仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線   作:ラズベアー

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氷川視点


第24話

「おやおや…。所詮、ネオシェードはシェードの名を騙る素人集団でしたか…。」

シザースは、倒された忍野と岡村を見て嘲笑うように言った。

「それが、それが仲間に対する言い方か!」

僕は心底腹が立った。

「お前、曲りなりにも警察官だろ!」

杉田も怒りを露にして言った。

「何を…。私は元よりネオシェード、いや、シェードの人間ですよ!」

シザースが答えた。

「そんな…。こんなヤツが警官だったなんて!」

大門が言った。

「ふん。だったら、何だと言うのです?」

シザースが問うた。

「私たちが、あなたを捕まえる!そして、罪を償ってもらいます!」

沢村が言った。

「近くにいながら、私の正体に気づけず、良く言いますねぇ。」

シザースが言った。

「だから、俺達がその責任を果たす!」

泉が言った。

「ただの人間ごときに、この私は倒せません!」

シザースが構えた。

「いや、倒してみせる!」

桜井が言った。

「ならば、やってみなさい!」

ついにシザースが迫ってきた。

「総員、シザースを確保する!!」

僕は全員にそう伝えた。

そして、警官達はシザースに向けて発砲し始めた。

「ふはは!無駄ですよ!」

シザースは物ともしていなかった。

「舐めるな!俺達だって、体術は心得てんだ!うおおおお!!」

杉田が前に出た。しかし、シザースに軽くかわされた。

「やああ!!」

大門も続くが、それも暖簾に腕押しの如く流された。

それぞれ警官達も続いていくが、誰もシザースに届くことなくあしらわれてしまった。

「弱い、弱すぎる!」

「まだだ!」

今度は僕が立ち向かった。

例え、G3-Xがなくとも、僕は僕の出来ることをするだけだ。そう言い聞かせ、シザースへ目掛けて走った。

「元G3-X装着員、氷川誠刑事。少しは楽しませてください!」

シザースも構えた。

拳を脚を、それぞれシザースに向けて振りかざした。しかし、どれも防がれてしまう。だが、一方でシザースの攻撃も見切って避けてみせた。

「ほう…。さすがは、あかつき号事件の英雄。しかし!」

シザースの猛攻に耐えきれず、僕は弾き飛ばされた。

「うわっ!」

それでも、警官達はシザースに向けて銃撃を続けた。

「鬱陶しいですねぇ。」

シザースは右腕のハサミを振るい、大門を吹き飛ばした。

「キャア!!」

「大門さん!!このぉ!!」

泉が叫びながら、シザースに立ち向かった。

「なるほど、確かあなたも怪人に憑依されていましたねぇ。」

「アンク君がいなくても、身体が彼の動きを覚えている!」

「しかし、所詮はただの人間だ!」

シザースは今度は泉を吹き飛ばした。

「ぐあっ!」

「泉さん!」

やはり、生身の人間では敵う相手ではないのか。

 

バキバキバキッ!!

グシャアア!!!!

 

その時、森林から巨体の4輪ビークルが姿を現した。フロントの装甲が左右に展開されると、中からガードチェイサーが走り出した。

「尾室さん!」

尾室のG3-Xは、ガードチェイサーに搭載されていた4連装ミサイルランチャー・ギガントを担いだ。

「みんな下がって!」

G3-Xの合図で警官達は離れた。それを確認したG3-Xは腰のスイッチを操作し、ミサイルを発射した。

「まずい…!」

 

ドガアアアアアアン!!!!

 

ミサイルは命中した。

「やったか!?」

杉田が言った。

しかし、爆煙の中からシザースが姿を現した。

それも、今までのシザースの姿ではなく、さらにカニらしさが増した姿に変わっていた。

「そんな!?」

僕は思わず声に出してしまった。

「今のは流石に堪えましたね…。ですが、レベルアップした私は、もはや誰にも止められません!」

レベルアップしたシザースが迫ってきた。

「くそぉ!行くぞ!!」

G3-Xは空になったギガントを放棄し、肉弾戦をしかけた。

「総員、G3-Xを援護しろ!」

僕は叫ぶように言った。

「撃てぇ!!」

杉田も雄叫びを上げながら射撃し始めた。

「G3システムなぞ!」

シザースは、警官の弾を物ともせず、G3-Xに肉薄した。

「負けない!お前なんかに!」

G3-Xは片手にスコーピオン、片手にコンバットナイフ・ユニコーンをそれぞれ持ち、シザースに挑んだ。

しかし、スコーピオンの弾はシザースの甲殻に弾かれ、ユニコーンによる斬撃でさえ、傷一つつけられなかった。

「無駄です。私の堅牢な甲殻の前には無力!」

シザースは両手のハサミでG3-Xを何度も切りつけた。

「うわ!」

G3-Xが弾き飛ばされた。

「フフ、ハハハハ!!何が警察ですか!?所詮、ただの人間!烏合の衆!そんなもので、何を守ると言うのです!?力こそ全て!!力さえあれば、それでいいんです!!」

シザースが高らかに言った。

その言葉に僕は怒りを覚えた!

「ふざけ…。」

「ふざけんじゃねぇぞおお!!」

「!?」

僕が言うより先に、誰かが叫び、シザースにしがみついた。

「あなたは、刃野刑事!」

そう、風都署の刃野と真倉がしがみついていたのだ。

「確かに、お前の言う通り。俺達、警察は無力かもしれねぇ。仮面ライダーなんかとも比べ物にならないくらいにな!」

刃野が続けていった。

「だけどな!俺達にだって、譲れないものもあるんだよ!それは、誰もが安心して暮らせる為に、人々を守るこった!その気持ちに、力があるとか無いとか関係ねぇんだよ!なぁ、真倉!」

「ひ、ひぃぃぃ!!そ、そうだ…!」

威勢の良い刃野に比べ、ひどく怯えてはいるものの、真倉も必死にしがみついていた。

「くっ、離しなさい!」

しかし、回りの警官もシザースにしがみつき、囲い始めた。

「俺達だって!誰かの笑顔を守る為に戦ってんだ!」

「お前らごときにやられてたまるか!」

と杉田と桜井。

「誰かの夢の為に戦うことだってあるんだ!」

と沢村。

「みんなが平和に手を取り合える為に!」

と泉。

「誰かの希望になれる為に!」

と大門。

「俺達、警官は戦うんだ!そうでしょ、氷川さん!」

G3-Xは再び立ち上がった。

「皆さん…。」

 

その時だった。

 

バラバラバラバラバラ!!!!

 

上空より一機のヘリが降下してきた。

着陸すると、中から見覚えのある人物が降りてきた。

「相変わらずですね、氷川さん。」

「北條さん…!」

かつて共にアンノウンと戦った北條透だった。

「ギリギリ間に合いましたね。小沢さんから、あなたへ贈り物です。」

「小沢さんから、僕に?」

そういうと、北條は手にしたアタッシュケースを開け、僕に中身を見せた。

「これは…!?」

それはアギトのベルトに似ている装備だった。

「オルタリングギア、だそうです。そして…。」

北條はさらにタブレットを取り出し、僕に見せた。

『久し振りね。相変わらずで安心したわ、氷川君。』

モニターに写し出されたのは、現在ロンドンにいる、かつての上司・小沢澄子だった。

「小沢さん!」

「ちなみに、録画ではありませんよ。」

『全く、しっかりなさい!あなたは仮面ライダーである前に、氷川誠じゃなかったのかしら?』

「…っ!」

小沢が言った。

『でも、正直驚いたわ。あの時のブラックアウトがまだ残っていて、G3-Xから降りたと聞いたときは…。』

「それは…。」

『どうせあなたの事、生身でも戦おうとするのは、わかってたわ。だから、また戦えるために、それを開発したのよ。』

「小沢さん、これは一体?」

『最新型G3システム。その名も…。』

 

 

 

『G3-X(テン)よ!!』

 

 

 

「…なんかiPhoneみ…」

『何か言ったかしら?』

小沢が間髪入れずに言った。

「いえ、何も。」

言いたいことはあったが、黙ることにした。

「それでも、僕は…。」

『大丈夫。あなたの身体も全て考慮してあるわ。いくら戦ってもブラックアウトしないようにね。』

『ほら、さっさと行きなさい!それを腰に装着。後は分かるわね?』

小沢が促した。

「本当なら、私が使いたい所なんですが、あなた用にチューニングされています。さあ。」

北條も言った。

僕は、オルタリングギアを手に取り腰に装着した。

そして。

「変身!」

ギアの両サイドにあるスイッチを押した。

すると、ギアを中心に僕の身体を装甲が包み込んだ。

そして僕は仮面ライダーG3-X(テン)に変身した。

「これは、凄い!」

自分で身体を動かしてみた。確かにG3-Xのような懐かしいフィット感があった。ただ、それ以上に軽かった。

これなら、戦える!

「小沢さぁん!」

G3-Xが小沢に言った。

『あら、尾室君。思ってたより様になってるじゃない。』

『氷川君のこと、頼んだわよ!』

「了解!」

G3-Xが敬礼して言った。

 

「ええい、離れろ!!」

「うわ!」

「キャっ!」

シザースは警官達を振りほどいた。

「ふっ、新型だろうと所詮G3!私の敵ではない!」

シザースが迫ってきた。

「尾室さん、行きましょう!」

「はい!」

僕とG3-Xはシザースに応戦した。

システムのサポートもあり、シザースの攻撃を防ぐ。そして、隙を見ては攻撃を加えていった。

「行ける、行けるぞ!」

僕は思わず声に出した。

武装こそG3-Xと変わらないが、アンノウンと戦ってきた経験を生かし戦った。

尾室のG3-Xは、射撃戦にシフトしシザースの動きを牽制するように射撃していた。

「く、こんな事が…!しかし!」

だが、やはりシザースの甲殻を前に効果的なダメージを与えられていないことにも気づいていた。

「そうか、わかった!皆さん、シザースの甲殻に一点集中させてください!」

泉が言った。

「どういうことだ!?」

杉田が言った。

「面の攻撃で効かないのならば、点の攻撃をするんです!つまり、一ヶ所に攻撃を集中させれば、その圧力で甲殻が砕けるハズです!」

「了解!」

僕はユニコーンを手に、再びシザースへ接近した。

「無駄なことを!」

シザースがハサミを振り上げ応戦しようとしていたが、その時、森林を抜けて現れたロードバイクがシザースに向かって突撃してきた。

突然の事でシザースはかわすこともできず、その勢いに負け体勢を崩した。

「今だ、氷川!」

ロードバイクもといトライチェイサーに乗っていたのは一条だった。

「はい!うおおおおおおお!!」

僕は、ユニコーンを逆手に持ち直し、シザースの胸元にそれを突き立てた。

「ぐぅ…!」

貫通こそしなかったが、僅かに傷を作ることが出来た。

「これでも食らえ!」

G3-Xはケルベロスを手にし、シザースの傷に向かって銃弾を撃ち込んだ。

「G3-Xに続け!!」

一条の合図で、警官達も同じく攻撃を加えた。

「ぐっ、がはっ!」

シザースは銃弾の嵐を耐えようとしたが、みるみる内に先につけた傷が広がっていった。

「行けぇ!」

ケルベロスをGXランチャーへ換装させると、G3-Xは銃口に付けたグレネード弾をシザースへ撃ち込んだ。

「ふざけるなぁ!」

しかし、シザースは寸での所でグレネード弾をハサミで受け止めた。

だが、一条はそれを見逃さず、一条のコルト・パイソンでグレネード弾を狙い撃ち、誘爆させた。

「うわっ!」

その一撃により、甲殻は傷だらけになった。

僕は、ギアのスイッチを再び押した。右足にエネルギーが蓄えられていることがわかった。

「これで終わりだ、須藤!」

僕は大きく跳躍し、シザースに向けて跳び蹴りを放った。

警官の猛攻により満足に動けなくなっていたシザースは、成す術もなく跳び蹴りを受けた。

「うわああああああああ!!!!」

蹴りの反動で跳ね上がったシザースは間もなく爆発した。

 

爆炎の中から、気を失い倒れていた須藤の姿と、砕け散ったガイアメモリが姿を現した。

「はぁ…はぁ…。やった…!」

僕は自然と呟いていた。

「須藤雅史!国家反逆罪で逮捕する!」

杉田は須藤の手に手錠を掛けた。

「やりましたね、氷川さん!」

一条が言った。

「ありがとうございます!」

僕は自分の目頭が熱くなっていることに気づいた。

「いんや、まだ終わりじゃなさそうだ。」

刃野が言った。

ネオシェード構成員がまだ幾らかおり、こちらに近づいていた。

「一条、お前は黒幕を捕まえてこい!」

杉田が言った。

「ここは、我々に任せてください!」

僕はそう言うと、一条に向けてサムズアップして見せた。

「…わかった!」

一条が答えると同時に、トライドロンが自動で走り出し、一条の前で停まった。

一条は、迷わずトライドロンに乗り込み、左や泊達の元へ走って行った。




VSシザース編いかがでしたでしょうか。

警察の裏切り者と対峙するのは生身の警官達。
ここしばらく警官ライダーばかりの描写が多かったので、彼等にも活躍の場をと思い描きました。

シザースが途中レベルアップしました。
更に蟹感が増した姿。
そうです、ボ○○○○サーです。笑

そんなボ○○○○サーとなったシザースと戦う尾室のG3-X。名前こそ伏せましたが、Gトレーラーではなくリボルギャリーに搭載した状態で参戦しました。
密林を抜けるにはGトレーラーでは不可能であることから翔太郎からリボルギャリーを借りたという隠し設定です。
が、リボルギャリーからG3-X出てきたらかっこよくね?という単純な気持ちから、やらせてみました。笑
ちなみにギガント装備はG4へのオマージュです。

そして、我らが氷川誠が遂に"変身"しました!
その名も仮面ライダーG3-X(テン)!
iPhoneみたいな名前の本作オリジナルライダーですが、ここで簡単にスペックを

<仮面ライダーG3-X(テン)>
Gシリーズの産みの親・小沢澄子が完成させた最新型G3システム。アギトのベルト(オルタリング)を独自に研究し開発した"オルタリングギア"を用いて変身(装着)する。

オルタリングギアの見た目は、まさにアギトのオルタリングであり、本体は銀色、中心のエネルギーコアは赤色をしている。ただし、オリジナルとことなり中心のエネルギーコアの両サイドにサークルが存在せず、オルタリングギアという名ではあるものの、クウガのアークルにも見える造形である。
近年の技術を注ぎ込んで誕生したG3-X(テン)は、従来の他者による装着型ではなく、粒子レベルまで分解された装甲を電磁力で結合することで自動で装着する、まさに"変身"するG3である。

見た目こそG3-Xと変わりないが、ベルトがオルタリングギアであること、オルタリングギアがエネルギー源となるため、バックパックにバッテリーが存在しない。
装着者への負担軽減を前提に(というのは建前であり、実質的に氷川専用として)開発されたため、最新型と銘打っているが出力そのものはG3-Xの12%増し程度である。
しかし、氷川の戦闘経験も相まってカタログスペック以上の力を発揮する。

武装はG4と同性能のハンドガン・スコーピオンとコンバットナイフ・ユニコーン。
必殺技はギア両サイドのスイッチを押すことで発動するG3キック。

このオルタリングギアを届けに北條透と小沢澄子が登場しました。

警官達の想いと新たなG3の力により、見事シザースを撃破。

次回、いよいよ最終回(のつもり)!
お楽しみに!

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