【完結】スレイヤーズ リポップ!   作:ぱちぱち

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L様:前回のヨシオの活躍は面白かったわね!ついサービスしちゃった♪
部下S:あの、L様。毎回ああいう風に復活させるほうが楽なのでは?
L様:だめよ。ああいう再生的なのはね。死んだって感じが無さ過ぎて風情が無いわ。
部下S:風情でやってたんですね・・・・・・


少年との別れ

旅立ちの時が来た。ついつい居心地が良すぎて1年も居座っちまったからなぁ。

セレンティア・シティでの日常は俺に足りなかったこの世界での常識・・・文字や歴史、国の成り立ちといった物を学ぶ良い機会だった。それまでロディマス師匠の語る神話やディルス王国の話でしか知ることが出来なかった世界についての穴あきだった知識を、一気に埋めることが出来た。

随分お世話になってしまったねぇケレス君。

 

 

「こちらこそ・・・本当にお世話になりました。ヨシオさんのお陰で、僕達も前に進むことが出来ました」

 

「いやぁ、君は何だかんだで機会があれば自分で進めていたと思うよ?」

 

「それでも、その機会が早いに越した事はありません。あの、本当に行ってしまうんですか?」

 

「うん。元々文字やある程度の知識を手に入れたら旅立つ予定だったからね・・・・・・これ以上居たら居心地が良すぎて足に根が生えそうだ」

 

「生やしても良いんですよ?ヨシオさんならうちの神殿騎士にだって」

 

「んー、魅力的な提案だけど。世界を見て回りたいんだ。ごめん」

 

 

俺はそう言って笑顔を浮かべる。

ケレス君は、本当に残念そうな顔で、でも分かっていたのか諦めが付いたのか。

苦笑を浮かべて右手を差し出してきた。

右手を差し出し、握手を交わす。

 

 

「達者で暮らせよー」

 

「そちらこそ。良い旅路を。また、お会いしましょう!」

 

 

ケレス君は見えなくなるまで手を振ってくれていた。おじさん、ちょっと泣きそうだぜ。

 

 

「このままあそこに居座るのも良いかなーと思ってたんだけどね?」

 

 

エリスがそう言って俺を見る。そういうエリスもセレンティア・シティの魔道士協会からかなり惜しまれていた模様で、手を振って見送る男達の姿が印象的だった。

まぁ、美人さんだしね。モテるのはしょうがないけど。何か半分位女性だったのはあれなんだったのか。「お姉さまぁ」ってリアルで聞く事になるとは思わなかった。

 

 

「いやぁ。あそこはとても良い所だけど、腰を据えるにはちょっと良い所過ぎるかなぁ。エリスこそ良かったの?あそこの協会とはかなり良い付き合いが出来てたんでしょ?」

 

「・・・・・・言わないで頂戴。もう忘れたいんだから」

 

「あ、はい」

 

 

何があったのか聞くのが怖いのでこの話題はここで打ち止めだな。うん。

 

 

「で、次はどこに向かうんですか?」

 

「お久しぶりですねゼロス君。最近どうしてたん?」

 

「いやぁ・・・・・・・・・・・・・・・聞かないで、くれませんか?」

 

「お、おう。何か大変そうね」

 

「誰のせいだと思ってるんですかねぇ」

 

 

言葉の端に怒気が篭っているのでこの話題も止め、止め。

しかしどうしたものか。会話をする度に地雷が増えていく。こういう時こそ!

ロディマス師匠!オナシャス!

 

 

「やかましい。ピーチクさえずる暇があれば小走りでもしとれ。速度はわしらの歩く速度にあわせるように」

 

「それめちゃキツなんでもありません」

 

 

師匠が剣に手をかけた瞬間に小走りを開始。これちょっと本気で苛立ってる時の反応だわ。

そういえば最近聞いた事ある。沈黙は銀って言うんだぜ。

つまりおしゃべりな俺は鉄以下ってわけだ。悔しいのう。

 

 

 

よっ、はっ、と駆け足をしながらゆっくり前に移動するヨシオを前に見ながら、ロディマスはゼロスの隣に歩み寄る。

自分に用事があることに気づいたのか歩調を合わせてゼロスはロディマスが並ぶのを待った。

 

 

「神官殿。いやさどこぞの魔族さんよぉ。ちと聞きたい事がある」

 

「・・・・・・おやおや。バレるようなへまはしてないつもりだったんですが」

 

「ヨシオの態度。そして寺院の結界といった所か。我が弟子ながらあれの素直さは筋金入りだ。隠し事が出来る奴ではないぞ」

 

「・・・・・・一辺ボコっても私許されますよねぇ?」

 

「その時は手伝ってもいい。直せと言っても直らんからな。体に教え込むしかあるまい」

 

 

同時にゼロスとロディマスはため息をついた。

二人にため息を付かせた人物はというと、背後からちょっかいをかけるエリスと楽しそうに遊んでいる。あそこまで露骨な態度を取られてまるで気づかない辺り嬢ちゃんも報われんなぁ。

 

 

「それで、私が魔族だと知って元近衛騎士殿はどうなさるおつもりで?ああ、貴方の王を肉塊に変えた下手人は私ではありませんよ」

 

「そうか。もし王の仇であるなら刺し違えてでも一矢報いるつもりだったが。俺も知り合いに剣を向けずにすんでよかった」

 

「一矢、報いれると思ったんです?」

 

「セレンティアで俺が何もしていなかったと思うのか?」

 

 

静かに殺意を向け合いながら、無言の応酬が始まった。ゼロスは打算を。ロディマスは決死の覚悟を視線に乗せて相手を見る。

数分の沈黙の後、先にため息を付いたのはゼロスだった。

 

 

「ここで殺したらまずヨシオさんとエリスさんが敵に回りますか。エリスさんは兎も角ヨシオさんを敵に回すのは主命に反しますから、見逃してあげますよ」

 

「そうか。どうやら命拾いしたらしいな。では俺の質問に答えられる範囲で答えて貰ってもいいかな?神官殿」

 

「答えられる範囲で良いんですか?」

 

「それ以上話す気はないだろう?」

 

 

ロディマスの質問にゼロスは笑顔で頷いた。

 

 

「なら・・・俺の主君の仇は、誰だ」

 

 

殺意を必死に押し殺しながら問うロディマスの顔を、嬉しそうな顔でゼロスは見る。

 

 

「我が主君、獣王ゼラス・メタリオム様の同僚にして魔王シャブラニグドゥの腹心、冥王フィブリゾ様です」

 

「・・・・・・・・・感謝する」

 

 

殺意にまみれたロディマスの言葉を、心地よい波動を感じながらゼロスは「いえいえ」と首を振った。

 

 

「貴方ごときが万人居ても傷一つ付けられる方ではありませんから。伝えても全く損の無い情報ですよ。ああ、でも・・・」

 

 

そう言って、ゼロスは良い考えがあるとばかりに口を開いた。

 

 

「あの槍ならもしかしたらフィブリゾ様にダメージを与えることも、可能かもしれませんね」

 

 

指差す先には、小走りで走るヨシオと、その背に背負われた黒い槍がある。

ロディマスの瞳が一瞬揺れたのを、ゼロスは楽しそうに眺めていた。

 

 

 

 

 

 

師匠に槍を貸してくれって言われたので触れます?と聞いてみたら触れなかった。

凄い落胆してる。どうしよう。

とりあえず腕がもげなかっただけタマちゃんも師匠を認めてくれてますよ?と慰めてみるが返事が無い。

というかゼロス君が一番落胆してるように見えるのは気のせいかな?君ね。性格悪いのは知ってるけど師匠に何したん?言うてみ?

 

 

「いやぁ。ちょっとその槍を使わないと勝てそうに無い人が仇だったらしいんで勧めてみたんですがあばばばば」

 

「こら、タマちゃんステイ!さっき(ゴブリンを)斬ったばかりでしょ!」

 

 

ゼロス君に黒い波動を浴びせかけていたタマちゃんをメッと叱ると、タマちゃんがシュン、と項垂れる。ように見えた。

こないだドラゴンと戦った辺りから、タマちゃんが大分マイルドな感じになった。やっぱり気難しいのは変わらないけど俺の気持ちとタマちゃんの気持ちが通じ合うようになった気がするのだ。互いの考えが分かるって言うのかな。

 

タマちゃんは何と言うか、本当に子供なんだ。で、親御さん。あの金髪のねーちゃんかな?と離れてしまったからすっごく不安で、ついつい癇癪を起こす時がある。

それが漏れ出ていたのが、ここ最近はケレス君の手伝いで俺と一緒に子供達と一緒にいることが多かったからか。大分情緒が安定してたんだろうね。

それが、こないだ。俺が自分の力を使わずに何度もくたばってしまったせいで少し引け目を感じてて、俺がそれはタマちゃんのせいじゃないって慰めてとやってたら、いつの間にか互いに言いたい事を言葉にしないでも分かるようになった。

 

勿論、今言いたい事も分かっている。『このゴキブリ頭、私をヨシオから遠ざけようとはふてぇ野郎だぶった切ってやる』だ。ちょっと言葉遣いが悪いよタマちゃん。今日のジュースはちょっと量少なくするからね。

因みにタマちゃんの中で母親(金髪のねーちゃん)を除いた好感度は俺、ケレス君、エリスさん、ロディマス師匠、子供達と続いて神殿の神官さんたちになり、そこから近隣の小動物を経てゼロス君になるらしい。ゴブリンよりちょっと上だって!

 

 

「その評価は・・・・・・正直我らが母に連なる身としては辛いものがあると言いますか・・・・・・」

 

「『こないだの肉塊みたいに無駄に現世に縛るのはお母様嫌い』だそうです。俺も本人からあそこは褒められたんであんまりあれ使わない方がいいと思いますよ?あの人寂しがり屋だからとっとと皆戻って来いって言ってたんで」

 

「それは・・・・・・ありがとうございます。その言葉を、人づてとはいえ生ある内に耳に出来るとは。そうですか。金色の母が・・・・・・ゼラス様にもお伝えしなければ」

 

 

ちょっと用事が出来たんでまた後で。と瞬時に消えるゼロス君。もう隠す気ないなあれ。エリスがめっちゃ驚いてるんだけど。テレポート?幻の魔法ってそんな凄い魔法なんだね。へー。

 

 

「あ・ん・た・は!白魔術を一時勉強してたんでしょ!?テレポートは白魔術の遺失呪文の一つよ!?」

 

「あー・・・ああ。はいはいわかった完璧に思い出したわ。テレポートね。空間移動だよねそうそう」

 

 

とりあえず言葉のニュアンスで誤魔化せると思ったが無理っぽかった。解せぬ。

 

 




ロディマス師匠が闇落ちするかと思ったらそんな事はなかった回
金色の魔王が寂しがり屋というのは部下Sの亡くなった思い人のパーソナリティを使ってたり、彼女自身の願いが「ありし日の姿に帰るを望み続けるもの」という事なので「どっちが勝っても負けてもいいからとっとと皆あたしのところに戻って来い!」という説を採用しました。考察とかを見て色々考えたんですが、多分この表現が一番しっくり来るなぁと思ったので。

テレポート:空間移動の魔法は原作だと幻の術らしいですね。魔族の場合は勿論全然別の方法で移動してます。
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