仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線   作:ラズベアー

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風都に迫る魔の手。
それを払い退けていたのは、警官ライダーだけではなかった。

シェードの改造人間・仮面ライダーG
この物語は本作物語の裏で活躍した誰も知らない彼の戦記である。

仮面ライダーG視点


芳醇の風 前編 (第11話)

風都に流れる風は、何て心地よいのだろうか。

 

風の都、噂に聞いた通り、素敵な風が吹いている。

この風を受けて育った果実は、さぞ爽やかな風味と共に実るだろう。

しかし、風は時として災いを運ぶこともある。

 

シェード。

 

僕にとって、その名は耳に付いたように忘れられない名だ。

僕は彼らに拉致され"改造人間"と呼ばれる兵器にされた。肉体改造と共に洗脳もされ、シェードの命令を何も疑わず忠実に従っていた。

"NO.5"と呼ばれていた自分に反吐が出るほど嫌気が差していたが、僕を愛してくれた人との再開、そして、僕が愛したワインの味わい。これらの存在が、僕を人として呼び覚ましてくれた。

それと同時に、僕は"仮面ライダー"としての力を覚醒させたんだ。

 

前置きが長くなってしまったが、僕が風都を訪れたのは、そのシェードが名を変え大規模なテロ活動を始めたという"風の噂"を耳にしたからだ。

この風都にも仮面ライダーがいると聞いている。

名をダブル、と言ったかな。緑と黒のライダーらしい。

だが、僕のそれとは異なり、"ただの人間"がガイアメモリなるものを用いて変身するらしい。

相手は改造人間の軍勢。風都のライダーがどこまでの力があるのか定かではないが、普通に考えればただの人間が改造人間と戦うなど、はっきり言って論外だ。

かといって、確かめもしないのに決め付けるのは良くない。

だから、風都の仮面ライダーの実力を確かめるために、僕は風都にやってきたということさ。

 

風都の仮面ライダーは探偵をやっていると聞いた。確か、"鳴海探偵事務所"、と言っていたかな。

ところがその事務所に訪れてみると、誰もいなかった。

それもそうか。

僕がこの街に着いた時点で、だいぶシェードにやられていた。崩壊した建造物をいくつか見たし、この街の警察署は見るに耐えられない状態であった。

恐らく、探偵も仮面ライダーとして戦いに出ているのだろう。

さて、どうしたものか。

僕は、大通りに面したレンタルスペースにこしらえたG'sヴィンテージに一旦戻ることにした。

元々、僕はワインソムリエ。東京にワイン専門店G'sヴィンテージ本店を経営している。シェードの動静を見張る為にここ風都にその小型店舗を用意したということだ。

仕方がないので、店で仕入れたワインを嗜んでいた時、奇妙な格好をした男が入店してきた。季節だからか、サンタクロースの格好をした…、しかしアロハシャツに短パンでしかもサングラスを掛けていた。いかにも怪しげな男。

話を聞くと、どうやら本店のファンであり、風都にも店を構えたと噂を聞いて来られたそうだ。ありがたい話ではあるが、ここはあくまでも仮屋に近い。今は売買をする気はないのだが…。しかし、風都の住民であるのなら、探偵の居場所を知っているかもしれない。

「話を遮ってしまって申し訳ないのですが、鳴海探偵事務所の方々が今どちらにいるか、知らないでしょうか?」

「ん、翔ちゃんのこと?」

知っていた。

これほど怪しい男でも親しくできるとは、尊敬に値する探偵なのだろう。

しかし、これも聞いてみると昨日から姿を見ていないという。

「まぁ、翔ちゃんのことだから、どこかで風に当たってるんだと思うよ。」

とは言っていたが、結局どこにいるのかわからないのでは話にならない。

急がば回れ。彼が現れるのを待つとしよう。

「すまないのですが、もし探偵に会ったらここに来てくれるよう、お願いしてもよろしいですか?」

僕が尋ねてみると、快く引き受けてくれた。

 

探偵を待つ間に色々調べてみたところ、この街の住民はほとんどの人が探偵の事を知っていた。

情報屋を名乗る男や二人組のOL達、美人なマジシャンや気を失うかと思うほど、申し訳ないがド下手な歌い手の男とそのパートナー等々。

探偵は本当にこの街の人々に愛されているのだろうな。

話を聞いてわかったことは、探偵は左翔太郎、相棒にフィリップという青年の二人組らしい。事務所の所長は若干胡散臭いが可愛らしい女性・鳴海亜樹子が勤めていること。

そして、探偵に協力している刑事もいるとのこと。僕はその刑事とコンタクトを取ることにした。

風都署は崩壊し掛けていたが、刑事達の無事は確認されているそうだ。

自宅療養中とのことで、尋ねることにした。

 

「ワインソムリエが、こんなボロボロの刑事に何のようだい?」

刃野と言う刑事が言った。

「この街の探偵に会いたい。」

「翔太郎達に?仕事の依頼なら、今はやめとけ。」

「何故です?」

「フィリップ。翔太郎の相棒がテロリストに拉致されてな。今は彼を助けるのに躍起になっていて、それどころじゃねぇんだ。」

「成る程…。わかりました、ありがとうございます。ああ、そうそう…。」

僕は立ち去る前に、持ってきていたワインをボトルごと刃野に渡した。

「早い回復を祈っています。ワイン。とりわけ赤ワインは抗菌作用もありますから、適量飲み続けると回復も早くなりますよ。では。」

僕は、きょとんとした刃野を置いて店に戻った。

 

シェードがフィリップを拉致した。

考えられることは、やはり人体改造か、もしくは洗脳か。ただ、このタイミングでそれらを行うのは妙だ。探偵は仮面ライダーダブル。フィリップか左という者かどちらがライダーかはわからないが、仮にライダーの方だとしても、人質として誘拐したというのもおかしな話だ。

むしろ違う目的で拉致したと考えるべきだろう。

監禁されているとすれば、恐らく都内の"あの場所"か…。

あの場所を考えただけでも、僕は脂汗をかく程嫌悪感を感じた。何故なら、僕はそこで人体改造を施されてしまったからだ。

同じ過ちを繰り返させない為に、"あの場所"は早々に潰さないと。そう思ってはいるものの、"あの場"へ行こうとすると、本能的なのか体が激しく拒絶する。一種のトラウマなのだろうか、我ながら情けないが今まで手が打てないでいた場所だ。彼を助ける為には、どうしたものか…。

その時だった。

 

カランカラン…。

 

店のベルが鳴った。

ドアを通ってきたのは、黒いパンツにボーダーの入ったシャツ、ジャケットの代わりに羽織っている黒いベストにワインレッドのネクタイ、それらしい黒いハットを身につけた男。

彼が左翔太郎か。風都の探偵にして、仮面ライダーダブル。

思っていたより若い。少しからかってやろう。僕はそう思い、適当な所からワインボトルを取り出した。

 

「あんたか、俺を呼んだのは。」

翔太郎が僕に尋ねた。

しかし、僕は敢えて黙ったまま、ワインボトルを見つめていた。

翔太郎が何度か僕に呼び掛けていたが、僕はポーカーフェイスを保った。

「おい…!」

彼は痺れを切らして強い口調で言ってきたが、僕は動じない。

「しっ!」

「…!?」

「ワインを嗜む時は、ボトルをあける所から慎重にならなければならない。少しの衝撃で風味が変わってしまうからね。」

そういうと、僕はジャケットの中からワインオープナーを取り出し、ゆっくり丁寧にワインの口を開け始めた。

 

 

 

ポンっ

 

 

 

心地のよい小さな音を立て、ワインはこの世に放たれた。

そして、それを静かにグラスに注ぎ始めた。

「君は、普段からワインを嗜むかい?」

 

僕は翔太郎に尋ねた。

「いや…、あんまり…。」

「そうか…。」

ならば、ワインについて少しレクチャーしよう。

僕がワインについて軽く説明すると、彼はだんだん理解が追い付かなくなったような表情になり始めた。

「さぁ。」

僕は翔太郎にワインを差し出した。

彼は、一度は断ったがしぶしぶ受け取り、一口だけ口に含んだ。

その瞬間、彼は目を見開いた。

「どうだい?」

僕は彼に尋ねた。

「何とも、例えがたい感じだ…。ただ、少なくとも今まで飲んだ中で一番美味しい…!」

何とも分かりやすい男だ。探偵が聞いて呆れる。

「そうか、それなら良かった。けど…。」

僕は笑いそうになるのを堪えながら言った。そして、僕は手に持ったワインボトルのラベルを見せた。

「多分、みんなが良く口にするものだよ?」

彼は嘘だろ?という表情を浮かべた。

さぁ、そろそろ本題と行こうか。

「君が鳴海探偵事務所の探偵・左翔太郎君だね?」

僕は彼に尋ねた。

「…あぁ、そうだ。」

「僕は…、君が探しているものの在処を知っている。」

彼は驚きを隠さずに言った。

「!?それは本当なのか?」

彼は一瞬驚いていたが、すぐさま警戒するような目付きに変わった。

「…何者だ、あんた。ただのワインセラーのオーナーじゃないな?」

ほう、勘は鋭いようだ。

「…。ここではワインが泣いてしまう。表に出よう。」

僕は彼を店の外に促した。

店の外へ出るやいなや、僕は翔太郎へ蹴りをした。が、彼はそれを素早くかわした。

「ほぅ。今のをかわすとは…。さすがは仮面ライダーダブルか。」

僕は身だしなみを整えながら言った。

「お前、ネオシェードか!!それとも財団Xか!!」

翔太郎が尋ねた。

「ネオ、シェード…?そうか。今はそう名乗っているのか。何者か、と聞いたね?左翔太郎君。ならばお答えしよう。」

僕は、変身用ワインボトル"GORO"を取り出した。

「あんた、まさか!?」

翔太郎は驚いていた。 

 

「変身!」

 

僕はGOROをベルトに装填した。装填したことで持ち上がったワインオープナーを模したトリガーを反対に戻した。

そして、ベルトを中心に装甲が展開され、僕は、仮面ライダーGに変身した。

「僕は…。シェードの改造人間!仮面ライダーGだ!」

 

さぁ、君の実力を見せてもらおうか!




サイドストーリー・仮面ライダーG編
いかがでしたでしょうか。

本作本編にて仮面ライダーWとドライブ、そして警官ライダー達がネオシェードと戦っていた裏側で活躍していた物語となっております。
二次小説とはいえ、仮面ライダーGの本名が大物有名人と同じなため、何かあっても嫌なので敢えて名前は伏せてます。

"ダブル"と表記しているのは、仮面ライダーGが"風の噂"で聞いたため、"W"という表記を知らないためです。

次回、芳醇の風 中編
お楽しみに!
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