誤字修正。ソフィア様、HAGI1210様ありがとうございます!
「ヨショせんせ~!あそんで!」
「はぁいよろこんでー!」
「喜んでじゃないでしょこの宿六!」
スパーン、とどこからか取り出したハリセンでエリスに叩かれる。痛い。
だけどエリスさん。こんなにも可愛いリナちゃんが笑顔で遊んでくれってせがむんだぞ。答えなければ男じゃないだろう?
「その無駄な男らしさは今度の相撲大会にでも取っておきなさいよ。町内代表なんでしょ?」
「デルグランに勝てる気がしないんで今のうちに男らしさを発揮しようかなって」
「女々しい」
「めめしい!」
二人の口撃にヨシオは倒れ付した。
あ、どうもこんにちは、気付いたら恋人持ちになっていたヨシオです。
知り合いにその旨報告した所に大半が「今更?」という反応だったので俺はとんだ鈍感野郎だったっぽいですね。
そう言えば鈍感野郎に定番のラキスケとかあったもんな。グレイシア姫、ルナちゃん、リナちゃん。後ろの二人はおしめも変えた事あるしな。
「それをスケベって考えてるなら脳みそ交換した方が良いわよ?」
「いや、だってヌンサが顔赤らめて『だ、大胆』とか言ってたけど」
「スケベする為にまず卵を求める種族の感性で話すんじゃない!」
スパーン、と小気味よい音が俺の頭から響いた。
恋人になってからこっち、エリスの反応というか対応が雑い気がする。前はもっとこう、言葉を選んでたような気がするんだけど。
まぁ二人きりの時は一杯甘えてくるんですがね(惚気)
「じゃーエリスせんせー!まほーおしえてー」
「はいはい。ちょっと待ってね。ほらヨシオ、荷物運びましょ」
「アラホラサッサー」
買い物袋を抱えて家の中に入る。
先生、というのは俺とエリスが近所の子供に勉強を教えているから自然とそう呼ばれるようになった。
あと、リナちゃんの場合ルナちゃんがそう呼んでるからってのもあるだろうな。
セイルーンが借り上げていたこの家を昨年エリスが購入して改装し、二階は住居兼事務所、一階は俺がデザインした学校の教室のような作りになっている。
まぁ、趣味で作った私塾みたいなものだがこれがかなり好評で近所の子供は殆ど通って来ている。
俺が教えているのは算数とか文字とか歴史とかなんだけど、どこでも役立つ数字の知識は兎も角として、セレンティア・シティで学んだような内容の歴史や文字の書き方は堅苦しくなってしまい余り子供には好評ではないようだ。
逆に大人とか近所の教会の人とかは結構熱心に話を聞きたがってくるんだけどね。
なんでも彼らの中では俺は「セレンティアの寺院で修行を積んだ学者」という設定らしい。
いや、いつも槍抱えてる戦士なんだけど。常在戦場の心持で授業中も槍背負ってるんだけどと言うと、ゼフィーリアではそんなに違和感がないから「あぁ・・・」とかうっすい反応を貰ってしまった。
やっぱこの国なんかおかしいわ(1日ぶり783回目)
さて、俺が文字や数学を教えて、同じく先生と呼ばれているエリスが何を教えているのかと言うと勿論魔法。
だけではなく・・・
「エリスせんせー!ヨッシくん1ごーがぷすぷすこげてるー!」
「はいはい。ちょっと修理するから詠唱中断。皆、変わりにヨシオが出るからちゃんと狙いなさい」
「エリスさーん!?」
町の傍に大きめに作ってもらった魔法練習場に子供の歓声と俺の悲鳴が木霊する。
魔法は覚えるだけでは意味がない。10代の頃にそれで苦労した経験を持つエリスはそう言って、実際に魔法を使いこなすための訓練を希望者につけている。
ゼフィーリアの人間は大なり小なり皆力を求める傾向にあるからこれが馬鹿ウケし、お陰でこの近隣ではエリスの名前と俺の名前はかなりの知名度を誇るようになってきた。
エリスは教師として、俺は動く的としてな!
あ、因みに名前で何となく分かると思うけどヨッシーくん1号は俺の死体を使って作られたフレッシュゴーレムです。
外観はでっかい鎧来た戦士に見えるけど一応ゼフィーリアの魔術協会にも登録してある魔術制御下のアンデッド扱いで、こういった雑用的なのを割り振られてます。
「ふぁいあーぼーる!」
「うん、狙いが甘い。フィニーちゃん、もっと相手の動く方向を確認してね!」
「フリーズ・アロー!」
「ウォルターくん、駄目だよ、そっちに撃ったら演習場を飛び越えちゃうでしょう?みんなもちゃんと狙いをつけて魔法を使ってね!」
「ふれあ・あろー!」
「うお、頭焦げた。リナちゃん、その調子!相手の動きに合わせて魔法を使うんだ!」
子供達が一列に並んで思い思いに魔法を放ってくる。
それらを避けたり、タマちゃんを使って叩き落したり、ちょっと頭を焦がしたりしながら捌いて行く。
何をしているのかと言うと、動く的ですね。
魔法は詠唱する必要がある以上、狙った瞬間に相手に当てるのが難しいため最初から相手が動くものだと。
止まった相手に当てるような簡単なものじゃないと訓練の時点で覚えさせているんですね。
えっ?子供にこんな危ない技術を教えて大丈夫なのかって?
ここゼフィーリアですよ?
ゴブリンが巣を作れば三日以内に消滅する確率が120%(一度滅んで20%の確率で生き残ったゴブリンが再度巣を作ろうとしまた狩られる)、ちょっとお高いけどドラゴンのステーキが街のレストランで気軽に食べられる国で、子供に簡単な護衛術を教えて何が問題なんですかね?
大体の人は飛んできたファイアーボールを叩き落として無力化したりするんだから心配するだけ損ってもんだ。
今魔法を使ってたウォルターくんなんか魔法使わない方が明らかに向いてるしね。
リナちゃんにちょっかいかけるためだけに魔法を覚えようとしている姿が微笑ましくてそのまま通わせてるけど、ルナちゃんと俺の稽古にも参加して来る位根性も体力もある子で、このまま育てばデルグラン辺りに紹介しても良いと思ってる。
そう、ルナちゃんとの稽古。5歳になり以前にも増して強力になった彼女との稽古役を不詳ヨシオ、毎日死ぬ思いでこなしています。
勿論ロディマス師匠と二人がかりじゃないと良い勝負も出来ないけどね!ロイドさんが加わったらようやく優勢になれる位かな。
因みにロイドさんとロディマス師匠なら二人で互角にもって行ける。強い。
でもこの二人、少なくともこのゼフィーリアでも100本の指に入るだろう強者なんだけど、その二人が同時にかかってようやく互角になる5歳児というね。
パワーワードすぎて初耳の人は大体こちらの正気を疑うまでがデフォだ。ロディマス師匠は相撲の関係もあってゼフィーリアでも有名人だしね。
俺1人だと10合位槍を合わせたら大体衝撃をいなせなくて「ヨシオくん、ぶっとばされたぁ~!」になる。良い訓練になってるのは間違いないけど、5歳児にぽんぽんぶっ飛ばされるおっさんというのもやはり悔しいもんだ。
「ルナ相手に悔しがれるお前は、やっぱり戦士向きだよ」
「いやぁ・・・ロイドさんに言われると何とも。現役バリバリで通用するんじゃないです?」
身体能力的には俺とそんなに変わらないはずなのにルナちゃんの力をいなして捌けるロイドさんに言われてもなぁ。
と言外に伝えると苦笑が帰ってきた。
「俺は唯小器用なだけだからなぁ・・・それを言うならロディマスさんみたいに弾き返すあの技術の方がよっぽどすげーよ」
「あれどうやってるんだろう・・・ルナちゃん、笑顔でドラゴンを引きずる力持ちなのに」
近所のレストランが土中で毒抜きしたドラゴンを持ち上げられず四苦八苦していた折、ルナちゃんが片手で引きずり出したときは腰が抜けるかと思った。
そしてそのルナちゃんの棍棒の一撃を鉄の盾で弾き返したロディマス師匠というね。
腰が抜けるどころか目が飛び出ると思ったわ。ルナちゃんも驚いて攻撃止めてたし。
何でもフィリオネル王子との力比べを何度もしている内に激流の制し方を学んだらしい。どこの暗殺拳法を習ったんだろうか。
・・・今度教えてもらおう。
「ヨショせんせー!お父さーん!」
「パパー!せんせー!」
川原で釣りをしていた俺達の元へ話に上がっていたルナちゃんとリナちゃんが駆け寄ってくる。
手元には花でつくった冠が。おおおおおおこれはもしや!
「はい、パパどーぞ!」
「どーぞ!」
「って両方ロイドさんかーい!」
ロイドさんに駆け寄って花冠を頭に載せる二人につい天を仰ぐと、ケラケラと姉妹に笑われてしまった。
うむ。くぁわいいから許しちゃう。
「あ、釣りしてるの?ルナもやる!」
「つりってなーに?」
ひょい、っとロイドさんの組んだ膝の上に陣取るルナちゃんと、脇からロイドさんに抱きつき様子を伺うリナちゃん。
あ。これなんか見覚えがあるぞ。
ルナちゃんが川辺に来た瞬間にロイドさんが釣り針を垂らしている周囲がバシャバシャとなり始める。
大人陣、無言の苦笑である。
そういえばヌンサの奴、さっき家賃の魚取りに行くって出てってたっけか(フラグ)
ロイドさんからルナちゃんが釣竿を受け取った瞬間に大きく軋む釣竿。
子供達が「おおっ」とか喜ぶ中苦笑続行中の大人たちを尻目にルナちゃんが大きく釣竿を引き。
「じゃ、じゃじゃーん!」
「ラハニム邪魔!ヌンサが選ばれた!」
「ヌン・・・いや、誰?」
ヌンサと微妙に背びれの違う魚人の登場に困惑の表情を浮かべる大人たちと楽しそうな子供達。
またインバース雑貨店の前が混沌に満ちる事になりそうだな。
L様:ヌンサ味のアイスが以外に美味しくてちょっと悔しい
部下S:今度ちょっと違ったバージョンも出るらしいですよ。ラハニム味だとか
L様:・・・・・・ラハニム?
部下S:ラハニム。