部下S:寂しがりやで嫉妬深い。あ・・・いやなんでもないですほんとすみませんちょその鎌はあああああ!
(誤字修正。あまにた様ありがとうございました!)
さぁてお仕事お仕事。
今の俺はこの旅で使ったお金を補充するためにギルドの仕事を延々とこなすマッスィーンだ。
意外と採集依頼とかゴブリン退治とか残ってるんだよなぁ。ゴブリン死すべき慈悲はない。
未だにゴブリンだけは必ず殺さないとって体が動いちまう。これもある意味呪いなのかもしれない。
そんなこんなでセレンティア・シティでも順調に仕事をこなしながら、俺は色んな寺院での説法を聞いて回っていた。
正直この世界の神話って面白い。実際に神も魔もいるもんだから歴史の授業を聞いているようなものだ。学校ってこんな感じなのかもね。
最近のお気に入りは子供と混じって水竜王の分院でお話しを聞く事だ。ついでにこの世界の文字も習っている・・・こちらは有料で。
いや、ね。師匠からも色々手習いは受けてるんだけど基本的な学問とかになると、師匠結構大雑把であんまり詳しく教えてくれないんだよね。
数学とかは前の世界の方が教育は発展しているみたいで、数字さえ覚えれば何とかなったんだけど文字に関しては根気良く覚えていくしかない。
魔法の勉強も興味があるから、是非使ってみたいんだけどね。文字が分からないとそもそも学ぶことが出来ない。
という訳で一番流行っていなかった水竜王を祭る分院にそそっと入り込んでお願いしてみたところそこそこお金を取られたが歴史と文字の勉強を見てもらう事に成功。あと、イケそうなら魔法も習ってみようと思う。
やっぱ、ロマンじゃん魔法って。あ、もちろんタマちゃんが一番だからこれは浮気とかじゃなくあ”あ”
テイク19
久しぶりにあった金髪の姉ちゃんに良い感じだって褒められました。ありがとうございます。
とりあえず姉ちゃん的には死んだらささっと自分の所に戻ってきてくれたほうが嬉しいそうなんで、次回もあんなの見たら優先で自分の所に送れとの事。
了承の意味を込めて「アラホラサッサー」と叫ぶと部下Sさんに影響されなくて良いと。何故だ・・・叫びやすいのに。
取り合えず残っていた遺体が誰かに見つかる前にタマちゃんに証拠隠滅してもらう。ごめんねタマちゃん、君をないがしろにしているわけじゃないんだ。ただ、分かるだろ?
魔法を使う戦士はとてもカッコいい。とてもカッコいい戦士の獲物はもっとカッコいいんだよ!全てタマちゃんを上手く扱うための修行なんだ!
と必死にタマちゃんのご機嫌取りを行い、ジュースを一樽ほど捧げたらようやく機嫌を直してくれた模様。ふぅ、出費が増えるがかわいい子にはお金がかかるからね。しょうがないね。
槍に向かって必死に愛のささやきを繰り返す俺に神官さんがちょっと引き気味だが、余計な事はしないほうがいい。命が惜しいだろう(ガチ)
一生懸命な俺の言葉が響いたのか、その後暫く誰も話しかけてこなくなった。というかそれ以降も話してくれなくなった。解せぬ・・・・・・
「いや、そこは解しましょうよ」
「せやろか」
「どこの方言です?」
「ごめん、ちょっと穴掘って埋まってくるわ」
ネタを外した時特有の居た堪れなさに襲われた俺はその場から逃げ出そうとしたが回りこまれてしまった。
うん、ケレス君。素晴らしい足腰だ。割と鍛えている俺の逃げ足を上回るとは・・・・・・良い足してんな、天辺狙おうぜ。
「そういうのどうでも良いんで早く算数を教えてください」
「アラホラサッサー」
了承の意を込めて言って見たが更に胡乱な視線を向けられたため目を逸らす。この子若いけどかなりしっかりしてる。おっさん恥ずかしい。
まぁ若いどころかケレス君10にも満たないんだがな!
神官さんの息子らしいんだが非常に頭の良い子で、「今のままではいけない。水竜王様を祭るこの神殿を廃れさせるわけにはいかないんです!」と俺みたいな文字も知らない怪しい奴を引っ張り込んで熱弁。
思わず絆されてしまい話を聞いてみたら、学校のような形で平民や貧民の子供達に教育を与えて水竜王神殿のイメージをアップ。
合わせて信徒の獲得に繋げる、というような方策を次々言い出してくる。この年で草の根運動を起こすとはたまげたなぁ・・・・・・
神殿側もこの才子の運動に活路を見出しているらしく、余力こそないが全力でバックアップを行っているらしい。
で。結局俺に何を求めているのかを聞いた所、根無し草の俺が生活できている冒険者としての生き方をレクチャーして欲しいとの事。
そもそも衣食住足りて人は礼節を知る。その内衣と住は神殿側・・・・・・というかケレス君が何とかできるらしい。すげぇな少年。
後は食。作る人員は居ても金がないのが弱小宗派の悲しい所。食事をせめて最低限でも。昼食だけでも寺院から出せれば学びに来る人員も増える。
という訳で何とか旅での食糧確保の方法や薬草の見分け方などを教えて欲しい。
無論、今まで金を取って学んでいた文字の習得や文庫の閲覧は無料。食事は余り出せないが寝床も用意してくれるとの事。
しかも拘束期間も文字を覚えるまでという破格の待遇である。
ここまで聞いて手助けしないなんて男じゃないよな(断定)
という訳で宿に戻って事情を説明。
ゼロスさんは丁度用事に出ないといけないとの事で居なかった為ロディマス師匠とエリスさんに暫くそっちを手伝うと告げると、ロディマス師匠もエリスさんも手伝ってくれるとの事。
ロディマス師匠はケレス君の志に感銘を受けたみたいだけど、エリスさんは多分文庫読み放題という言葉に釣られたんだろうな。
本人にそれを伝えたら割とガチ目で殴られたけど。
「そりゃ当たり前でしょ」
「でもねケレス君。彼女は修行の旅の途中だからさ。余り邪魔したくないんだよなぁ。後それ猛毒ね」
「うわぁ!」
悲鳴を上げて飛びのくケレス君に触っただけじゃ何もないよーと声をかけ、プチプチと薬草をむしる。
近隣の森に、俺たちは子供を引き連れて薬草を取りに来ている。この辺りは大型の魔物や凶暴な魔物も少ない為、戦士二人でも護衛が可能だ。
皆で一塊になって薬草がどこに生えているか、どれが薬草なのかを教えて回る。子供を見るのは結構大変だ。
さて、教材はこんなものだろう。
「じゃぁ数えようか。皆!手元に薬草は何個ある?」
「えーと、12!」
「俺8!」
「残念。それは9個だ。もう一回、1から数えてごらん」
口々に子供達が手に持った薬草を数えていく。
集めた薬草を自分で数えさせる。単純な足し算と引き算を実物を使って教え込む。
予算的に紙やペンを使って教えるのが難しいそうなので、なら物を使って数字に慣れさせていけばいい、とケレス君に提案して授業を行ってみたのだが。集めた薬草を自分の物にしてもいいという事もあって毎回結構な人数が参加してくれている。
ある程度の数の足し算と引き算が出来たら、次は砂を箱につめてそこに棒を使って数字を書き込み計算を覚えさせる予定だ。
学校には碌に通ったことがないけど、こんな感じだったのかね。前の世界でも経験しておけばよかったなぁ。
「おおぃ、スープが出来たぞぉー」
エプロンを付けたロディマス師匠がウサギの肉を刻んで入れ、ハーブなどで味付けしたスープをもって声をかけてきた。
森に入るときに毎回何かしらの獲物を取っており、それをロディマス師匠が軍隊仕込の野戦料理で仕上げてくれるのだが意外とこれがイケる。
食事と聞いて目の色を変える子供達に行儀よくしなさいと叱りながら、俺たちは森の中で腰を下ろして食事を楽しんだ。
教師って意外と面白いなぁ。暫くは勉強の傍ら頑張ろう。
ケレス君:後の大神官になるかもしれないしならないかもしれない才子。熱意があり、今の現状を変えなければいけないと思っているが周囲の動きの遅さについつい愚痴が多くなっている。