次回は金曜か土曜になりそうです。
誤字修正:N2様、ありがとうございました!
テイク54
「・・・・・・ここに、ヨシオ殿の名誉を回復し騎士爵に任じます」
「ははぁ〜あ〜り〜が〜と〜お〜ご〜ざ〜り〜ま〜す〜」
「・・・普通でいいぞ、ヨシオ殿」
あ、はい。
どうもこんにちは。我こそはディルス王国騎士ヨシオなる者で候。あかんな、名乗りが出来ない。
何をしてるのかというと、騎士に任じられたのでちょっと戻ってこいと【何故か】ディルス王国から連絡が来たので、ロディマス師匠に引き摺られてディルス王国はガイリア・シティにやって来たのです。
10年ぶり位かな?思えば遠くへ来たものだ。
今回の旅ではちょいとエリスも一緒に。ディルス王国に居るというご両親に挨拶に行く予定です。
うん、まぁ。ね?
お父さんに殴られに行くんだ。言わせんな恥ずかしい。
「という訳でこの後もイベントが目白押しなんでそろそろお暇したいんですが」
「まぁ、待ちたまえ」
「もうちょっと座っとけや」
クォルト様・・・ディルス三世陛下とガーヴ、軍の担当としてコードウェル将軍にロディマス師匠・・・見事にむさい構成だ。
今から墓穴に入りに行く奴にまだ猶予を与えてくれるとは何て優しい奴ら・・・じゃねぇよ!こっちはさっさと可愛い嫁(予定)と娘(他人の)と合流してディルス王国を一巡り観光して帰りたいんだよ!
目の保養にも心の保養にもならない陰謀話なんざ一般ピーポーの俺が知らない所でやってくれ。
大体、俺の役目は引き合わせるだけで完了でよかでしょうに・・・
「まぁ、言うな。向こうもこっちも互いに信用も信頼もしていないからな。お前が居なくなると互いの言葉に疑心暗鬼になっちまうんだ」
「うむ。まぁ、我々は貴殿からの恩もそうだが、ロディマスを信じて、という物になるが・・・」
「すまぬ。我々も何ゆえ10年前の事がある。どちらの事情も知っている貴殿が居ないと話が始まらんのだ」
「ヨシオ、エリスにはワシからも頭を下げる。すまんが・・・」
全員が一様に申し訳なさそうな顔でそう言ってくる。そう言う風に頼まれたりすると、座るしかないじゃないか・・・
しょうがなくすわり心地と見た目だけは豪華な椅子に座り直して出された茶をしばく。あ、良い匂い。後で何使ってるか教えてもらおう。
その様子に余計な口出しはしない、という風に受け取ってくれたのか。
コードウェル将軍は慎重な口調でガーヴに話しかけた。
「して、件の魔族・・・冥王が我らが先代、ディルス二世陛下の仇であるとの事だが」
「実行犯かどうかは俺も知らねぇ。何せ奴らと袂を分かってから千年近く立ってるからな。だが、指示を出したのがフィブリゾの野郎である事は間違いない。だろう?ロディマスさんよ」
「・・・・・・ヨシオの槍を目当てに近づいてきた魔族、ゼロスと名乗る者の情報ですが・・・ワシは間違いないと思っております」
「ゼロスってのは獣王ゼラス=メタリオムの腹心でな。奴は本当の事を中々語らないが嘘だけはつかん。最も、俺の情報をどこまで信用するかはそっちの勝手だが」
「・・・・・・いや、信じよう。貴殿の境遇は聞いている。その上で、嘘をつく意味の無い情報だろう」
うーん、ハーブティーなのは間違いないけど・・・恐らく3種類位アクセントに混ぜられてる気がする。
ヤバイぞ、ついいつもの料理人思考になってきてしまった。
後で厨房を覗かせて貰えないだろうか。
「へぇ、決断が早いじゃねぇか。英断王の息子はまたって奴か?」
「まだまだ父には遠く及んでいないよ。10年経って、ようやくその事が理解できた・・・・・・故に冥王を許す事はできん」
「・・・・・・陛下。私は陛下の決断に従います」
「うむ。ガーヴ殿、貴殿の提案、是非前向きに検討させてもらおう。しかし、我々は10年前に彼奴等に敗北した痛手からようやく立ち直ってきた所。余り役に立つとは思えぬが・・・」
「いや、あんた等がこっちにつけばその分だけ俺の手下も動きやすくなるからな。連絡役に一体置かせてもらいたいんだが・・・」
厨房といえば先ほどの晩餐会。見た事のない牛肉料理があったな。香辛料は余り使われてなかったけどピリッとした辛味が特徴的だった。
唐辛子ではないし、わさびとも違う。ううむ、そう考えるともっとしっかり食べればよかった。
ずっとエリスの事で頭が一杯だったからそこまで頭が回らなかったんだ。結局挨拶の言葉は『娘は貰うぜ!』に決定した。
「という事でよろしいかなヨシオ殿」
「あ、はい。え?」
「よし、じゃあここに人魔共同による対冥王同盟の締結だ。セイルーンはロディマスが、ゼフィーリアはヨシオが担当してくれ」
ガーヴの宣言に一同は力強く頷き握手を交わした。
・・・・・・・・・えぇ?
「この、馬鹿!」
「ごめん、エリス、そこ殴られた後だからちょっと優しく、ああ!」
訳も分からず変な組織の構成員にされた事をエリスに話すと結構ガチ目な強さで頬を叩かれた。
あの、そっちはさっきお義父さんに叩かれた方・・・あ、はいごめんなさい。
「ヨショ先生、エリスお姉ちゃんの言う通りだよ。弱いのに無茶しやがって・・・」
「ルナちゅわああん!先生そんな言葉遣いあ、エリスさんちょまっ」
「あんたの影響でしょうが!」
ピシッと敬礼までしているルナちゃんに思わず涙を流しそうになるが別の意味で涙を流す羽目になった。
エリスさん、その右、世界狙えるぜ・・・ぐふっ
いや、ね。子供の頃からルナちゃんが近くに居るせいで素の状態の受け答えとかも聞かれてたみたいで・・・・・・
ルナちゃんが結構偏ったネットスラングを覚えてしまって・・・・・・思わず一度昇天してしまうほどショックを受けた。
天使の笑顔を浮かべながら「ちょwwwまwww」とか言われた時はもう一回自殺した。
あ、俺が死亡しても復活する体質だというのはガーヴがゼフィーリアに来た際、ルナちゃん含めインバース一家と師匠には伝えてあります。
拒絶されるかな、と思ってたけど割りと「あ、そう。ふーん」位の反応でこっちが拍子抜けする羽目になった。
むしろ長年の槍とのあれこれとかで実は無機物に話しかける系の異常を持ってるのかと思ってたらしく、合わせてタマちゃんの事を説明した時の方が驚かれました。
あの、つまり俺は5,6年の間可愛そうな人扱い・・・・・・いえ、何でもないです。
今までよく娘さんを預けてくれてたな、と感謝してます。はい。
「と、ところでルナちゅあん、よーじはおわっふぁの?」
「ヨショ先生、アソパソマソみたい。うん、見てきたよ!」
今回ルナちゃんが一緒なのは例の近くに居ないと~的な縛りもあるが、何でも以前から
クレアバイブル?って名前らしいんだが。国から出せないとはどんだけ貴重な古文書なんだろうか。
あ、アソパソマソは情操教育の一環として紙芝居形式で子供達に教えてます。近所に住むウォルター君はアソパソチがとても上手でこないだレンガを砕いていたなぁ。
その暴力を友達には向けないようしっかり教育しないとね。
「・・・・・・はぁ。まぁ、あんたに言ってももうしょうがないか。冥王の存在は私も目障りだし、旦那の手綱を握るのも妻の役目よね」
「あの、それはどちらかというと飼い主というか」
「お手」
「わん!・・・・・・はっ!?」
しまった!つい、いつもの癖が!
ルナちゃんがおなかを抱えて転げまわっている。そんな笑い方ははしたないですよ!?
エリスさん、何て事を、何て事をしてくれたんや・・・・・・尊敬される先生の像がボドボドになってしまった。
「無茶しないで良いわよ。一緒に頑張りましょう」
「あ、うん。ありがとう」
なでなでと頭を撫でられてつい頷いてしまった。
ヤバい、これは順調に飼い慣らされているのではないだろうか。
あ、でもまぁ幸せなのか。幸せだな。幸せだわ。
今日は難しい事は気にせずに三人並んで寝ようか。うん。
部下S:ひ、酷い目にあった
L様:あ、お父さん元気になったのね!ムスコたんが心配してるわよ?
部下S:ぐはああああああ!(ピチューン)
L様:(お腹を抱えて転げまわる)
愉悦神父:親子愛という物はいつ見ても美しいものだ。君もそう思わないか?
ヨシオ:そっすね