仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線 作:ラズベアー
第25話
「くっ!」
「うわっ!」
やはりエターナルは強い。
俺とドライブの二人がかりでも丸で歯が立たなかった。
「くそっ、どうすりゃいい!」
『翔太郎!』
フィリップが呼び掛けた。
『エクストリームでいこう!この前とは違って、今の僕の身体なら問題ない!』
「わかった!」
エクストリームならば、俺とフィリップは文字通り一心同体となる。そして、フィリップが戦いながら地球の本棚へアクセスすることができるため、敵の全ての情報を閲覧し、それを踏まえた上で戦うことができる。
『エクストリーム!』
フィリップの呼掛けに答えるように、バード形態のエクストリームメモリが飛翔してきた。
シャングリラ!
しかし、それを手にしようとしたとき、何かによってエクストリームメモリが弾き飛ばされた。
「何!?」
「させませんよ、W!」
桃瀬が姿を変えたシャングリラ・ドーパントによって妨害されたのだ。
「ちぃ!」
俺は舌打ちした。
「邪魔はさせない!」
ドライブがシャングリラに向かって飛び込んだ。
「させてもらう!」
シャングリラが手を掲げると、ドライブの真上の天井から岩石が落ちた。
「うわ!」
『大丈夫か、進ノ介!』
ベルトさんが行った。
『理想郷を体現する力…。厄介過ぎる。』
フィリップが珍しく狼狽えていた。
加えてエターナルだ。それに、改造人間である徳川清山。
とにかく打開策を考えないと。
しかし、そうこうしている内にエターナルとシャングリラの猛攻が続く。
『翔太郎!戦いに集中するんだ!』
フィリップが言った。
「ぐあっ!」
エターナルの攻撃により、ついに俺は元の姿へ戻ってしまった。
「左さん!うわっ!」
同じく、シャングリラの攻撃で泊も姿が戻った。
「翔太郎!!」
意識が戻ったフィリップが俺の元へ駆けつけた。
「どうやら、決着が見えたな。」
傍観していた徳川が言った。
「探偵…。ここまで俺達を追い詰めたのは、お前達が初めてだ。かつて、シェードに反旗を翻した男もいたが…、それ以上に中々楽しませてもらったよ。」
「くっ…。」
「ハァ…ハァ…。」
俺と泊は息も絶え絶えだった。
「だが、お楽しみもここまでだ。ここで死ね。」
徳川はその姿を再び怪人に変え、俺達に迫った。
「…はん。」
俺は笑った。
「何が可笑しい?」
徳川怪人態が言った。
「どんなに絶望の縁に立たされようが、それをスマートに解決させるのが、ハードボイルドの極み。今、俺が今まで待ち望んだ最高のシチュエーションにいるんで、たまらなくなったんだ…!」
俺は、力を振り絞り立ち上がった。
「…何かと思えば、今この状況でそんな事考えていたのかい?」
隣で、フィリップがニヤっとしながら言った。
「でも…。もし君の想い描く理想が実現できるとしたら…。ゾクゾクするねぇ。」
フィリップが言った。
「気でも狂ったか?そんな理想、私が消してやる!」
シャングリラが言った。
『全く…。本当に面白い探偵だな!』
「ああ。でも、お陰で脳細胞がトップギアになった!」
泊も立ち上がった。
「何故立ち上がる?何故立ち上がれるんだ!?」
徳川怪人態が言った。
「当たり前だ!!俺達は負けない!俺達の背中には守りたい人達が沢山いるんだ!」
「僕達を必要としている人達がいる限り、何度でも立ち上がる!」
俺の後にフィリップが続いた。
「市民の平和を守る為に俺達は戦う!」
泊が言った。
「それが…。」
「それが何だと言うんだ!」
徳川怪人態が俺の言葉を遮るように言った。
「その程度の事で、"守る"だと!?笑わせるな!」
徳川怪人態が吐き捨てるように言うと、俺達に迫ってきた。
ブォオオオオオオン!
後方からエンジン音が聞こえてきた。
俺達の横を赤い車体が駆け抜け、徳川怪人態をその車体で吹き飛ばした。
「ぐふっ!?」
「大丈夫か、左君、フィリップ君、泊刑事!」
トライドロンから一条刑事が降りてきた。
「一条さん!?」
俺はまさかの登場で驚いた。
「一条薫か!丁度良い、貴様もここで殺してやろう!」
シャングリラが構えたが、突然の銃撃で足が止まった。
「やらせるかよ!」
マッハがゼンリンシューターを手に駆け付けてきた。
「剛!」
泊が言った。
「へへ、お待たせ、進兄さん!」
マッハが言った。
「大丈夫か、左!フィリップ!」
アクセルも共に駆け付けてきた。
「彼らはお前達ごときで止められはしない!何故なら、彼らは仮面ライダーだからだ!!」
一条が言い放った。その後にアクセルがシャングリラに、マッハは徳川怪人態に向かって行った。
「そういうこった!行くぜ、フィリップ!泊!」
俺は再びJメモリを手にした。
「ああ!」
フィリップもCメモリを手にした。
「これで終わりにしよう!」
泊はシフトカーを手にした。
「させるか!行け、エターナル!」
徳川怪人態の合図でエターナルが飛び込んできた。
「ぐっ!」
「うあっ!」
泊が咄嗟に俺の前に出たが、エターナルに殴り倒され、続いてフィリップを蹴り倒した。
「くそっ!」
俺はエターナルから飛んできた拳を受け止めたが、同時に放った俺の手刀も受け止められた。俺とエターナルは密着状態とも言える。
だが、それは俺にとって最大のチャンスであった。
「大道…、そういやお前。まだ"記憶"が足りないみたいだったな!」
「…。」
エターナルから返事はなかった。
「俺が、お前を目覚めさせてやるぜ!」
俺は手刀に見せかけ、Jメモリを握りしめていた。
「まずい…。エターナル!早くそいつを始末しろ!」
シャングリラが焦るように言った。
一瞬、息が詰まったかと思えばエターナルの左手が俺の首を掴んでいた。
「かはっ…!」
意識が飛びそうになる中、エターナルの右手にエターナルエッジが握られていることに気づいた。
「左君!」
「左さん!」
「やめろぉ!!」
一条と泊、フィリップの叫び声が聞こえ駆けてきたが、間違いなく間に合わない。
ここまでか。
<剛視点>
「まずい!」
戦いの中で、俺はあの探偵が今にも息の根が止められそうになっている所を見つけた。
ブォオン!!
その時、シグナルチェイサーが突然独りでに走り出した。それはそのままエターナルの方まで行くと、マッハドライバーからシグナルエターナルを弾き飛ばして、自ら装填しにいった。
シグナルバイク・ライダー!
チェイサー!!
<左視点>
「うぐっ…。」
突然エターナルの手が離れ、俺の身体は解放された。
「ぐっ…、あ゙っ…。」
エターナルが突然苦しみだしたのだ。
そして、何かに捕まえられたかのように、身動きが取れなくなっていた。
「あ…、あれは…!?」
泊が驚くように言った。
丸で幽霊のようにうっすらとだが、何者かがエターナルを後ろから羽交い締めしていた。
全身が銀色をしており、紫のラインが施されている。黒いフェイスに赤い複眼。マッハドライバーも着けていた。
それは、紛れもなく仮面ライダーだった。
「チェイス!!」
そのライダーの幻影とも思える姿を見てマッハが叫んだ。
行け!!
俺にはそう聞こえた。本当にそう言ったかどうか、今となってはわからない。だが、あの時既に俺の身体は先に動いていた。
「大道克己!お前に足りない記憶、それは!」
俺は身動きの取れないエターナルに駆け寄った。
「お前を倒した、俺達!」
ジョーカー!
「風都の切り札の記憶だ!!」
俺はJメモリをエターナルの胸元に突き立てた。
その直後、凄まじい突風が吹き上がり、俺の身体はエターナルから弾き飛ばされた。
それと同様にライダーの幻影も掻き消されるように消えていった。
「おおおあああああああ!!!!」
エターナルから叫び声が上がった。
それは俺だけではなく、この場にいる全員が我を忘れそれを見ていた。
カシャン…。
風が収まると共にマッハドライバーが地面に落ちた。
風の中から、再び大道克己の姿が現れた。
「大道…。」
俺は呟くように言った。
「…。」
大道は黙ったまま自身の両手を見ていた。
そして、
「探偵…。一つ借りが出来たな。」
大道が言った。
その眼光は今までの虚無感は無く鋭いものだった。
「大道…、克己…!」
シャングリラが狼狽えていた。
「貴様らか…、俺を地獄から呼び起こしたのは…。」
大道はシャングリラと徳川怪人態を見て言った。
「そ…その通り!君を地獄から助けてやったのだ!さぁ、君を地獄へ突き落とした、憎き仮面ライダー達を共に始末しよう!」
シャングリラが言った。
「"地獄から助けた"…だと?」
大道が言った。
「俺は俺で地獄を楽しんでいたさ。そして、己の罪を数えていた。気が遠くなるくらい、多くの罪をな…。」
「大道、お前…!?」
俺は思わず声に出してしまった。
「あと少しで数え終えようとしたとき、俺はまた罪を重ねる道具としてこの世に戻された。これ程の不愉快さを感じたのは久し振りだなぁ…!」
そう言うなり、大道はロストドライバーを手に取り、腰に装着した。
「探偵…、力を貸せ。さっきの借りを返してやる。」
大道が言った。
「あん?それが恩人に対する態度かよ!」
俺はムッとして言い返した。
「助けを請うた覚えはない。だが、俺を解放してくれたことは事実だ。それについては、礼を言っておいてやる。」
大道が上からの態度で言った。
「こんの…。」
「まぁまぁ、翔太郎。それよりも早くやつらを倒そう!」
フィリップが言った。
「僕達の事も忘れないでください!不本意ではありますが。」
泊も大道を見ながら言った。
大道は泊を一目見るなり、ふんと鼻で笑った。
「この、愚か者どもがあ!!」
シャングリラが言った。
「悪いな。俺もお前が憎む、仮面ライダーだ!」
大道が言い放った。
サイクロン!ジョーカー!!
「「変身!!」」
エクストリーム!!
俺の姿が一瞬CJに変わったが、エクストリームメモリがフィリップの身体を取り込み、俺のベルトに装填すると、俺達はCJエクストリームの姿へ変わった。
「変身!」
Fire! all Engines!!
ドラーイブ!
ターイプ・トライドロン!!
後方で駐車していたトライドロンがバラバラに分解すると、泊の身体にそれぞれ装着され、新たなドライブの姿へ変わった。
エターナル!
「変身!」
大道は、TN・Eメモリを起動させロストドライバーにを装填した。
大道の身体を木枯らしが多い、続いて青い炎に包まれた。程なくしてそれが収まると、中から純白の仮面ライダー、エターナルが姿を現した。
それは、手足に青い炎の模様、黄色単眼であり、俺達の知る正真正銘のエターナルだった。
エターナルを中心に俺達とドライブは並んだ。更にそれぞれの隣にアクセルとマッハもついた。
「おのれ、仮面ライダーどもぉ!!」
徳川怪人態が恨むように言った。
「さあ!」
『お前の罪を…』
「「「「『数えろ!!!!!』」」」」
最終回になりませんでしたm(__)m
仮面ライダーエターナル・大道克己。
ネオシェードの呪縛から解き放たれ、完全復活しました!
エターナル完全復活に欠けていた記憶。それは破壊や風都の記憶だけではなく、再び死を感じさせた風都の切り札・仮面ライダーWの記憶。やはり、この記憶だけはエターナルにとって切っても切れないものになっていたでしょう。
既にサイクロンメモリを取り込んでいたので、ジョーカーメモリがエターナル復活のトリガーとしました。
そして、それに貢献した仮面ライダードライブ第3のライダー・仮面ライダーチェイサーの登場。いかがでしたでしょうか。
エターナル復活にチェイスのロイミュードボディを用いたことで、必然的にチェイス復活の望みは薄れていました。というか、エターナル復活を本作の主軸に置いていたので、個人的にチェイスを復活させるつもりはありませんでした。
しかし、だからといってチェイスノータッチはしたくもないという欲により、幻影として翔太郎達に力を貸す役割を与えました。
ちなみに、第18話にて仮面ライダーGがシグナルチェイサーの事を"彼"と呼んでいたのは、チェイスの意思を宿していたということの伏線でした。下手くそな伏線ですみませんm(__)m
次回、最終決戦となります。
お楽しみに!