仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線   作:ラズベアー

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第12話

またしても予想外の展開になった。

シェードの改造人間?

ネオシェードとは違うのか?

「さぁ、君がネオシェードを倒すべく力量の持ち主か、確かめさせてもらおう!」

とにかく相手はやる気だ。

考えてる場合じゃない。

「やってるさ…!変身!」

俺はロストドライバーを使い、仮面ライダージョーカーに変身した。

「ん…?Wは黒と緑のライダーだと聞いていたが…?」

どうやらジョーカーとしての姿を知らないようだ。

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

「罪、か…。数は少ないけど、そのどれもが重いよ!」

そう答えると、Gは仕掛けてきた。

拳、蹴り、どれもが鋭いものだった。受け流すのが精一杯だった。

「くそっ…!」

一方で、こちらの攻撃は簡単にかわされてしまう。

「その程度かい?風都の仮面ライダーは。」

パンチをかわされると同時に腹に拳が叩きこまれた。

仮面ライダーとしての力を差し引いても、並大抵の身体能力じゃない。

「これが、改造人間とかいうやつの力か…。」

「これから君が戦う相手は皆この力を持っている。そんなことで倒れるようなら、街を守れやしないよ。」

言ってくれる…。

「そんなこと、俺がさせねぇ!」

俺は脚を踏ん張り立ち上がった。

「俺は、俺達は、この街を守る為に仮面ライダーとして闘ってんだ!こんな所でくたばる訳にはいかねぇんだ!」

俺の想いに応えるかのように、身体中に力がみなぎってきた。

「なんだ…?彼の想いに反応して…。そうか、それが君の強さなんだね!」

Gは何かを感じ取ったらしい。

そして、Gはベルトのスイッチを押した。

「ならば、君の想い、僕に見せてくれ!」

そう言うとGは大きく跳躍した。

「魅せてやるぜ!」

 

ジョーカー・マキシマムドライブ!

 

俺も大きく跳躍し、最後の一撃に備えた。

 

「スワリング・ライダーキック!!」

「ライダーキック!!」

 

二人のライダーキックが空中で交わった。

 

一瞬のことで何が起こったのか、俺にはわからなかった。

気がついた時には、俺は仰向けに横たわっていた。

「はぁ…。はぁ…。」

「見事だったよ、左翔太郎君。」

頭の上の方からGの声がした。

何とか身体の向きを変え、Gの方を見た。

Gは背を向けてしゃがんでいた。

俺と違い着地出来たのだろう。

しかし、Gが立ち上がって振り替えると胸の装甲に足跡のような窪みがあった。そしてそれを中心にGの装甲が砕け落ち、オーナーの姿が現れた。

やつの身体そのものにはダメージが無さそうだった。

「はっ…。俺のマキシマムドライブ受けて無傷とか…。さすが改造人間か…。」

俺は自身の変身を解きながら言った。

「確かにそうだね。並の人間だったら、こうじゃ済まされなかったよ。」

オーナーは静かに歩み寄ると手を差し出した。俺は迷わず手を掴んだ。

オーナーが俺の身体を起こすと、トライドロンがやってきた。

「左さん!!」

「泊!?何で?」

「サンタクロースの格好したおじさんに教えてもらって…。その方は?」

「…ちょうどいい。君も入りたまえ。」

「え?」

泊は俺を見た。俺は頷いて返事をした。

 

オーナーに案内され、先程のカウンターについた。

「さて…。君の相棒が連れ去られた所は、ここで間違いないだろう。」

オーナーは、近くに置いてあったワインオーダー表の裏側にその経緯を書いて泊に渡した。

「あの、あなたは?」

泊が尋ねたが、

「何…、しがないソムリエさ。」

とだけ答えた。

「君達が追っているネオシェード、その先駆けの組織が存在したんだ。」

オーナーが静かに言った。

「何だって!?」

泊が驚いて言った。

「その名は、シェード。かつて、日本政府が組織した、対テロ組織だったんだ。」

「マジか…。」

俺も驚いて言った。ネオシェードはテロ組織なのに、その先駆けのシェードが対テロ組織だった。皮肉とも言えるこの変遷に、一体何があったんだ。俺はそのまま黙って話を聞いた。

「そう。でも、その実態は優秀な身体能力を持った人間を拉致し、洗脳、肉体改造を施し狂戦士を造り出すという非人道的な組織だったんだ。それを指揮していたのが、徳川清山。」

「徳川清山といえば、元陸自の将校。でも、彼は随分前から行方不明のはず…。」

泊が言った。

「報道ではそういうことになっている。でも、シェードの実態が露呈したことで警察が逮捕したんだ。ただ、政府が発案したことだけあって、表沙汰にはできなかったというわけさ。」

オーナーが言った。

「そんなことが…。」

「言っちゃ悪いが、隠蔽されてたってことだな。」

俺は泊に声をかけた。

「清山が逮捕されたことで、組織は瓦解したかに見えた。けど、清山の息がかかったやつらが、清山奪還の為に暗躍していたんだ。」

「そして、その為に僕もシェードに拉致され、シェードの兵士として組織に加担していたんだ。」

「!?」

「けど、僕は洗脳に打ち勝った。それは僕が愛したものたちのお陰でね。そして、仮面ライダーGとして組織に立ち向かった。」

オーナーは拳を握り、それを見つめながら言った。

「けど、僕が戦った連中も所詮は氷山の一画でしかなかった。それから暫くして現れたのが…。」

「岡村隆之率いるネオシェード。」

オーナーの言葉に続けて泊が言った。

「岡村も清山の息がかかった人間の一人だ。」

オーナーが言った。

「…てことは、ネオシェードの次の目的って…。徳川清山の奪還!?」

泊は戦慄していた。

「恐らくね。」

「待てよ。そんなやつが解放されたら、どうなるんだ!?」

俺はオーナーに尋ねた。

「やつは自分を捕らえた日本政府を憎んでいる。解放された暁には、改造人間を増やし、クーデターを引き起こすだろう。そしてそうなった場合、いくら仮面ライダーが揃っても勝ち目はない…。」

「…っ」

仮面ライダーとはいえ、この男もまた改造人間だ。戦いの中で自身との力量の差を感じたからこそ、それが何体もいると考えるだけで、希望が見えなくなりそうだ。

「さぁ、僕が話せることは君たちに伝えた。時間があまり無い、すぐに仲間を助けに行くんだ。」

オーナーは俺達を促した。

「あんたも一緒に戦ってくれないか?」

俺は協力を申し出た。

「…僕は行けない、何故なら…。」

その瞬間、爆発音と共に店の半分が吹き飛んだ。俺達は店の奥にいたため難を逃れた。

「ナンバーファイブぅ!ここまでだ!」

外を窺うと数人のマスカレイドと人型歩兵兵器と思われるマシン数機が店を囲んでいた。

「言ったはずだ。僕はシェードの裏切り者。いつもやつらに追われている身だ。」

「だったら、俺達が!」

泊が言った。

「いいや、無駄さ。やつらは地獄の底まで追ってくるだろう。そして、このタイミングで現れたということは、君の仲間も危ないはずだ。」

「フィリップが!?」

「ここは僕が抑え込む。君たちは早く仲間の所へ!」

「…っ!ベルトさん!!」

泊の呼び掛けに応えるように、駐車してあったトライドロンが独りでに走り出し、敵を轢き飛ばしながら俺達の元へやってきた。

「左翔太郎君、忘れないでくれ。どんなに強大な敵でも、自分の背中には大切な仲間がいることを!そして、彼らが君の帰りを待っていることを!そんな彼らを待たせてはいけない!信じて戦え、仮面ライダー!!」

オーナーの言葉に俺は黙って頷いた。

「行きましょう、左さん!」

「死ぬんじゃねぇぞ!」

俺と泊はトライドロンへ乗り込み、オーナーが示した場所へ走り出した。

 

「死ぬな、か…。」

オーナーはほくそ笑んでいた。

「僕は死ぬつもりはない…。愛する者のためにも!今…、僕のヴィンテージが芳醇の時を向かえる!変身!!」

 

 

『各車両へ通達!東京ならびに風都各地において、ネオシェードによる暴動が発生!付近の警察官は至急急行されたし!』

 

トライドロンの中を無線がひっきりなしに響き渡る。

ネオシェード対策本部が風都署に敷かれていたが、そこはネオシェードの襲撃により、機能していない。その上、警視庁の選りすぐりの警官達も風都に派遣されたため、東京にまで手が回りきらないだろう。

完全にやつらの作戦に嵌まってしまった訳だ。

「こちら警視庁の泊!これよりネオシェード施設へ急行する。応援を求む!」

『現在、各地でネオシェードによる暴動を鎮圧させるために、人員を割くことができません。泊巡査部長、直ちに暴動鎮圧に参加されたし!』

「くそ!」

泊は苛立ちを見せていた。

「ちっ…。本丸に向かわせないために、痛手を追っている所を狙って同時多発テロか!」

俺自身も焦りを隠せなかった。

『どうする、進ノ介!?』

ベルトさんも言った。

 

『泊巡査部長、聞こえるか!応答せよ!』

無線から一条の声が聞こえてきた。

「こちら泊!」

「一条さん、どっから無線を飛ばしてるんだ?」

俺も思わず答えた。

『風都市民ホールを臨時捜査本部として機能させた!聞いていると思うが各地で暴動が起こっている。そちらの状況は?』

「我々はフィリップ君の所在を特定しました!今そこへ急行してます!」

『フィリップ君が?どうやって?』

「今は説明している時間が無ぇ!そっちから応援は寄越してくれないか!?」

泊に代わり俺は言った。

『…現在、風都各地でも暴動が起こっている。無理を押して、照井君も剛君もそちらへ対応している。警官隊もそちらの援護へ向かっている為、人員が足りないんだ。すまないが…。』

くそ!こっちもかよ!

そう思った時だった。

『警視総監の加賀美です。』

「総監!?」

『話はわかった。現在東京においても各地でネオシェードの暴動が発生している。そのため、本庁から応援を派遣することはできない。しかし、その括りに捕らわれない人物を派遣しよう。』

一体誰なんだ?気にはなるが、諦めかけていた応援が来るだけでも、有り難かった。

「こちら泊、応援に感謝します!」

『目的地を登録した。行こう、進ノ介!』




ネオシェードの前身組織としてシェードを設定しました。
そして、G本編で登場した指導者・徳川清山。
ただの人が対テロ組織シェード設立は無理があると思ったので、陸上自衛隊の将校であったと設定しました。

<徳川清山>
元陸上自衛隊の将校。とある理由からテロに対する防衛手段が必要と考え、日本政府に掛け合いシェードを設立した。しかし、その実態が優秀な人材を拉致し肉体改造と洗脳を施し狂戦士(改造人間)を生み出すと言うことだった。それが露呈したことで警察に身柄を拘束された。

また、本作における仮面ライダーGの世界観は、平成仮面ライダーの世界観と共有していますが、G本編とは異なるパラレルとして扱ってます。

例)
G本編:シェードは徳川清山の解放要求を全国に向け放送したため、全国的にその存在を認知している。
本作:徳川清山の解放のため暗躍していた一部隊を仮面ライダーとして覚醒したGが倒しため、シェードの放送が行われず全国的に認知されていない。

基本的に、仮面ライダーGとして覚醒するまでの過程はG本編と同じです。単純にシェードの存在が知られているか知られていないかの差異です。

次回、フィリップ奪還なるか?
加賀美総監から送られる助っ人とは誰なのか。

お楽しみに!

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