仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線 作:ラズベアー
<同時刻・剛視点>
無線を頼りにたどり着いた場所では、既に警官とネオシェードが戦闘を始めていた。氷川を筆頭に警官達が応戦しているが、相手は改造人間の集団。警官だけでどうにかできる状況ではなかった。
「いっちょ、蹴散らすか!」
俺はライドマッハーを走らせ、ネオシェードの集団に突っ込んだ。
避けきれなかったネオシェードの戦闘員の何人かが吹き飛んだ。
「詩島さん!!」
氷川が言った。
「剛でいいよ、氷川さん!」
俺はライドマッハーから降りながら氷川に言った。
そして、手にしたマッハドライバー炎を腰に装着し、シグナルバイクを装填した。
シグナルバイク・ライダー!
「貴様、ライダーか!!」
ネオシェードの怪人が言った。
「レーッツ・変身!!」
マッハ!!
「追跡!撲滅!!いずれも、マッハ!!!」
「仮面ライダぁ~~~~~…。」
ネオシェードは身構えていた。
「マッッッッッッッッッッ…。」
「…溜めが長ぇ!!」
しびれを切らしたネオシェードの怪人が迫ってきた。
「ハあああああああああああ!!!!」
掛け声と同時に、俺は迫ってきた怪人にボディブローをお見舞いしてやった。
「ぐふぇ!?」
思わぬ攻撃で怪人は吹き飛んでいった。
「人の名乗りを邪魔するからよ!」
俺は言った。
「…派手ですね。」
「ええ…。」
泉と氷川が話していたが、俺は手を振っていなした。
「行くよ、お巡りさん達!!」
「総員、マッハの援護を!!」
俺が先陣を切り、警官達が後に続いた。
怪人一体とマスカレイドが数人。数は少ない訳ではなかったが、俺にとって問題ではなかった。
シグナルコウカーン!
マッハ・カクサーン!!
俺はシグナルバイクを入れ替え、ゼンリンシューターを天へ向け放った。それは上空で放射状となり敵に銃弾が降り注いだ。
大方の敵は蹴散らした。しかし、怪人だけはそうはいかなかった。
「ったく、ネオシェードの連中は使えねぇのばっかだな!」
「はん、お前もその一人だぜ!!」
俺はゼンリンシューターの前輪パーツ・ゼンリンストライカーを高速回転させた。回転速度により切れ味の増したゼンリンシューターで怪人に殴りかかった。
ところが、怪人は何度もかわし、または受け流して、俺の攻撃が届かなかった。
「当たるか!」
「くっ、だったら!」
俺は怪人と距離を取り、ベルトのボタンを複数回押した。
ズゥーット・マッハ!!
俺は高速で怪人に迫った。しかし、それさえも怪人は俺の攻撃を見切り、かわした。
そして、俺の腕を掴んで動きを止めた。
「俺はシェードの改造人間だ!動体視力も強化され、お前が高速で動こうが止まって見えるんだよ!」
「マジかよ!?うわっ!!」
怪人の攻撃が直撃した。
さすが改造人間ということか。
体勢を立て直すものの、どう突破口を導き出すか。
進兄さんならどうする…?
「剛さん!」
氷川が俺の名を呼び、俺は我に返った。
「我々がやつの注意を逸らします!その隙に攻撃を!」
「…オッケー!」
俺は答えると新たにシグナルバイクを取り出した。それは普段使うシグナルバイクと違い、サイドカーが付いていた。
シグナルバイクシフトカー!
ライダー!!デッドヒート!!!
「はあ!!」
俺はシフトデッドヒートをベルトに装填し、自身の姿を変えた。マッハの白い装甲に被さるように、肩や胴体を中心に赤い装甲を纏った。そして、ドライブ同様トライドロンのホイールが身体に装着された。
「姿が変わった所で同じこと!!」
怪人は尚も迫ってきた。シフトデッドヒートの恩恵で通常のマッハよりも戦闘スペックは向上している。先程とは違い怪人とも互角の肉弾戦を繰り広げられた。
「これでも同じだってぇ?」
「ふざけやがって!」
しかし、それでも"互角"と言ったところ。攻防戦が続いた。
やがて、警官から射撃が始まった。
「小賢しいマネを!」
怪人は丸で相手にしていなかった。
「改造人間とて、基は人間。急所を狙えば隙が生まれるはずです!」
泉は、怪人の顔面目掛け発砲した。
しかし、銃弾は怪人から逸れ、あらぬ方向へ飛んでいった。
「あ、あれ…?」
「ちょ、お巡りさん!?」
俺は思わず泉に叫んで言った。
「ふん、所詮その程…ぐぁ!」
余裕を見せていた怪人が苦しみだした。
頭部や脚の関節等を銃撃されたからだ。その弾道を辿ると、氷川が銃を構えて立っていた。
「今です、剛さん!」
シグナルコウカーン!
マッハ・トマーレ!
俺はゼンリンシューターで怪人を撃ち、動きを止めた。
「しまっ…た…!」
ヒッサーツ!フルスロットル!!
俺は高く跳躍し身体を高速回転させた。
「はあああああああ!!!!」
「ぐあああああああ!!!!」
回転で生まれた力を脚に集中させ、怪人に向け一気に蹴りを喰らわせた。それをまともに受けた怪人は、耐えきれずに爆散した。
「ふぃ~…。サンキュー、氷川さ…。うわっ!!」
気を抜いた所で、何者かの攻撃を受けてしまった。
高速で動き回る影のような存在。
次々と警官達を襲っていた。
「アサシンか!」
以前、風都署を襲撃したドーパントだった。
ズゥート・マッハ!
俺は高速の世界へ飛び込んだ。
「ほぅ…。若造にしては、気づくのが早かったな。」
アサシンが鼻で笑った。
「これでも、それなりの場数は踏んでんだよ!行くぜ!」
俺とアサシンは互いに拳を交えた。警官達からしたら何が何だかわからなかっただろう。
「くそ、デッドヒートで互角なのかよ!」
俺は戦いながら苛立っていた。
「ちっ、思ったよりやるな。だが…。」
アサシンは高速移動を止めた。すると突然、まだ明るい時間だってのに、辺りが暗闇に覆われた。
「なんだ!?」
氷川が言った。
「アサシンの力なのか!」
泉も戸惑っていた。
「ククク…。何も速いだけが能じゃねぇんだ…。」
そしてアサシンは、その暗闇に溶け込むように姿を消した。
「どこ行きやがった!」
俺は辺りを見渡すが、アサシンの姿は見えない。
が、突如在らぬ方向から攻撃を受けてしまった。
しかし、どこにもアサシンの姿がない。それどころか、その気配すら感じない。
「気配を消す…。"暗殺者"ってことか…。ぐっ!」
ダメだ、全然太刀打ちできない。
「うわあああ!!」
警官達の方からも悲鳴が上がった。
アサシンは自身の気配を消しながら、警官達にも攻撃を始めた。
「やめろ!」
俺は警官達の方へ駆け寄るが、再び俺にも攻撃が始まった。
「じゃあ、お前から始末してやる!」
「うわっ!」
アサシンの熾烈な攻撃が続き、ついに俺の変身が解除されてしまい、地に伏せてしまった。
「ふっ、じゃあな。」
アサシンが俺に止めを刺そうとした。
パァン!
銃声の方を向くと、氷川がアサシンに狙いを定めていた。
「剛さんをやらせない!」
氷川が再び射撃した。それは吸い込まれるようにアサシンに直撃した。
「ぐっ、やるな。」
「俺は、今までいくつものアンノウンと戦って来たんだ!お前ごときに…!」
しかし、氷川の言葉の途中でアサシンが攻撃を加え、氷川は殴り飛ばされた。
「ゔぅっ!?」
「氷川さん…!!」
アサシンは氷川に詰めよっていた。
「先にお前を殺っておくべきだったな…。」
「くっ…。」
氷川が再び拳銃を構えようとしたが、アサシンがそれを蹴落とした。
「じゃあな、お巡りさん…。」
アサシンは今度は氷川に止めを刺そうとした。
「やめろおおお!!!」
俺は叫んで言った。
しかし、アサシンはそのまま動きを止めた。
「なん…、だ…?」
いや、正確には動きが止まった訳ではなかった。
動いてはいる。だが、その動作が著しく遅くなっていた。
それはアサシンだけではなく、氷川も泉も、他の警官達もそうだった。
だが、俺だけは違った。それに、この感覚には覚えがあった。
「これは、重加速!?」
すると、重加速の中を何かが飛んできて、俺の目の前に現れた。
「シグナル、チェイサー!?」
チェイスの愛車であるライドチェイサーに酷似したシグナルバイク。あの日、チェイスのロイミュードボディとマッハドライバー炎とともに奪われたはずの物が俺の目の前に現れたのだ。
「お前が重加速を?」
シグナルチェイサーは答えなかったが、代わりに俺の手に収まった。
「チェイス…。俺に力を貸してくれ!!」
シグナルバイク・ライダー!
チェイサー!!
俺は立ち上り、自身のベルトにシグナルチェイサーを装填した。
「レーッツ・変身!!」
再び俺の身体を装甲が纏う。だが、マッハとは似て非なる。上半身はマッハの姿だが、腹部より下半身と両腕は、かつての仲間・仮面ライダーチェイサーの装甲に包まれていた。
そう。俺はチェイサーの力を借りて、仮面ライダーチェイサーマッハに姿を変えた。
「氷川さん!!」
俺は攻撃を仕掛けているアサシンを突き飛ばした。
「ぐっ。何だその姿は!?」
アサシンが言った。
「お前は、ここで俺が倒す!」
「はっ、やれるもんならやってみなぁ!!」
アサシンは再び加速した。
俺も同じく加速し応戦した。だが、先程とは比べものにならない程の加速をしてみせ、アサシンに攻撃を加えた。
「なっ。さっきより速いだと!?」
俺は徐々にアサシンを押していった。
アサシンは、すぐさま手を変え自身の気配を闇の中に消した。
「無駄だ!」
俺はベルトのスイッチを押した。すると、再び重加速が生み出された。
「ま…た…!?」
アサシンは重加速に捉えられ、姿を表した。
俺は拳を握り絞め、渾身の一撃をアサシンに放った。
「ぐわぁっ!!」
「これで終わりだ!」
ヒッサーツ・フルスロットル!
俺は再び跳躍しアサシンに蹴りを放とうとした。
シャングリラ!
跳躍した俺の身体を突然何かが絡んで来た。
「な、何だ!?」
良く見てみるとそれは植物の蔦の様だった。
「危ない所だったな、アサシン。」
アサシンとは別の声がした。
声の方を振り向くと、銀色の怪人がそこにいた。
「も、桃瀬さん…!」
アサシンが怪人に向かって言った。
「くっ。あんた、財団Xってやつか!」
俺は怪人に言った。
「そうだ。今はシャングリラ・ドーパントの姿だがな。」
桃瀬ことシャングリラ・ドーパントが答えた。
こんなときに、敵の親玉登場か。
警官達もかなり消耗している。この状態で二人を相手にするのは流石にまずい。
「君にしては、かなり手を焼いていたようだね。アサシン。」
「め、面目ない。」
シャングリラはアサシンに言った。
「さて、このまま締め上げたい所だが…。」
「はっ!」
すると、突然俺の身体が空中から落ちた。何者かが、蔦を切り落としたらしい。
「大丈夫かい?」
何者かが手を差し出した。
俺はその手を取り、身体を起こした。
「あんたは!?」
「ここでシェードの裏切り者の登場か。ナンバーファイブ。いや、仮面ライダーG、だったかな。」
シャングリラが言った。
「これで二対ニだ。フェアに行こうじゃないか。」
Gが言った。
「いいや、今回は止めておこう。」
シャングリラが言った時だった。
ドォォォォォン!
遠くの方で爆発音がした。
「何だ!?」
俺は思わず声に出してしまった。
「ネオシェードの志しに対する、祝砲。とでも思ってもらおうか。」
シャングリラが笑って言った。
そして、パトカーから無線が鳴り響いた。
『緊急事態発生!ネオシェードが警視庁を襲撃!総監の安否が不明!』
「そんな!?」
無線を聞いた氷川が声を上げた。
「どうやらチェックメイトのようだな。ハッハッハッハッ!!」
シャングリラは高笑いしながら、アサシンを連れて姿を眩ました。
「くそっ!」
俺は吐き捨てるように言った。
「…。まだ終わりじゃない。」
Gは静かに言った。
「どういうことです?」
氷川がGに尋ねた。
「今、詩島剛君が持っているシグナルチェイサーに、ネオシェードに関する全ての情報が託されている。」
「何だって!?」
俺はシグナルチェイサーを手にし、それを見つめた。
「正確には、"彼"がそこで全てを見ていたようだ。」
Gは続けて言った。
「それを解析すれば、ネオシェードの拠点やエターナルの所在も解るだろう。」
そういい終えると、Gはどこかへ去ろうとしていた。
「ちょっ!あんた、一緒に戦わないのか!?」
俺は思わず声を出した。
「まだ僕にはやらなければならないことがある。」
そして、Gは氷川の方を向いて言った。
「貴方もこんな所で燻っていてはいけない。あなたにだって、やるべきことはあるんだ。」
「え?」
氷川は聞き返したが、Gはそのままどこかへ去って行ってしまった。
仮面ライダーマッハVSアサシン・ドーパントを中心に書きました。
デッドヒート、チェイサーマッハとそれぞれの活躍はいかがだったでしょうか。
そして、財団X・桃瀬理が変身したドーパント、シャングリラ・ドーパント。
使用したガイアメモリを含め以下のように設定しました。
<シャングリラ・ドーパント>
桃瀬理が"理想郷"の記憶を擁するゴールドタイプのガイアメモリ、シャングリラ(S)メモリを用いて変身するドーパント。
能力は、"理想の再現"である。使用者の理想を実現させる力であり、例えば使用者が自然に溢れた世界を望めば、使用者の周囲に木々や草花を生やし自然豊かにする。その際に、その理想にとって邪魔なものは徹底的に排除する。また、使用者ではない人の理想も実現可能に出来るが、それは、その人の理想を"シャングリラ・ドーパントが再現"するという、いわば鏡のように働いてしまう。
ただし、再現できる物には限りがあることと、その理想を再現するには使用者が理想を実現するために"行動しなければならない"(つまり、理想を思い描くだけでは効果は発動しない。)ため、使い勝手が非常に難しい。
桃瀬はその力を完全に把握しており、力を存分に扱えるために非常に強力なドーパントである。
戦闘の中、突如現れたシグナルチェイサー。
仮面ライダーGの言う、「"彼"が全て見てきた。」の意味とは。
次回、再び左翔太郎視点で進みます。
お楽しみに!