部下S:ハッ。全くその通りです。
L様:ところで最近成長したと思ったら急に退化した怠け者が居るらしいんだけど私への献上品がな・い・ん・じゃ・な・い?
部下S:あ。その、よ、ヨシオから聞き出した異界の料理レシピが尽きまして、つ、次は必ず!(新しいフラグを立てなければ!)
「オォ~ホッホッホッホッホ」
「ハァ~ハッハッハッハッハ」
「オオオオオ~ホッホッホッホッホ!」
「ハアアアア~ハッハハッハッハ!」
「オォげふがほっ」
「あ、アリシアああああぁ!」
お笑いコンビかな?
セイルーン王国に入って暫く。あと一山も越えれば王都につくかという辺りでいきなり高笑いが響き渡り、何事かと思ったら痴女のような格好の女性と身なりの良い山賊が二人で崖の上で笑っていた。
これは背後から「押すなよ!絶対押すなよ!」的な流れかな~と思ったらただ只管笑い続けるだけで何と言うかうん。
「売れない芸人も大変ね。こんな所で営業なんて」
「回り山なんですがねぇ」
「違うわ!ああ、アリシアぁ・・・崖の上から存分に高笑いをして山彦を聞きたい等という小さな望みすら叶えて上げられない無力なワシを許してくれ!!」
「長い長いというか近い早い。さっきまで崖の上にいらっしゃいませんでした?」
「うむ。この位なら好いた女を抱えて飛ぶなど造作もない!」
「貴方、素敵。ぽっ」
3、40メートルはありそうなんだがすげぇな山賊って。ロディマス師匠ももう剣に手をかけてるしこれ結構な手練かもしれん。
というか山賊の割には着ているものが上等だな。これはどこぞの名の知れた傭兵か、騎士かなぁ。
隣に居る痴女がすっごい違和感だけどお抱えのお妾さんかもしれんな。
「いや、妾ではなく妻だ!この格好は妻の隠れた趣味でな!」
「全然隠れてませんが良いご趣味してますね」
「うむ!ワシには何が良いのかさっぱりわからんが数百年前に流行った『悪の女魔道士ルック』らしい!しかし正義の使途に見出されその一途さに正しい道へと踏み出したと言う設定なのだそうだ!」
「イメージプレイぇ」
ちょっと予想以上の難物で旨いコメントが思いつかないぞ!
それでその。プレイの邪魔をしてるんなら自分らもう良いっすかね。アクセントはもう十分でがしょ?
「うん?プレイとは何かな。ワシ達はプライベートは常にこうだが!」
「レベル高すぎだろJK。とりあえず用件お願いします」
「おお、すまぬ!うむ、この中にエリスさんという魔道士は居るかな?非常に優秀な魔道士だと伺っている!」
思わず視線をエリスに向ける。これ知り合いなの?というメッセージを視線に混ぜて。
どうやら伝わったのか手をパタパタと振って否定している。
「おぉ、君がエリス殿か!セレンティアでの活躍は耳にしている。何でも騎士団が手を焼いていたドラゴンを退治したりたったの半年で数多くの魔道士の卵を育てた素晴らしい魔道士であると!」
「いや、あれは元々魔道士協会で燻ってた子達にきっかけを与えただけで。ドラゴンに関しては止めを刺しただけです」
そんな事してたんか。知らんかったぁ・・・・・・そういえばやけに見送りの人数が多かったのはそれが原因か。
俺次にセレンティア行ったらあの子達に襲撃されるんじゃないか?
「それで、その。貴方がセレンティアを離れて東に向かったと伺ったから探していたんです」
「はぁ・・・」
「実は娘の教育について悩んでおってな!是非一度お話を聞きたかったのだ!」
「娘さんいらっさるんですか」
子持ちの人妻だと判明した痴女を見る。水着の方がまだ隠してるんじゃ無いかという布面積の所轄ビキニアーマーという奴か。子供を産んでいるとは思えない体型だ。とりあえず拝んだらエリスに蹴られた。解せぬ。
「すみません、この馬鹿が。お話だけなら構いませんが、その。流石に山の中だと」
「ああ、勿論だとも!私達はセイルーンシティに住んでいるのだが君たちの目的地も恐らくセイルーンだろう!?馬車を用意してあるが共にどうかな!」
「馬車ですか。それならまぁ。えっと、お邪魔しても?」
「構わんとも!少し待っておれ!」
ドドドドドド、と音を立てて山賊頭が去っていった。
とんでもねぇ馬力だな。もう見えなくなった。
「大した身体能力だ。ありゃ相当名のある御仁だな」
「あら、お分かりになるかしら」
「ええ。一度剣を交えてみたいものです」
「ふふ。旦那様は無手だから拳を交えるになるかしらね」
思わず、と呟いた師匠の言葉に痴げふん。奥方が反応する。
しかし、あれだ。格好こそとんでもないが言葉遣いといいふとした時の仕草といい、かなり上品な物腰だな。
ロディマス師匠もそれに気づいたのかかなり敬意を持った口調で応対している。
これマジモンのお貴族様かも知れんな。
「おぉい!馬車を持ってきたぞぉ!」
「あ、これはお早いお帰り・・・・・・で・・・」
砂煙を立てながら山道を疾走する馬車を目にして一瞬言葉が詰まる。
先ほどのドワーフをそのまま大きくしたような男性が馬もかくやといわんばかりの速度で馬車を引いてきたのだ。正直ビビった。
「さぁさ、お乗り下さい!」
「あの、不躾な質問ですが馬は?」
「途中でへたばってしまってな!仕方なくワシが引いてきたのだ!」
「あ、はい」
馬より馬力があるってそれは人類の範疇に入るのだろうか。もしかしたら新型のゴーレムなのかな?と思いつつ乗車。
普通に歩けば半日の道を一時間で辿り着いた代償は全員分のリザレクションだった。嫁さんまで青い顔してたのでこの国は普段からこうなのか聞いたら、ぶんぶんと首を横に振っていた。良かった、そうだとか言われたらそのまま通り過ぎようと思ってたからね。
セイルーン・シティは六芒星をモチーフに都市を作っているらしく、外壁は大きな円形の形をしている。傍から見ると結構な大きさの都市で、流石は王都といった所か。
「有名な結界都市を生で見れるなんて。旅の醍醐味って奴ね」
「都市自体が結界の役割を果たすセイルーン六芒星か。見事な城壁ですなぁ」
リザレクションで車酔いから復帰したエリスの言葉にロディマス師匠がうんうんと頷きながら答える。
今は王都への入り口に続く長い行列の途中をのんびり進んでおり、殺人的な揺れとは無縁の穏やかな空気が車内に広がっていた。
「いやぁ良い汗をかいた」
「馬車って(人力で)あんな速度が出るんですね」
「鍛えておるからな!」
「鍛えるとはいったい」
比較的被害の少なかった俺は御者席に座って馬車を引く山賊さんと談笑をしながらこの国についてを尋ねた。
「良い国だ。白魔法の研究や寺院が有名だが、山には幸多く、田畑の実りも多い。国民は陛下を慕い、陛下も民草を想って下さっている。豊かだからこそ心得違いをしている物もいるが・・・いや、すまぬな。旅人に語る事でもあるまい」
「なるほど。この国がお好きなんですねぇ」
「うむ!故郷ゆえな!」
朗らかに笑う山賊さんの髭面が眩しい。
故郷ってやっぱり特別なんですねぇ。故郷かぁ。米が食べたいってイメージしかねぇや。
「フィリオネル王子!」
「うむ、役目ご苦労!職務を果たしてくれ!」
「ハッ!どうぞお通りください!」
山賊さんに兵士が敬礼をかかげると、周囲に居た他の兵士も同様に山賊さんに敬礼を贈る。
なるほど、王子様だったわけか。そら着てるものが上等なわけ・・・・・・王子さま?
「えぇと。つかぬことをお伺いしますがお名前は何と言う方なんでっしゃろうか」
「ん?ああ!そういえば名乗っておらなんだな!ワシはフィリオネル=エル=ディ=セイルーン!このセイルーン王国の第一王子である!」
「」
すぐさま馬車馬の代わりを申し出ました。めっちゃ辛かったです。
セイルーン王国突入。けど話が始まってません(ぇ