仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線   作:ラズベアー

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第18話

<同時刻・剛視点>

無線を頼りにたどり着いた場所では、既に警官とネオシェードが戦闘を始めていた。氷川を筆頭に警官達が応戦しているが、相手は改造人間の集団。警官だけでどうにかできる状況ではなかった。

「いっちょ、蹴散らすか!」

俺はライドマッハーを走らせ、ネオシェードの集団に突っ込んだ。

避けきれなかったネオシェードの戦闘員の何人かが吹き飛んだ。

「詩島さん!!」

氷川が言った。

「剛でいいよ、氷川さん!」

俺はライドマッハーから降りながら氷川に言った。

そして、手にしたマッハドライバー炎を腰に装着し、シグナルバイクを装填した。

 

シグナルバイク・ライダー!

 

「貴様、ライダーか!!」

ネオシェードの怪人が言った。

 

「レーッツ・変身!!」

 

マッハ!!

 

「追跡!撲滅!!いずれも、マッハ!!!」

「仮面ライダぁ~~~~~…。」

 

ネオシェードは身構えていた。

 

「マッッッッッッッッッッ…。」

 

「…溜めが長ぇ!!」

しびれを切らしたネオシェードの怪人が迫ってきた。

 

「ハあああああああああああ!!!!」

 

掛け声と同時に、俺は迫ってきた怪人にボディブローをお見舞いしてやった。

「ぐふぇ!?」

思わぬ攻撃で怪人は吹き飛んでいった。

「人の名乗りを邪魔するからよ!」

俺は言った。

「…派手ですね。」

「ええ…。」

泉と氷川が話していたが、俺は手を振っていなした。

「行くよ、お巡りさん達!!」

「総員、マッハの援護を!!」

俺が先陣を切り、警官達が後に続いた。

怪人一体とマスカレイドが数人。数は少ない訳ではなかったが、俺にとって問題ではなかった。

 

シグナルコウカーン!

マッハ・カクサーン!!

 

俺はシグナルバイクを入れ替え、ゼンリンシューターを天へ向け放った。それは上空で放射状となり敵に銃弾が降り注いだ。

大方の敵は蹴散らした。しかし、怪人だけはそうはいかなかった。

「ったく、ネオシェードの連中は使えねぇのばっかだな!」

「はん、お前もその一人だぜ!!」

俺はゼンリンシューターの前輪パーツ・ゼンリンストライカーを高速回転させた。回転速度により切れ味の増したゼンリンシューターで怪人に殴りかかった。

ところが、怪人は何度もかわし、または受け流して、俺の攻撃が届かなかった。

「当たるか!」

「くっ、だったら!」

俺は怪人と距離を取り、ベルトのボタンを複数回押した。

 

ズゥーット・マッハ!!

 

俺は高速で怪人に迫った。しかし、それさえも怪人は俺の攻撃を見切り、かわした。

そして、俺の腕を掴んで動きを止めた。

「俺はシェードの改造人間だ!動体視力も強化され、お前が高速で動こうが止まって見えるんだよ!」

「マジかよ!?うわっ!!」

怪人の攻撃が直撃した。

さすが改造人間ということか。

体勢を立て直すものの、どう突破口を導き出すか。

進兄さんならどうする…?

 

「剛さん!」

氷川が俺の名を呼び、俺は我に返った。

「我々がやつの注意を逸らします!その隙に攻撃を!」

「…オッケー!」

俺は答えると新たにシグナルバイクを取り出した。それは普段使うシグナルバイクと違い、サイドカーが付いていた。

 

シグナルバイクシフトカー!

ライダー!!デッドヒート!!!

 

「はあ!!」

 

俺はシフトデッドヒートをベルトに装填し、自身の姿を変えた。マッハの白い装甲に被さるように、肩や胴体を中心に赤い装甲を纏った。そして、ドライブ同様トライドロンのホイールが身体に装着された。

「姿が変わった所で同じこと!!」

怪人は尚も迫ってきた。シフトデッドヒートの恩恵で通常のマッハよりも戦闘スペックは向上している。先程とは違い怪人とも互角の肉弾戦を繰り広げられた。

「これでも同じだってぇ?」

「ふざけやがって!」

しかし、それでも"互角"と言ったところ。攻防戦が続いた。

やがて、警官から射撃が始まった。

「小賢しいマネを!」

怪人は丸で相手にしていなかった。

「改造人間とて、基は人間。急所を狙えば隙が生まれるはずです!」

泉は、怪人の顔面目掛け発砲した。

しかし、銃弾は怪人から逸れ、あらぬ方向へ飛んでいった。

「あ、あれ…?」

「ちょ、お巡りさん!?」

俺は思わず泉に叫んで言った。

「ふん、所詮その程…ぐぁ!」

余裕を見せていた怪人が苦しみだした。

頭部や脚の関節等を銃撃されたからだ。その弾道を辿ると、氷川が銃を構えて立っていた。

「今です、剛さん!」

 

シグナルコウカーン!

マッハ・トマーレ!

 

俺はゼンリンシューターで怪人を撃ち、動きを止めた。

「しまっ…た…!」

 

ヒッサーツ!フルスロットル!!

 

俺は高く跳躍し身体を高速回転させた。

「はあああああああ!!!!」

「ぐあああああああ!!!!」

回転で生まれた力を脚に集中させ、怪人に向け一気に蹴りを喰らわせた。それをまともに受けた怪人は、耐えきれずに爆散した。

「ふぃ~…。サンキュー、氷川さ…。うわっ!!」

気を抜いた所で、何者かの攻撃を受けてしまった。

高速で動き回る影のような存在。

次々と警官達を襲っていた。

「アサシンか!」

以前、風都署を襲撃したドーパントだった。

 

ズゥート・マッハ!

 

俺は高速の世界へ飛び込んだ。

「ほぅ…。若造にしては、気づくのが早かったな。」

アサシンが鼻で笑った。

「これでも、それなりの場数は踏んでんだよ!行くぜ!」

俺とアサシンは互いに拳を交えた。警官達からしたら何が何だかわからなかっただろう。

「くそ、デッドヒートで互角なのかよ!」

俺は戦いながら苛立っていた。

「ちっ、思ったよりやるな。だが…。」

アサシンは高速移動を止めた。すると突然、まだ明るい時間だってのに、辺りが暗闇に覆われた。

「なんだ!?」

氷川が言った。

「アサシンの力なのか!」

泉も戸惑っていた。

「ククク…。何も速いだけが能じゃねぇんだ…。」

そしてアサシンは、その暗闇に溶け込むように姿を消した。

「どこ行きやがった!」

俺は辺りを見渡すが、アサシンの姿は見えない。

が、突如在らぬ方向から攻撃を受けてしまった。

しかし、どこにもアサシンの姿がない。それどころか、その気配すら感じない。

「気配を消す…。"暗殺者"ってことか…。ぐっ!」

ダメだ、全然太刀打ちできない。

「うわあああ!!」

警官達の方からも悲鳴が上がった。

アサシンは自身の気配を消しながら、警官達にも攻撃を始めた。

「やめろ!」

俺は警官達の方へ駆け寄るが、再び俺にも攻撃が始まった。

「じゃあ、お前から始末してやる!」

「うわっ!」

アサシンの熾烈な攻撃が続き、ついに俺の変身が解除されてしまい、地に伏せてしまった。

「ふっ、じゃあな。」

アサシンが俺に止めを刺そうとした。

 

パァン!

 

銃声の方を向くと、氷川がアサシンに狙いを定めていた。

「剛さんをやらせない!」

氷川が再び射撃した。それは吸い込まれるようにアサシンに直撃した。

「ぐっ、やるな。」

「俺は、今までいくつものアンノウンと戦って来たんだ!お前ごときに…!」

しかし、氷川の言葉の途中でアサシンが攻撃を加え、氷川は殴り飛ばされた。

「ゔぅっ!?」

「氷川さん…!!」

アサシンは氷川に詰めよっていた。

「先にお前を殺っておくべきだったな…。」

「くっ…。」

氷川が再び拳銃を構えようとしたが、アサシンがそれを蹴落とした。

「じゃあな、お巡りさん…。」

アサシンは今度は氷川に止めを刺そうとした。

「やめろおおお!!!」

俺は叫んで言った。

しかし、アサシンはそのまま動きを止めた。

「なん…、だ…?」

いや、正確には動きが止まった訳ではなかった。

動いてはいる。だが、その動作が著しく遅くなっていた。

それはアサシンだけではなく、氷川も泉も、他の警官達もそうだった。

だが、俺だけは違った。それに、この感覚には覚えがあった。

「これは、重加速!?」

すると、重加速の中を何かが飛んできて、俺の目の前に現れた。

「シグナル、チェイサー!?」

チェイスの愛車であるライドチェイサーに酷似したシグナルバイク。あの日、チェイスのロイミュードボディとマッハドライバー炎とともに奪われたはずの物が俺の目の前に現れたのだ。

「お前が重加速を?」

シグナルチェイサーは答えなかったが、代わりに俺の手に収まった。

「チェイス…。俺に力を貸してくれ!!」

 

シグナルバイク・ライダー!

チェイサー!!

 

俺は立ち上り、自身のベルトにシグナルチェイサーを装填した。

 

「レーッツ・変身!!」

 

再び俺の身体を装甲が纏う。だが、マッハとは似て非なる。上半身はマッハの姿だが、腹部より下半身と両腕は、かつての仲間・仮面ライダーチェイサーの装甲に包まれていた。

そう。俺はチェイサーの力を借りて、仮面ライダーチェイサーマッハに姿を変えた。

「氷川さん!!」

俺は攻撃を仕掛けているアサシンを突き飛ばした。

「ぐっ。何だその姿は!?」

アサシンが言った。

「お前は、ここで俺が倒す!」

「はっ、やれるもんならやってみなぁ!!」

アサシンは再び加速した。

俺も同じく加速し応戦した。だが、先程とは比べものにならない程の加速をしてみせ、アサシンに攻撃を加えた。

「なっ。さっきより速いだと!?」

俺は徐々にアサシンを押していった。

アサシンは、すぐさま手を変え自身の気配を闇の中に消した。

「無駄だ!」

俺はベルトのスイッチを押した。すると、再び重加速が生み出された。

「ま…た…!?」

アサシンは重加速に捉えられ、姿を表した。

俺は拳を握り絞め、渾身の一撃をアサシンに放った。

「ぐわぁっ!!」

「これで終わりだ!」

 

ヒッサーツ・フルスロットル!

 

俺は再び跳躍しアサシンに蹴りを放とうとした。

 

シャングリラ!

 

跳躍した俺の身体を突然何かが絡んで来た。

「な、何だ!?」

良く見てみるとそれは植物の蔦の様だった。

「危ない所だったな、アサシン。」

アサシンとは別の声がした。

声の方を振り向くと、銀色の怪人がそこにいた。

「も、桃瀬さん…!」

アサシンが怪人に向かって言った。

「くっ。あんた、財団Xってやつか!」

俺は怪人に言った。

「そうだ。今はシャングリラ・ドーパントの姿だがな。」

桃瀬ことシャングリラ・ドーパントが答えた。

こんなときに、敵の親玉登場か。

警官達もかなり消耗している。この状態で二人を相手にするのは流石にまずい。

「君にしては、かなり手を焼いていたようだね。アサシン。」

「め、面目ない。」

シャングリラはアサシンに言った。

「さて、このまま締め上げたい所だが…。」

「はっ!」

すると、突然俺の身体が空中から落ちた。何者かが、蔦を切り落としたらしい。

「大丈夫かい?」

何者かが手を差し出した。

俺はその手を取り、身体を起こした。

「あんたは!?」

「ここでシェードの裏切り者の登場か。ナンバーファイブ。いや、仮面ライダーG、だったかな。」

シャングリラが言った。

「これで二対ニだ。フェアに行こうじゃないか。」

Gが言った。

「いいや、今回は止めておこう。」

シャングリラが言った時だった。

 

ドォォォォォン!

 

遠くの方で爆発音がした。

「何だ!?」

俺は思わず声に出してしまった。

「ネオシェードの志しに対する、祝砲。とでも思ってもらおうか。」

シャングリラが笑って言った。

そして、パトカーから無線が鳴り響いた。

 

『緊急事態発生!ネオシェードが警視庁を襲撃!総監の安否が不明!』

 

「そんな!?」

無線を聞いた氷川が声を上げた。

「どうやらチェックメイトのようだな。ハッハッハッハッ!!」

シャングリラは高笑いしながら、アサシンを連れて姿を眩ました。

「くそっ!」

俺は吐き捨てるように言った。

「…。まだ終わりじゃない。」

Gは静かに言った。

「どういうことです?」

氷川がGに尋ねた。

「今、詩島剛君が持っているシグナルチェイサーに、ネオシェードに関する全ての情報が託されている。」

「何だって!?」

俺はシグナルチェイサーを手にし、それを見つめた。

「正確には、"彼"がそこで全てを見ていたようだ。」

Gは続けて言った。

「それを解析すれば、ネオシェードの拠点やエターナルの所在も解るだろう。」

そういい終えると、Gはどこかへ去ろうとしていた。

「ちょっ!あんた、一緒に戦わないのか!?」

俺は思わず声を出した。

「まだ僕にはやらなければならないことがある。」

そして、Gは氷川の方を向いて言った。

「貴方もこんな所で燻っていてはいけない。あなたにだって、やるべきことはあるんだ。」

「え?」

氷川は聞き返したが、Gはそのままどこかへ去って行ってしまった。




仮面ライダーマッハVSアサシン・ドーパントを中心に書きました。

デッドヒート、チェイサーマッハとそれぞれの活躍はいかがだったでしょうか。

そして、財団X・桃瀬理が変身したドーパント、シャングリラ・ドーパント。
使用したガイアメモリを含め以下のように設定しました。

<シャングリラ・ドーパント>
桃瀬理が"理想郷"の記憶を擁するゴールドタイプのガイアメモリ、シャングリラ(S)メモリを用いて変身するドーパント。
能力は、"理想の再現"である。使用者の理想を実現させる力であり、例えば使用者が自然に溢れた世界を望めば、使用者の周囲に木々や草花を生やし自然豊かにする。その際に、その理想にとって邪魔なものは徹底的に排除する。また、使用者ではない人の理想も実現可能に出来るが、それは、その人の理想を"シャングリラ・ドーパントが再現"するという、いわば鏡のように働いてしまう。
ただし、再現できる物には限りがあることと、その理想を再現するには使用者が理想を実現するために"行動しなければならない"(つまり、理想を思い描くだけでは効果は発動しない。)ため、使い勝手が非常に難しい。
桃瀬はその力を完全に把握しており、力を存分に扱えるために非常に強力なドーパントである。

戦闘の中、突如現れたシグナルチェイサー。
仮面ライダーGの言う、「"彼"が全て見てきた。」の意味とは。

次回、再び左翔太郎視点で進みます。
お楽しみに!

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