつもあるぞー、アニマックスも見られるぞ〜」
誘惑ラッシュで畳み掛ける。
「葛藤。案外いい人かも知れません…!」
「夕弦めっちゃ釣られてる!?」
姉(妹?)のチョロさに驚愕する耶倶矢(素)
「本題。それはそれとして…それは、それとして……」
あーやっぱダメか。いい作戦だと思ったんだが。
「やっぱり釣られてなかった!」
そして姉(妹?)のしっかりさに驚愕する耶倶矢(素)
キミ今日ずっと素だね。
「…そんで、結局俺たちは何をすればいいんです?」
「要求。耶倶矢 が欲しければ私を倒していくことです。どや」
………これがやりたかっただけなのでは?
―――数分後――――
「勝負って言うけれど、夕弦、一体何の勝負をするのかしら?」
婿・義姉(妹)論争はその戦場を〈フラクシナス〉に移していた。
そこで幾度となく我々の頭の中に浮かんだ疑問を投げかけた人こそ、〈五河琴里〉である。
五河琴里―あの若さにして〈ラタトスク〉の秘蔵空中精霊艦フラクシナスの艦長を任される、その身に精霊の炎を宿す少女。
なんでもオリジナルが最初に封印した精霊だとか。……最初に妹デレさせてるのヤバない?
改めて五河士道という男のヤバさを実感していたが、八舞夕弦の声で現実に引き戻された。
「回答。私と耶倶矢が今までに行ってきた対戦の中でも、耶倶矢がこの私に勝利した種目から選びます。耶倶矢が欲しいのならそれぐらいやってもらわなければ困りますから。」
言ってることはなんとなく理解できるが…
「ハァ…仕方ないわね。総員、準備なさい!これよりオペレーション〈チキチキ!花婿修行!(首が)ポロリもあるよ!〉を開始するわ!」
えぇ…(困惑)
……えぇ…(困惑)
思わず2度も困惑してしまったが、これは仕方ないと思うの。
だって、そのタイトル…えぇ…?
あーもうめちゃくちゃだよ。
五河妹の作戦名も、それに微塵も疑問を持たずに超スピードで準備始めてる職員たちも全く理解できない。
この艦どうなってんだ。
かくして準備はつつがなく進み、今ここに今世紀最大の花婿修行が幕を上げる―――!
なんてことはなかった。1回戦の"男に求められるのは安定感!積み上げろ!ジェンガ!"では、緊張からか霊力が一瞬コントロールを離れた夕弦の周りに吹く風によってジェンガが倒れて勝ち。
2回戦の"やっぱお金だよね!稼げ!人生ゲーム!"では、お互いが多額の借金を背負いながら泥沼の戦いをくりひろげ、最終的に株の暴落によってギリギリ夕弦の借金額が-5億を超え、-4億だった俺がギリギリで勝利した。
…いずれも、俺の力は何ひとつとして証明されていない気はするものの、既に勝ち越しを決めてしまっていた。
「賞賛。……くっ、なかなかやりますね」
「これ夕弦がダメなだけじゃない?」
「…夕弦、こんなんだから耶倶矢と戦績イーブンだったのね、ようわく謎が解けたわ。」
実際、どうしてこのポンコツ耶倶矢が夕弦と50勝50敗だったのかまるで理解できなかったが、今回の件でようやく得心がいった。
この精霊、なかなかにポンコツである。
「憤慨。こんなんとはなんですか、こんなんとは」
そんな彼女の声も届かず、最終ラウンドが開始される。
「最終ラウンドは、"耶倶矢についてくわしいのはどっち!?なぜなにカグヤちゃん!"タイトル通りクイズ対決ね」
「えっそれは…」
「タイトル通りクイズ対決ね」
謎の圧力によってこちらの意見は押しつぶされた。
「ちなみにここで勝利した方には3ポイントが与えられるわ。夕弦にとっては逆転のチャンス、そこのにとっては大差勝ちのチャンスってわけね」
……よくあるクイズ番組かな?三本勝負で大差勝ちってなんだよ(困惑)
「第1問!耶倶矢が自分のことを評する際に用いる二つ名は?」
…こりゃ簡単だ、まったく先が思いやられる。まぁなにはともあれ、
「回答。ぐふ〜のみこ(笑)」
「まあ、これはな…ぐふ〜のみこ(笑)」
「待って!?(笑)ってなに!?」
取れる問題を確実に取っていこう――
ついに我らが琴里ちゃんが参戦。
クッソ書きやすいツンデレキャラいいゾ〜
今月中に次話投稿出来れば…