仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線 作:ラズベアー
シグナル・チェイサーからもたらされた情報を元に、俺達仮面ライダーはそれぞれの拠点に奇襲を始めた。
勝利を疑っていなかったネオシェードは、突然の襲撃により為す術もなく次々と撃破されていった。
警察内部からの情報を元に俺達の行動を先読みしていたことが裏目となり、俺達の反撃を全く想定していなかったようだ。
だが、俺達が奇襲をかけた拠点には主犯格のやつらは見当たらなかった。
「こちら泊。ネオシェード活動拠点を制圧しましたが、主犯格のメンバーの所在は不明でした。」
俺とフィリップと共に行動していた泊が一条に伝えた。
『了解した。照井君や他のライダー達からも同様の連絡があった。一度本部まで戻ってくれ!』
「了解!」
「やはり清山等は先に逃げていたか…。」
一条が言った。
本部へ戻った俺達は、会議室の机に広げられた地図を囲いながら見つめていた。地図にはライダー達によって潰されたネオシェードの拠点にバツ印が付けられていた。
「目ぼしい拠点はほぼ全て抑えましたから、そうなると…。」
氷川が地図を指で辿った。
「奥多摩川山岳部。」
「何だか正しく、て感じだな。」
剛が言った。
「えぇ…、奥多摩ですか…。」
大門が怯えるように言った。
「どうかしたのか、大門さん。」
泉が尋ねた。
「いや…。この時期、奥多摩の方で変な話が上がるじゃないですか。巨大な妖怪みたいなのがいるとか何とか。」
「何かと思えば。」
後藤が鼻で笑った。
「俺達は今まで色々な化け物と戦ってきたんだ。今さら妖怪なんて驚く方がおかしな話じゃないか。」
「いや、まぁ…。それはそうなんですけど。私、ジャパニーズホラーが苦手で…。」
大門がぼそぼそと言った。
「妖怪か…。そういえばちゃんと検索したことなかったな。ちょっと興味が沸いてきた。」
何故かフィリップが嬉しそうにしていた。
「話を戻すぞ。」
照井が睨んで言った。
「ともかく、この場所に清山等が潜伏している可能性が極めて高い。我々の戦力を全て投入すべきだと思う。」
「私も照井警視に同感です。数は少なかれど、敵は改造人間に新型ガイアメモリを用いたドーパント。歩兵型兵器もあるとするならば、出し惜しみしている場合ではないでしょう。」
朔田も照井に同意した。
「そうだな。それにやつらの中には財団Xの桃瀬、テロリストの大道もいる。各位準備が整い次第、ネオシェード総本山、奥多摩川へ出動する!」
「はい!」
一条が言うと、各自で最後の戦いに向け、準備を始めた。
「…。」
俺は静かに会議室を出た。
いよいよネオシェードとの戦いに終止符が打たれる。アサシンによるガイアメモリ使用者殺害事件から始まったが、まさかここまでデカイ規模になるとは思いもしなかった。
そして、大道克己・仮面ライダーエターナルの復活。
一度つけたやつとの決着を再びつけるのか。
だが、何かが俺の中で引っ掛かっていた。
黒いエターナルの時、戦いの中で不意に攻撃を止めたこと。
大道の復活を目の当たりにし、やつの行動を見た時に感じた違和感。
このままやつを倒すのか。
いや、倒していいのか…?
「翔太郎?」
フィリップの呼び掛けで、俺は我に帰った。
「どうしました、左さん?」
続いて泊も現れた。さらに、後から照井、剛も現れた。
「いや、何でもない。」
俺はすかさず言った。
「ほんとかい?」
フィリップは、俺が誤魔化したことを見抜いているようだ。
「言いたいことがあるなら言え、左。」
照井も言った。
「…なぁ、フィリップ。」
俺はフィリップに向かって言った。
「?」
「お前、大道克己の復活を見て何か思わなかったか?」
俺はフィリップを見て言った。
「…思ったさ。」
フィリップが答えた。
「何の話です?」
泊が聞いてきた。
「あの時、俺達があいつを倒した時、あいつ喜んでたんだ。」
「喜ぶ?」
「あいつは一度死んで生き返った。でもそれは、あいつにとって望んでいたことじゃなかったはずなんだ。」
俺は続けて言った。
「あいつは兵器として戦い、退くに退けない所まで来てたんだ。だから最後の仕上げに風都を、俺達の街を地獄にしようとした。」
「はんっ、はた迷惑な話だな。」
剛が鼻で笑いながら言った。
「だが、それは俺達で阻止した。そして、倒されることに喜んでいたんだ。」
「つまり、再び死ぬことに安堵を感じたということですか?」
泊の言葉に俺は黙って頷いた。
「そして、彼は再びこの世に呼びだされた。それも、彼自身が望んだ結果じゃない。」
フィリップが言った。
「なぜわかる?」
照井が言った。
「ロイミュードボディにメモリの記憶を注がれていく度に、彼の叫びが聞こえたんだ。甦ることを拒む叫びが。」
照井の問いにフィリップが答えた。
「だったら、尚更エターナルを倒さないと。」
泊が言った。
頭じゃ分かってる。分かってるんだが…。
「…二人とも、何が言いたい?」
照井が怪訝そうに言った。
「俺は…。エターナルを、大道克己を叩くことに反対だ。」
俺の隣にいたフィリップも小さく頷いた。
だが俺の一言で、一瞬の沈黙が生まれた。
「…何だと?」
照井が聞き返した。
「どういうことです?」
泊も聞いてきた。
「エターナル復活の点において、一つ気がかりなことがある。」
フィリップが答えた。
「気がかりなこと?」
泊が言った。
「ネオシェードは回りくどい方法を取ってまでエターナルの復活を望んでいたはず。だけど、実際は不完全な状態でそれを終わらせた。変だと思わないかい?」
「…確かに。だったら、黒いエターナルの時点で目的は果たしたことになるはず。それでも尚、復活の為にメモリを集めておきながら、不完全で終わらせるなんて。」
フィリップの問いかけに泊が言った。
「ただ単にめんどくさくなった。て訳でもなさそうだね。」
剛が言った。
「そこで考えられる可能性。それは、ネオシェードはエターナルと大道克己の"力"が欲しかった訳で、大道克己"本人"の復活は望んでいなかった。」
「言い換えれば、大道克己の復活はやつらに取って不都合という訳だ。」
フィリップに続いて俺が言った。
「照井…。俺達は、大道克己について、お前に未だ伝えてないことがある。」
「何?」
「それは、彼が本当の仮面ライダーになれたかもしれない、悲劇の話さ。」
俺達は、大道克己のことを知るミーナという女のこと、ビレッジと呼ばれる場所での出来事を伝えた。
「…。それが、大道克己の真実。」
聞いていた泊が呟いた。
「今までのやつの軌跡を考えれば、やつが完全復活したらネオシェードにつく可能性が低い。」
「むしろ、敵対してこちら側につく可能性だってゼロじゃない。」
俺とフィリップは言った。
しかし、
「…聞くだけ無駄だったな。」
照井が冷たく呟いた。
「何だと?」
「お前達の話が真実だとしても、やつがテロリストであったことに変わりはない。ましてや、ネオシェードにつくつかないなど可能性の話でしかない。」
照井が言った。
「不安定要素を抱えたままでネオシェードを潰せる程甘い組織じゃないのは、左さん達も承知のはずです。やはりエターナルも含め、敵を倒すべきです!」
泊も言った。
「ちょっと待ってくれ!あのエターナルの素体とマッハドライバーはチェイスのものだ。ただエターナルを倒したら、それらがダメになっちまう!」
理由は違えど、剛はエターナルを倒すことに否定的な態度を示した。
「剛…。気持ちは分かるが、このままじゃ、無関係の人々が犠牲になってしまうんだ。こればかりは。」
泊はエターナル撃破の立場を取った。
「じゃあ、進兄さんはあいつの形見を平気で壊せるってのかよ!!」
「平気な訳ないだろ!でも、事の一因に、俺達の身勝手さが関わっているんだぞ!それくらい、お前も分かってるだろ!?」
「…ぐっ」
剛は唇を噛みしめていた。
エターナルを倒すか倒さないか。実際の所、俺達の考えが甘いのは十分承知だ。不安定要素を払拭しエターナルを倒すことが合理的なことくらい、俺は、いや、俺達はわかっている。
だが、それでも俺達は大道を信じてみたかった。何故かと問われれば、それは探偵としての"勘"というやつだ。今思えば、ずいぶんと浅はかな考えだった。
「…よそう、翔太郎。答えは分かりきっていたことさ。それよりも一刻も早くネオシェードを叩かないと。」
フィリップが言った。
「…わかった。」
「左、一応聞いておくぞ。」
照井が言った。
「何だ?」
「フィリップ程ではないが、俺もお前とは長い付き合いだと思ってる。だから、このままお前が引き下がるとは思わん。」
「…。」
「だから、聞く。エターナルが完全復活し、お前達の思惑通りに行かなかった場合、どうするつもりだ?」
「…俺達が倒す。必ずな。」
俺に質問するな。なんて言ってやりたかったが、照井にぶん殴られそうだから変わりに答えた。
準備を整えた俺達は奥多摩川山岳部へ向かった。
シグナルチェイサーからもたらされた情報によると、敵の本拠地は奥多摩川のさらに奥地に位置していた。正直陸路で進むには最悪だった。ヘリを用いて攻めこむ考えも出たが、敵が対空措置を取っている可能もあるため、結局行ける所まで警察車両で進み、後は徒歩で樹海を進むこととなった。
「各員、ここから先は歩いて行く。恐らくこれが最後の戦いとなるだろう。心してかかれ!」
「はい!!」
一条の言葉に全員が答えた。
「何も一条さんまで前に出ることはなかったでしょうに。」
氷川が言った。
「いや、これが最後の戦いになるのならば、一人安全な所になどいられないものさ。」
一条はそう言うとサムズアップしてみせた。
「僕もここに残って、一条さんをバックアップするさ。」
フィリップが言った。
「よし…。ここから先の樹海は視界が悪い。敵も何か仕掛けてくるはずだ。慎重に進むぞ!」
照井の言葉を合図に、俺達は森の中へ進んだ。
端から見れば雄大な自然に思ったが、いざ中に入ると、日中にも関わらず薄暗く、動物の鳴き声以外の音もなかった。それが一層の不気味さを増していた。
「いやぁ…。ほんと何も出てこないで…。」
俺の後ろで大門が怯えていた。
「まさか、本当に妖怪が出ると思っているんですか?」
泊が茶化すように言った。
「意識を集中させろ。何が現れるかわからんからな。」
照井が言った。
「しかし、それにしても静かだ。」
と後藤。
「静かなんてもんじゃない。静かすぎるぞ。」
と加賀美が言った。
「妙だな…。」
俺は思わず呟いた。
「妙?」
朔田が尋ねた。
「俺達を潰すなら、ここは打ってつけの場所だ。言い方は悪いがアサシンの力があれば容易に暗殺できるはずだ。だが、やつの気配所か何も感じやしない。」
俺は辺りを見渡してみたが、天まで貫きそうな高さの樹木以外何もなかった。
そう、自然にいるはずの動物ですら見当たらなかった。
しばらく進むと、俺達は何事もなく川辺に出た。
「ふぅ~。」
大門が大きく息をついた。
「はん、結局何にも出やしないじゃないか。」
剛が鼻で笑った。
その時だった。
ズゥン…。ズゥーン…。
地響きと共に地面が揺れ始めた。
「地震!?」
泉が言った。
『翔太郎!何かが皆に近づいている!』
インカムからフィリップの声聞こえてきた。
グォオオオオオオオオオオオ!!!!!!
突然、獣の雄叫びが聞こえた。
「何だ!?」
「ギャアアアア!!!!」
大門が叫び声を上げた。
「な、な…、何じゃありゃああああ!!!!」
俺も思わず叫んでしまった。
俺達の目の前に、地響きの正体であろう小さな山のような巨大な化け物が姿を現した。
いよいよ警察による反抗作戦が始まり、ネオシェードを追い詰めることに成功しました。
最後の戦いの舞台は、奥多摩川山岳部。
そこで繰り広げられる戦いの行方は…。
そして、突如現れた巨大な化け物。
これはネオシェードの罠なのか…。
次回、最後の隠れ警官ライダーの登場です。
お楽しみに!