引っ越しや転職などの為時間が取れず暫く更新が出来そうにありません。
なので今のウチに投稿します()
黒い外套を羽織った男だった。見る者が見れば精悍な、整っているとは言えないが漢らしい顔立ちのその男は、しかし気の抜けたぼぅっとした表情を浮かべながら、周囲を見回すようにゆっくりと歩いていた。
身の丈を超える大きな黒槍を携えるその男の姿は、外道沿いにある宿場町とはいえこのマリルの町でも珍しい姿だ。恐らく旅の者だろうが、厄介事というものは大概が余所者が齎すものだ。町の者は少し探るような視線で、男の姿を視界の端に収めながら小さな声で周囲の顔見知りと話始める。
「もし、そこなお方」
そんな少し普段とは違った空気を切り裂く様に、男に話しかける人物が居た。身の丈六尺を優に超える大柄な老人だ。悪目立ちする外套の男に気を取られていたせいだろう。その男の存在に今やっと気づいた街の者の一人が、「ロクシタン師範!?」と小さく叫び声をあげた。
外套の男は兎も角、その男性は町の人間にとっても見知った人物であったのだ。かつて栄えたベゼルドの町で、剣術道場を営んでいた男だ。かつては王宮で剣術師範をしていた人物で、先代の公王の崩御に合わせて役目を辞退し故郷で剣術道場を開いたのが十数年前の話。
オリハルコン鉱山が廃坑になり、ベゼルドの町が廃れた後も変わらず近隣の名士として名の通った人物である。
「……」
ロクシタンの言葉に男はぼぉっとした表情のまま足を止めて、ゆっくりと振り返る。振り返る際に外套の隙間から見えた腕は、分厚く、力強い。その表情からは読み取れない思わぬ力強さに多少なりとも武の心得のある者が息を飲む中、ロクシタンは好々爺といった表情を浮かべたまま小さく頷いた。
「ディルス流槍術、ロディマス門下の黒槍だね。噂に違わぬ……いや、噂以上に見事な槍だ」
「……失礼ですが」
「君に、恨みはない。ただ、その魔槍タマーチャを王都に行かせるわけにはいかないのだ」
誰何を行おうとした外套の男……黒槍と呼ばれた男の言葉に小さく首を横に振って、己の腰に佩く剣に手をかける。にわかに周囲が騒めく中、騒ぎを聞きつけたのだろう警邏の騎士らしき男が集まり始めた民衆を押しのけて大声を張り上げた。
「ええ、静まれぃ! ロクシタン殿ともあろう方が、これはどういった仕儀であるか!」
「立ち合いである。咎めは後程、如何様にでもなされませ」
「……ならば良し、見定めは騎士オーディルの名のもとに行おう。存分に仕合われませぃ!」
「忝い」
警邏の騎士がロクシタンの言葉に大仰な動作で頷きを返す。審判役でも務めるつもりなのか、少し離れた所に立ち鷲のように眼を見開いて二人を見る。その姿にペコリ、とロクシタンは頭を下げて、愛剣を抜き放つ。その姿に、民衆はおぉ、と小さく唸り声をあげる。
ロクシタンの剣はオリハルコンを使用したと実しやかに呼ばれている魔剣だった。その刀身は淡い緑の魔力光を持ち、どれだけ斬っても刃こぼれも起きないと言われている。だが、その剣を抜き放つことはベゼルドに戻ってからは一度もなかったと言われている。
それが、抜いた。どこの誰とも分からぬ男を相手に。ディルス流の黒槍。それほどの相手だとでもいうのか。
周囲の観衆の期待度が上がり続ける中。対峙する外套の男は表情一つ変えずに肩にかけた槍に手を伸ばし、小さく一言、呟いた。
「……何だこれ?」
どうも、遅くなってすみません。ディルス流の黒槍ことヨシオです。いやぁロクシタンさんは強敵でしたね。
立ち合いは勝てましたよ? いや、あの人実力的にはロディマス師匠とかと同格な感じがしたんではっきり格上だったんですがね。流石に病を患ったお爺さんに力負けするほど弱くはないとです。
まぁ最初はかなり押されてたんですが、途中から明らかに体の動きが鈍って最後には血まで吐いてたからね。その状態でまだ戦おうとしてきたあの執念は凄まじかったけど体が気持ちに追いついていなかった。彼にも曲げられない何かがあったんだろう。
まぁ、どういった思いであの場に立ったかは知らないけど、仕合である以上加減なんかするのは侮辱に等しい。しかも相手は格上だ。俺ごときが手を抜いてはあの人を侮辱する事になってしまうから、問答無用でそのまま優勢を保ったまま勝ちに持っていきました。ルナちゃんって圧倒的な相手との戦闘経験が無ければ、恐らく序盤で攻め切られてたろうな。耐えるのは得意なんだ、悲しい事に。
ロクシタンさんの命は取ってません。剣を弾き飛ばして、「勝者としての願いです。余生を穏やかに」とかそれっぽい事を言ってそのまま街を立ち去りました。逃げたとも言う。多分あれ騎士さんもグルですわ。普通街中で立ち合い許可とかやるわけないって。
「グルというか門弟の一人らしいですよ。師の頼みを断れなくて、仕方なくという非常に悲しいお話が」
「成程。妙に芝居っぽいと思ったら。やあゼロス君。最近よく見かけるね」
「前回はそちらが無理やり呼び出した覚えがありますが。まだ本体治ってないんですからね?」
「その件については悪いと思ってるけど次同じ事があったらまたやる」
ガチ目のトーンで返されたのでガチ目のトーンで返すと両手を上げて降参、といった仕草を見せる。この偽神官、こういう茶目っ気たっぷりの仕草が出来るのが、本当に怖いわ。人間の感性を理解できるだけの知性を持った怪物。とんでもなく厄介な相手なんだろうね、敵対した人達からみたら。
俺は、彼とは敵とは言えないからなぁ。というか個人的に絶殺リスト入りしてる冥王以外は、正直魔族とかどうでもいいんだよね。俺の周囲さえ荒らさないなら。ディルスやセイルーンを滅ぼそうとかされない限りは邪魔する気もない。
その辺りをゼロス君は良く分かってるから俺を放置している。ちょいと特殊とは言え俺は人間で、俺が関われる範囲なんて一時代の一地方くらいだからな。やる事も相手しないといけない奴も多いんだから、いよいよ滅びを迎えるとかいう瀬戸際まで放置しとけばいいとか思ってそうだ。
「所で事情を知って居そうなゼロス君。さっきの茶番はあれなんだったわけ? ロクシタンさん、明らかに途中から相打ち覚悟って気合だったんだけど」
「ああ、あれはですねぇ」
「誰かから頼まれたんだろうが、それの相手が知りたい。答えられる?」
笑顔で話し始めようとしたゼロスに向かって言葉を続ける。まぁ、疑う訳ではないが変に煙に巻かれるのも時間の無駄だし、今回ははっきり確証が欲しい案件だからな。
先程の立ち合い。後半、押され出してからの剣筋が明らかに相打ち覚悟の踏み込みの深さだった。互いに真剣、魔法があるとはいえ一撃で致命傷を受ければ間に合わない可能性の方が高い。それに彼は食うに困って人を襲うような、そんな人種の人ではなかった。ああいった人が自分の命を投げ捨ててまで勝負にかかるというのは、並大抵のことじゃあない。
金や名誉ではない。なら、恐らくは……人。誰かの為に、ロクシタンという達人は命をかけたのだろう。
それが忠義か恩かは分からないが、恐らく間違いはないだろう。答えを求めてゼロスの方へ視線を向けると、偽神官は面白い物をみた、と言わんばかりに細く目を開いてこちらを見る。ああ、どうやら図星のようだな。
「一見馬鹿そうに見えて、こういう所があるから貴方は面白い」
「タマちゃ」
「すみませんすみません! 答えますから勘弁してください」
真っ向から罵倒とは中々肝の座った魔族である。気に入った、と久しぶりにタマちゃんの全力を出そうとすると慌てたようにぺこぺことゼロスが頭を下げる。その堂に入った頭の下げ方に思わず中間管理職の悲哀という文字を思い出してそっとタマチャンから手を離す。
どうせ馬鹿そうに見えるなんてのは良く言われる事だしエリスには一日一回言われてるからね。いいよ、いいんだ別に。でもエリスのはちょっと甘えを含んだげふんげふん。嫁さん自慢は兎も角、ゼロスは非常に重要な名前を口に出した。
カルマート公国、第一王位継承者。エルトリア王子。
……彼が今回の騒動の中心にして、ロクシタンという老人が命をかけた相手だという。
近年、老いた国王に代わって彼が政務を取り仕切る事が多くなっているとは、事前情報として知っていた。だが、そんな政治の要が魔族の影響を受けているというのは、隣接しているセイルーン、ディルス、ゼフィーリアにとって非常に不味い事態と言えるだろう。
正直な話このまま回れ右して帰っても許される情報だったのだが、俺としては直接会って見極めたいというのが本音だ。ここで引き返せば次は間違いなく戦争になる。最後通牒はまだ早いだろう。本来なら知らせに走るべき所である。それは理解しているのだけどね。
ただ、今の俺はどうやら、槍を交えた相手の情念に引っ張られてしまっているらしい。せめて、人物を目で見るまでは判断を伸ばしたいと、その名前を聞いた時にそう思ってしまったのだ。
どうにも、やはり。自分には宮仕えは性に合わないのだろうなぁと思いながら、空を仰ぐ。もう日は上り切り、そろそろ山に向かって沈みだす頃合いだろうか。夕刻までにどこか休める場所を探さないとな。
黒い外套を羽織った男だった。見る者が見れば精悍な、整っているとは言えないが漢らしい顔立ちのその男は、しかし気の抜けたぼぅっとした表情を浮かべながら、周囲を見回すようにゆっくりと歩いていた。
「もし、そこなお人」
そんな男に声をかける一人の男。筋骨隆々とした立派な体格のその男は、声をかけられて振り返った男にニヤリと笑みを向けて自らの名を名乗る。
「ディルス流槍術、黒槍とお見受けする。カマーセ流拳闘術、ドーベル。仕合を申し込む。ロクシタン殿を倒した貴殿が、よもや断りはすまいな」
その名乗りに周囲がざわつく中、呼び止められた黒槍を背負った男、ヨシオは目を瞬かせながら背に背負った相棒に手を伸ばす。
何だこの既視感、と小さく呟きながら構えるヨシオと、ドーベルと名乗った拳闘家は往来の真中で対峙し、そしてぶつかり合う。
後にこのカルマート有数の武芸者達によって彩られた七度にも渡る大勝負は、カルマート七番勝負・黒槍道中譚と呼ばれ講談の元となった。
彼らは何れも国内に名を轟かせた剛の者達であり彼らと対峙し名勝負を繰り広げた黒槍のヨショの名を一躍国内外に広めるきっかけとなるのだが、黒槍の思惑を一切無視してこの勝負が行われたことを知る者は殆どいないという……
ちょっと急ぎ気味に書いてしまい申し訳ない。次辺りで王都についてるとおもいます(願望)
L様:結局の所あれよね。アンタには足りないものがあるから何か下の連中がわーぎゃーやってんのよね
部下S:は。あ、あの。それはカリスマとか、実力とかでしょうか。
L様:速さが足りない。
部下S:まさかのステータス!?
L様:しょうがないから優しい私が鍛えてあげるわ。ほら、チ〇リオ買ってきて。五秒ね
部下S:自販機のある世界までどれだけあるとあ、いえ文句じゃなぎゃああああ!!
ヨシオ:ジャングルマン久しぶりに飲みたいなぁ