( 半分忘れていたなんて言えない
狙う・・・そして撃つ。
こちらが主砲を放つと同時に『彼ら』からも砲弾が翔んでくる。
怨みや怒りが詰まった砲弾が空を駆け、俺に向かってくる。しかしその砲弾が『俺』に痛手を負わせる事はない。
もともと『彼ら』は味方だった・・・
『俺達』が他国に出向いている最中、本国でクーデターが起こり軍事派が国のトップになった。
そのせいで俺は、「祖国ではなく、他国に味方する愛国心無き裏切り者」と呼ばれ、目の敵にされている。
『早く撤退しろよ!・・・もう沈めたくない!・・・』
『彼ら』の損害率は6割を越えている。しかし・・・彼らの戦意は衰える事なく、砲弾の雨が降り注ぐ。
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「う、うう・・・ここはどこだ?」
消毒のアルコールの臭いと清潔な空間・・・一見病室にも見える・・・
辺りを見渡しているとピンクの髪の女性と目が合った。
「あっ、目が覚めましたか。良かった~。さっきまでうなされていたいたみたいですけど・・・痛い所はありますか?」
「いえ・・・痛い所はないです。」
戸惑いながらそう言うとその女性は「少し待っててくださいね。」と言い壁にある内線電話に向かい、何処かに連絡し始めた。
ふと聞き耳をたてて見ると・・・
「はい、彼が目覚めました。えぇ外傷もなく痛いところも無いそうなのでただ漂流して島に流れ着いた可能性が高いと思います。?一度こちらに出向く?・・・わかりました。お待ちしております。」
(この人の上司でも来るのか?話の内容的に)
「あのーお待たせしました。私は《工作艦 明石》と言います。主に装備の整備や開発を担当してます。」
(工作艦?明石?何で軍艦の名前をしているんだ?)
何故かすらすら軍艦の知識が湧いてきた。
だがそれより大きな疑問があった。
「あの・・・ここはどこですか?どうやら病院ではないようですが、例えるなら・・・診療所のような部屋ですけど。」
つい早口で捲し立ててしまった。けど病院ではないのは明らかだ。
普通なら病室に薬品や包帯を置いておく筈がない。
「ここは「それは私が説明するわ。」・・・お願いします、提督。」
ドアを開けて入ってきた提督と呼ばれる女性ともう一人の女性がこちらの疑問に答えてくれるようだ
「さて、私の名前は山城 光、よろしく。早速だけど聞きたい事があるの。答えてくれるかしら?」
「拒否する道理もない、質問に答えますよ。」
「そう・・・なら聞きたいのだけど、あなた名前は?」
(え?)
言われるまで気づかなかった。いや、気づきたくなかったから無視していた。けど・・・
『俺』の名前は・・・なんだ?
自分の事が思い出せない。記憶がすっぽり抜け落ちている感覚。
「ハハハ・・・なぁ山城さん、俺は・・・
俺がそう答えると山城さんの後ろにいた女性がこう言った。
「ッ、記憶・・・喪失?」
記憶がないならそうなのだろう。しかし記憶がないという緊急事態なのに妙に落ち着いている。
「俺は誰かわからない。どうすれば良いのかもわからない。わからない事が多すぎる俺はどうすればいいんですかね?」
「そう・・・ゆっくり思い出せばいいわ。それまでここに居なさい。」
「ありがとうございます。」
山城さんの後ろに居る女性もホッとしているようだった
「じゃあ名前が無いのは不便だから、思い出すまでの仮の名前を決めようかしら。」
山城さんは少し考え込んだ後こう言った。
「そうね。名前を思い出せない。名前無しで『無名』でどうかしら?」
(『無名』それが俺の名前。)
ストンと何かが当てはまる感覚がした気がした。
「僕は・・・無名、山城さんこれからよろしくお願いします。」
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